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落ちこぼれと言われた最強剣士  作者: 赤崎 紫音
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決闘 前編

俺は左腰に携えた剣を構えた。両手で持ち、しっかりと握りしめた。

大丈夫。俺ならやれる。

そう言い聞かせた。

「準備はいい?合図は、このコインが落ちたときね」

ミオは右手に持つコインを見せてそう言った。

俺は頷いて、数歩後ろに下がった。すると、コインを弾く音がした。俺は呼吸を整え耳をすました。

カチン。

その瞬間、ミオが一瞬にして目の前に現れた。

その勢いのまま振られた剣を俺はなんとかして受け止めるが、勢いを止められずそのまま後ろに弾き飛ばされた。

今ここでようやく、ミオの武器を見ることができた。

右手と左手に剣を持つ二刀流。さらには、その二本の剣は別々のものであった。右手にはアステラ、左手には伝説の剣、ガイアを持っていた。

装備を見ただけでも勝てるとは思えなかった。しかし、簡単に諦めることはできない。なぜなら、落第が掛かっているかもしれないからだ。

「何を考え事してるの?少しは勝つ努力をしたらどう?」

そう言ってまた、突っ込んできた。今度は姿を捉えることができた。しっかりと床を踏んで、剣を握って攻撃を受けた。少し、押されてしまったが、留まることができた。

俺は剣を前に弾き、初めて攻撃の態勢を取る。

しかし、ミオはすぐに反転し、次の攻撃を仕掛けていた。不意をつかれ、俺はまともに攻撃を食らってしまう。

「ここが練習場で良かったね。戦場なら死んでたよ。じゃあ、バイバイ」

ミオは、俺に剣を振りかざした。その時、俺を光が包んだ。それは、ミオの剣を弾き、ミオを退かせた。

俺は立ち上がり、天を見上げた。呼吸を整え、頭を整理する。

こいつは強い。間違っても楽に勝てると思ってはいけない。相手は近距離タイプ。有効なのは距離を保ち続けること。間合いを詰めさせず、こちらの有効打で叩く。

整理をつけ、光の中から辺りを見回す。誰しもが驚いていた。それも無理はない。このような魔法は見たことがないからだ。

あまり目立ちたくないって言ったバッカなのになぁ。

などと心の中で思いつつ、仕方がないと言い聞かせる。背に腹は変えられんか。

俺は光を止め、ゆっくりと歩み出す。

ミオは警戒して、後ろに下がった。

「シン!今のは何⁈何をしたの⁈」

「今のは光の防御魔法『セイクリッドウォール』だ」

ミオは驚いてはいたが、焦ってはいなかった。

「そう。でも、あなたは私についてこれていない。これが私とあなたの現状の差よ。早く負けを認めて!」

さっきからこいつは何を急いでいるんだ?

「ついていけてないのは確かだが、勝てないとは限らない。ここからは俺のターンだ!」

俺は魔法を展開した。

「あなたの魔法なんて怖くな……え?…」

俺は剣を捨てて両手に魔法陣を展開した。これなら十分戦えるだろう。

「なんで…剣士なんじゃ…」

俺は火の下級魔『フレイムアロー』を、唱えた。それを高速で連続詠唱してミオに撃ち続けた。

ミオはたまらず回避し、剣を地面に叩きつけ、山を形成した。その後ろに身を隠していた。

俺は一定の距離を保ちつつ、違う方向からまた、『フレイムアロー』を唱えた。

「あぁ、もう!うざったい!」

ミオが不満の声を出す。そして、剣を自分の前に構え、突進してきた。俺をすかさず、『フレイムアロー』を唱えるが、ミオはしっかりと避けて、近づいてくる。俺は、下がることを忘れ間合いを詰められてしまった。

「獲った!」

ミオは思わず口に出してしまった。しかし、その時、ミオの前で小爆発。ミオが後ろに吹っ飛ばされる。

「ちっ!後ちょっと…」

ミオも流石に危なかったようで呼吸が乱れていた。

「やるね…シン!」

俺もミオを見て笑った。

え?今、俺は笑ったのか?なぜだ?

俺は努力を認めてもらいたかったのだろうか。誰かに必要とされたかったのだろうか。何のためにここまでの努力をしたのだろうか。色々考えてしまった。

しかし、その考えをすぐに捨て去った。

今、そんなことはどうでもいいじゃないか。俺はこいつに勝ちたい!

「行くぞ。ミオ」

「こっちも本気で行くよ!」

俺とミオの戦いは続く。

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