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27 真魔法少女

短くて申し訳ありませんm(._.)m

少女の外観に、谷間が露出したフクヨカな胸。

羽飾りの様な物をつけた青い髪に、ピンクを基本にして白いフリルが目立つミニのフレアスカートのノースリーブコスチューム。

少女体型に似つかわしくないピンクのピンヒール。

そして、『魔法的マジカル叙情詩的リリカル律動的リズミカル!』と言う謎の呪文めいたセリフ回し。


確かに、アニメやイベントで見掛ける魔法少女めいた姿だが、醒めた現実で見ると、如何に『痛い物』かが痛感できる。


「えっ、えっとお~、ミストレア様ですよねぇ?何ですか、そのカッコウは?」


呼ばれている事と、本人の名乗りと、吸血鬼に変身能力があるという知識で、かろうじて因果関係が掴めた長一郎は、腰が碎けた状態のまま、彼女を見上げた。

横では、蜥蜴人の女性が眉間を押さえて頭を左右に振っている。


現世うつしよで流行っておる【魔法少女】を我なりにアレンジしたのだが、間違っておるか?」

「いや、間違ってはいませんが、何故にソノ様なカッコウを?」


【秘密のアッコちゃん】や【魔法使いサリー】辺りから始り、【魔法のプリンセス ミンキーモモ】からシリーズ化された魔法少女アニメ。

確かに系統自体は間違ってはいない。しかし・・・・


見ると、周囲の護衛も顔をそむけて【見ないふり】をしている。


「実際に魔法が使えて、高貴な血筋のわらわ以上に、グッドなキャスティングは無いであろう?城で【変身】したら、領主様をはじめ、多くの者に止められたので、外に出た機会に封印解除なのじゃ」


護衛達の前なのでか、若干の貴族的言い回しをスルーしながら、長一郎は、何とか立ち上がる事ができた。


そして、持ちうる魔法少女アニメの知識を総動員して、現状打破の為の【最適解】を模索した。


「ミストレア様。魔法少女の正体は秘密にしなくてはならない上に、敵も居ないのに無闇に変身はしないものです」


長一郎の言葉に『はっ!』としたミストレアは、口を手で押えてたじろいだ。


「た、確かにソウであった。妾としたことが、基本を忘れておったわ」


そう言うと、ミストレアの姿は揺らぎ、以前見た金髪美女の姿へと戻っていく。


横の女性蜥蜴人は勿論、周囲の護衛からも安堵の息づかいがし、尊敬の視線が長一郎に注がれている。


「ミストレア様。いったい、何処どこでソノ様な知識を?」


長一郎にはグージャスに魔法少女の詳細を伝えた記憶が無いのにも係わらず、彼女の魔法少女は、あまりに完成度が高かったのだ。


「長一郎のもたらす情報は、領地に有用な物が多いと判断したのでな。一時的に現世の者に憑依して見聞してまいったのじゃ。流石に肉体ごと行くのにはリスクが有りすぎるのでな」

「憑依?」

「御前の国でも【悪魔憑き】とか【狐憑き】は聞いた事があるのじゃろう?我々の様に精神と肉体が、単独でも自律できる存在にのみできる術じゃ」


長一郎は、帰還に対して一瞬の希望を抱いたが、すぐに断念した。


「その様子だと、日本へ行かれた様ですが、向こうはどうでした?」

「うむ。日本は豊かで平和で、刺激的な混沌とした良い国じゃ。皆が無責任で我が儘で、流石に『人間らしい』と言えるじゃろう」

「確かに、日本ですね」


海外生活が長い者が感じる様な混沌とした評価は、確かに長一郎の知る日本に間違いなかった。


「現世の太陽光は大丈夫だったのですか?」

「屋内では太陽光のささない所が多かったし、太陽光に弱いのは【肉体】であって【精神】ではないからのう」


確かに、現世の生物の肉体を使っているならば、太陽光の影響は皆無なのかも知れない。


「しかし、他の者は兎も角、長一郎にはウケると思ったのじゃがなぁ」

「確かにウケましたが、この様な環境では、ちょっとインパクトが大き過ぎているようです。現世でも、その様な姿はイベントや秋葉原でしか見受けなかったでしょう?」

「確かに、そうじゃったな。パーティ会場に水着で現れる様なものでTPOに欠いた行為であったか」


周囲の者には『秋葉原』など詳細は理解されていないが、『TPOに欠いた』と言う言葉に、ミストレアの理解度を感じたのか、長一郎を見る周囲の視線が更に熱くなる。


「そうよね!先ずは事件が起きたり悪役が居て、名前は偽名を考えて素性を隠して・・・・」


顎に手を当て、ブツブツと独り言を言いながら馬車の周りを回りはじめたミストレアをよそに、蜥蜴人の女性が長一郎へと近寄ってきた。


「先日は名乗っておりませんでしたが、ミストレア様の側仕えと護衛を仰せつかっているティラナと申します。長一郎殿の手腕には感服致しました」

「いやぁ~ソレほどでもありませんよ」


長一郎がテレ隠しで頭を掻いていると、ティラナと名乗る蜥蜴人の女性は


「実は、城でもミストレア様の奇行を止められる者が居りませんでしたので、大変に助かりました」


彼の耳元で小声で呟いた。

長一郎は『分かります分かります』と困った顔で頷くしかなかった。


「Missトレア・・・・いや、まんまじゃな!マジカル・ミー!これも近い。最近は、セイバーとかランスとか武器の名前を用いたキャラがメジャーだったな!いや、ここは、古きを尋ねて・・・・」

「あのう~ミストレア様。御用件は、ソレなんですか?」


馬車の周りをグルグル回り続けるミストレアに、長一郎は声を掛けた。


「長一郎。マジカルネームをだな・・・いや、違う。ソナタを途中で【放逐】する関係上、身を守る術を学んでおく方が良いと思うのじゃが、どうじゃ?」

「放逐ですか?」


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