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諸悪の根源 vol1

ちょっとシリアスパートですよ。

「兄さん、今日これが届きました」

「これは…」


差出人は九条 雪乃、つまり僕らの母親だ。どうやら家に目上の知り合いが来る


らしく、そのときに家族円満に暮らしてますよ、ってアピールしたいそうな。


自分で追い出したくせに、1時的に実家に戻ってこいということだ。


「どうしますか?」

「応じるわけ無いだろ、こんな身勝手が許されるはずがない」

「そうですよね…」

「拒否の意思をお繰り返しておく」


ちなみに僕ら親子は連絡先の交換を行っていない。母親いわく「子供の連絡先な


んて入れたくない」とのこと。


**********


「どうしたの?なんか思考が迷子だけど」


そうだ、こいつに隠し事なんて出来ないんだよな…


「いや、ちょっとな。昨日母親から接触があってな」

「あの例の…」


恐らく紫音から聞いたんだろう、思い当節があるようだ。


「九条くんさえ良ければ、詳しく話してくれない?」

「分かった。ただここじゃ無理だ、今日うちに来てくれるか?」

「うん」


今まで心配してくれる人なんて居なかったので、なんか良いな、こういうの。


**********


「お邪魔します」

「紫音は幼児で遅くなるから、先に座ってて」


今日は補講的なものがあるそうな。たまに忘れるが、あいつも受験生なんだな。


「じゃあ、順を追って話してくれる?」

「分かった」


**********


僕はごくごく一般的な家庭に生まれた。父親は会社員、母親は専業主婦。なんの


変哲もない家族だった。しかし、父の勤める会社が倒産した結果、その普通は崩


れることになる。母親と父親は収入がなくなったことを理由に離婚、つまり父親


を見捨てたわけだ。けど離婚したからって所得が発生するわけではない。そこで


母親が考えたのが「子供を芸能人にする」というものだった。しかし、僕はお世


辞にも見てくれが良いとは言えず、テレビ映えするような人間ではなかった。そ


こで、養子施設から見た目の良い子を引き取った。それが紫音、当時僕は中学


3年だった。けれど、それまで芸能活動なんて視野に入れてなかった子だ。母親


が収入源として当てにしているというのもあって、厳しすぎる指導に耐えきれな


くてしょっちゅう泣いていた。そんな紫音を何とか慰めようと僕がしたのが、今


の兄弟仲の根源とも言えるだろう。

次回も続きます。

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