幽霊じゃダメですか
なんか着地点を見失っている今日この頃。
「九条くん、今日部活だよね。何で帰ろうとしてるの?」
「えっと…」
そう、今日は(半ば強引に) 入部させられた『漫画・アニメ同好会』の活動日である。ちなみに毎週水曜日、大丈
夫なんかそれで…
「いや、幽霊部員でもいいって言ってたし…」
「それを魔に受けちゃダメでしょ!」
「…おっしゃる通り」
桜井にしては大きな声で怒られてしまった。おかしい、普段は隠れポンコツのこいつに僕がツッコむ側なんだ
が。あと周りからの視線が痛い。「夫婦喧嘩」だの「夫婦漫才」だの。ボキャ貧か?()
「ふ、夫婦じゃないから‼︎」
「いや、怒るとこそこ?自分で言うのもあれだけど、今中々失礼なこと考えてたんだけど」
「じゃあ何?九条くんは誤解されたままでいいの?」
「いや、正直周りの反応にどうこう言ったってしょうがないかなと。そりゃあ、桜井が嫌なら訂正するけど」
「むぅ…」
かわいい。
「はぅ…そ、それより!九条くん約束忘れたの?」
「いや、覚えてはいるというか…実行が不可能というか…」
「ヒドイ…」
おいやめろ、女子を2人泣かせたとなれば流石に僕の評判が地の底まで落ちる。ほら見ろ、周りの僕を見る目が
変わったよ。
「分かったよ…風花」
「「「「「⁉︎」」」」」
おい野次馬、なんだその連携は。
「よろしい!」
「機嫌が治って何よりだよ…」
ちなみにこの時点で僕の幽霊部員計画は破綻、お疲れ様です。
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「おお!来てくれたか」
「まさか、僕が来ないと思ってました?」
「す、すまない…なんかそんな気がして」
「大丈夫です。この人幽霊になろうとしてましたから。その場で私が止めましたけどね」
「言わなければバレなかったものを…」
本当に今更ではあるが、僕にも思考を読む能力欲しい。桜井の脳内をまさぐりたい。あ、これも筒抜けなんだっ
け…時すでにおすし。
「…」
無言の圧、さーせんした。
「思考の中では苗字呼びなんだ…」
「え、そこ?」
「なんだなんだ!ラノベ展開か⁉︎」
「そういう所ですよ?部員が増えないのは」
「うぐっ…中々痛いところを突いてくるな」
「あの、そろそろ始めません?」
「そうだな。といっても特に活動内容なんてないんだよな」
本当に大丈夫なんだろうかこの部活。
「取り敢えず漫画を読み漁ってくれ。1ヶ月に1回感想文を提出してもらうが」
「それ、誰が読むんです?」
「もちろん私だ!開拓は何げに面倒だからな!」
「何この人」
結局この後漫画やらラノベを読み漁った。桜井はこういうのを読むのは初めてだったらしいが、すぐにどっぷり
沼に沈んでネットを漁ってる。ちなみに僕らが読んでる電子書籍の代金は全て部費から出ている。本当に規模が
大きいなこの学校。
こういう部活なら僕も入ったかも…
参加は不定期で。




