学園長室にて 後編
学園長は不敵な笑みを浮かべ、俺の方を見た。
「単刀直入に言おう。君にはこの学園を変えて欲しい」
信じられなかった。創立して以来、体制を変えなかったこの学園の、しかもトップの人間がそんなことを言ってくるなんて。
「驚くのも無理はない。だが、私はこの学園のあり方には納得ができないのだ。だから、私はこの学園を変える。しかし、私一人では生徒たちに軽くひねられてしまう。そこで、君の力を借りたいんだ!」
俺は素直な疑問を投げた。
「なぜ、私に力を借りるのですか?他にも頼れる人がいたはずです。そもそも、あなたのような変革者をなぜこの学園は受け入れたのですか?」
「その疑問はもっともだろう。まずは、学園長の件について話そうか。私がこの学園に就任したのは、ある方に学園の変革を頼まれたからだ」
「ある方?」
「そうだ。アスタルテ皇国代14代国王、カデル・ツヴァイ様だ」
国王…だと…なぜ?
正直、人のスケールがデカすぎて思考が止まってしまった。
「驚くのも無理はないだろう。しかし、事実なんだ。国王陛下はこの学園のあり方には以前から疑問を抱いていた。しかし、一部の有力貴族がこの学園のあり方を変えようとしなかった。そこで、私に声がかかったんだ」
学園長はなぜ就任したか、なにをするべきなのかを全て話してくれた。
「さあ、全てを聞いた上でもう一度聞かせてくれ」
学園長は一呼吸おいて、
「この学園を変えてはくれないか?」