『 精霊 と 人間 』
世界がまだ白かった頃、精霊達はそこにいました。
ある日の事です。
「白い世界はつまらない、同じものを見るのはもう飽きた」
と思った一つの精霊は白い世界に色をつけようと思いました。
まず、初めに精霊は自分の指を1本折りました。
折れた指から流れ出た真っ赤な血が火となり大地を燃やしていきました。
その痛みに精霊は声を出して泣き、暴れたので雷鳴が鳴り響き、雨風で火は消えましたが大地は揺れました。
ひとしきり泣いたあと折れた指に自分の髪の毛を巻き付けました。
髪の毛を巻き付ける際に何本かの髪の毛が大地に落ちて森になりました。
すると、髪の毛を巻き付けた指が金色に光りだしました。
「なんて綺麗な色なんだ!この光は僕の初めてのお友達だ!」
やがて、光が落ち着くと…指だったものは精霊と同じ形になり、話しかけてきました。
「はじめまして、指は痛くないかい?僕の友達」
「はじめまして!私の友達!指は痛いけど、君に会えたならばこの痛みも喜びに変わるだろう!」
精霊から生まれ、精霊の初めての友達となったその者は ”人間” となり、たくさんのものを与え、与えられ、お互いに協力し合って生きていった。
人間は、精霊に感謝と祈りを与え
精霊は、人間に畏怖と慈愛を与え
白かった世界で色をつける為指を折った精霊は、色の着いた世界を見て優しく笑いました。
人間が無いものを精霊に願い、その代わりに精霊は人間から有るものを受け取りお互いの幸せを願いながら末長く仲良く過ごしていきました。
…こうして、にんげんはせいれいとなかよくくらしていきました!めでたしめでたし!