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第一話 なんちゃって勇者降臨

指が動くままに書きました。

私は素人ですので、読んでて恥ずかしくなったりするかもしれないです。

ご了承下さい。

第一話 なんちゃって勇者降臨


夜食の焼き鳥を食べながら、俺はリビングでテレビを見ている。雰囲気を出すために電気はあえて消している。高校受験まで残り半年。夜更かしはあまり良くないが、息抜きも必要だ。俺が見ている番組はというと、超人気アニメ『アンアルケミスト』の最終回である。このアニメは再放送なので結末は知っているが、面白いアニメというのは何度見ても面白い。

「まだ起きてるの?早く寝なさい!」

二階の寝室から母が言ってくる。

「もうすぐ終わる!今いいとこだから!」

聖騎士達と魔王の最終決戦。俺はこのヒロインがどうなるかを知っている。何故か俺の推しの彼女だけ魔王戦で倒れてしまうのだ。俺はそれが悲しくて仕方無い。深夜にも関わらず俺はテレビモニターに向かって絶叫した。

「アマテラス!生きろぉおおおお!」

その刹那テレビと俺が薄黄色く発光した。視界が悪くなっていく。耳も聴こえにくくなり、母が何かを言っているが内容までは分からない。そこで俺の意識は途絶えた。



「勇者様!勇者様起きて下さい!」

目が覚めると俺の目の前に金髪の少女がいた。背中がふかふかするから、多分ベッドの上だろう。まだ意識が朦朧としているが、どこかで見たことのある顔だ。誰だっけ?

「平川先生!勇者様が目を開けられました!というか頑張ってこじ開けました!」

はぁ?勇者様?俺のことを言ってるのか?

「目を覚ましたようだね。私は平川。この医院の医者だ」

「あ、どうも」

「君はここに落ちてきてから一週間ほど気を失っていた。そこの彼女が人型目覚まし時計となって、毎朝君を起こそうとしていたのだよ。彼女に感謝したまえ。まあ目立った外傷もないし、しばらく安静にしていれば大丈夫だろう」

「助けて頂きありがとうございます。ところでここはどこですか?」

今自分がどういう状況に置かれているのかが、さっぱり分からない。

「うむ。私も君に聞きたいことが沢山あるのだが、先に今の状況を説明するとしよう。先週、つまり君がここに落ちてきた頃まで、近くの荒野で聖騎士と魔王の戦いをしていた。さっきから君の看病をしてくれていた彼女が聖騎士隊隊長アマテラスだ。」

アマテラス!?思い出した。でもどういうことだ?

「彼女が魔王に討ち取られそうになった時、君が空から降ってきた」

「はっ、空から降ってきた?」

思わずおうむ返しをする。アマテラスの名前を叫んだ後、俺はどうなったんだ?何故かそこだけはどうしても思い出せない。

「何を驚いているんだ。私達の方が驚いているよ。君が魔王を倒した直後、皆呆然としていたらしいぞ。はっきりいって私はまだその話を信じられん。」

つまり、ここはアニメの中なのか?

「ここの大陸の名前って、ビスマスだったりします?」

ヒールとアマテラスが目を見開き、顔を見合わせた。

「何故知っている?」

間違いない。どうしよう、どうやって帰ればいいんだ。

「いや、何となくです」

「まあいい。一週間後、君は王宮で勲章を受け取る事になっている」

「勲章?」

「さっき言っただろ。君が魔王を倒したんだ。」

「魔王!?」

さっきから驚きしかない。

「その時に、お前の剣の銘が石碑に刻まれることになるが……」

アマテラスが焼き鳥の串を持ってきた。

「魔王を倒した聖剣にはその勇者の名前が刻まれるの。この聖剣の名前は、『ねぎま』ね!」

ほへ?あの串は俺がテレビ観てるときに食ってた……。

「こんな小さな剣でよく魔王を倒したわね」

「俺はこれで魔王倒したの?ほんとに?」

「ええそうよ!勇者ねぎま!」

いやそれただの焼き鳥の串なんですけどー。

「まあそういうことだ。アマテラス、ねぎまにこの街をを案内してやれ」

「はい!」

俺はねぎまになった。


俺は街を案内してもらえることになった。

「だっりぃ~。なんだよあいつ、くそ面倒な仕事押し付けやがって。聖騎士の仕事じゃないでしょ」

案内をしている人の横で言う言葉じゃないと思う。さっきまでは猫をかぶっていたらしい。人格がこうもコロッと変わるだなんて、人間というものは恐ろしい。

「で?どこに向かっているんだ?」

「敬語を使いなさい敬語を。あなた私が何歳だと思っているのよ?」

外見だけ見ると殆ど同い年だと思うんだけどなぁ。俺が現実でアニメを見ていた時も、彼女の年齢は明らかにされていなかった。

「何歳なんだ?」

赤髪の少女は答える。

「だから敬語をっ!歳は、、、ヒミツよ!」

彼女はその時の気分によって髪色が変わるという、特別な体質なのだ。今は髪が赤いから、怒っているのだろう。確かアニメでは『虹の女神』とか呼ばれてたはず。そう、俺は現実世界で彼女の大ファンだった。だから彼女に関しては人一倍詳しい自信があった。が、設定上の彼女と現実(現実ではないが)の彼女は全くの別人だった。なんかちょっとガッカリだ。

「ところで、どこに向かっているんだ?街を案内されてるはずなのに、目の前には美しい田んぼ達がおられるのだが」

「街なんて自分で探検でもしてなさい」

職務放棄だ。

「あなた、今夜泊まる所無いでしょ?」

泊まる所というか、財布も無ければスマホもない。この世界でどの程度法整備が進んでいるのかは分からないが、おそらく今の俺には戸籍がない。正真正銘のお先真っ暗ってやつだ。泣きたい。

「泊まる所って言ったって、俺今金持ってねぇぞ」

「大丈夫よ。私の家に泊めてあげる」

なにこれ。ラブコメの予感がする。


「きっったな!!」

街の外れののどかな場所に一軒の可愛らしい家が建っていた。それは三角屋根の二階建てでいかにもヨーロッパにありそうな雰囲気を醸し出している。周りの風景とも調和がとれている。外から見ればまるでそれはファンタジーの世界に迷いこんだかのような、夕方に見ると切なくなりそうな美しい景色だ。外見は。人は中身が大切とよく言うだろう。(俺は何度この言葉に助けられたことか)簡潔に言おう。この家はゴミ屋敷だった。

「ようこそ!我がマイホームへ!」

「頭痛が痛いみたいなこというな!何なのこれ?足の踏み場もねぇじゃん!!」

国の英雄たる聖騎士長の自宅とは思えなかった。取り敢えずアマテラスが歩いた所を踏み、リビングを目指す。

「足の踏み場無いでしょ?だから移動するだけでトレーニングになるの!」

「やかましいわ!一体どういう生活してるの?身分高いんですよね?お手伝いさんとかいないの?ねぇ?」

俺は寝床を提供されるはずなのに、立つ場所もあるかどうかという家に連れてこられた。女の子の家に入るのは初めてでちょっとドキドキしていたのに。俺の気持ちを返してくれ。

「足の踏み場が無いでしょ?だから移動するだけでトレーニングになるの!どの経路が最短か、一番行きやすいのか、そしてどのくらいの強さで床に聳え立つ物々を踏むのか。判断力や機動力、筋力も鍛えられるわ!」

「られるわ!じゃない。なるほど。これがこの国最強騎士になる秘訣ということか」

「そうっ!」

「なわけあるかっ!」

自分でボケて自分で突っ込む。悲しきかな。

「もしかして二階もこんなんなのか」

「自明」

「しばくぞ」

俺だって他人の家が汚なかろうが別に文句を言うことはない。この家のドアを開けた瞬間に全てを悟ったからこそ、こうもブーブー言っているのだ。どうせこれを全部片付けたら泊まってもいいですよ、みたいなオチなんだろう。

「これを全部片付け終わったら帰ってもいいわよ」

この白髪野郎殴ってもいいですか?帰る場所が無いから困ってるんですけど?俺があいつなら髪の毛が真っ赤に染まっていたことだろう。そういえば、アマテラスの髪は白い。感情が高まった時にだけ髪色が変わるんだっけ。確かアニメではデフォルトは白だったけな。しかし、俺は大人の対応が出来る男だ。泊めてもらうのは俺の方。それも女子、それも英雄の家に。ここは丁寧にお願いをしよう。俺は姿勢を正し、(そもそも動けないのでほぼ姿勢は変わってあないが)アマテラスに頭を下げた。

「泊めて下さい!帰る場所もお金も無いんですぅぅぅ。お願いしますぅぅぅ!貴女だけが頼りなのですぅ!」

我ながらみっともないが、情に訴えかける作戦だ。

「いいわよ?外に犬小屋があ」

俺の右ストレートがアマテラスの顔面にクリーンヒットした。


七時間後、顔を真っ赤に腫らしたアマテラスと共に俺達は掃除を終えた。時刻は午後4時ごろだろうか。もう日が傾いてる。美しい夕日の光がこの街を染めていた。部屋を掃除し終えて気付いたが、この家結構広い。今俺はリビングのソファーでくつろいでいた。しばらくの間俺の定位置になりそうだ。

「一度落ち着いたし、あなたの話でも聞きましょうかね」

アマテラスがキッチンで紅茶を淹れながら言う。確かにアマテラスにとっては、急に焼き鳥の串持って空から降ってきた程度の情報しか無いんだろう。ただ、話したところで信じてもらえない気もする。

「それで?あちらの世界にはどうやって帰るつもりなの?」

「どうやってって言われてもなぁ。どうやってここに来たのかも対して覚えて、、、」

そこまで言って俺は気付いた。なぜ彼女はあちらの世界とやらを知っているのだろう。口を開けたまま固まっている俺を見て、彼女はクスリと笑った。





辛口評価はご遠慮下さい。

続きは書くかどうか分かりません。

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