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迷いびと  作者: fengleishanren
1/3

序 人はいつでも迷ってる

ものがたりの始まりです。文字通り『物語る』調子ですすめます。本文は散文と韻文で構成されます。

 さーて皆様、お立ち会い。


 これより語るお話は、とある世界の片隅でとある時代に起

きた事。真偽の程はさて置いて、何故かこの手に伝わって、

今ここにその真髄を明かすに至った物なのです。


 時は遥か昔、いにしえの、人の歴史が始まるずっと前。そ

んな頃から始まります。その頃の宇宙といえば、まだ何の体

裁すらも整わず、これから始まる事さえも予測も許さぬ有様

で、それはまさしく


  時は宇宙も若き頃、乾坤混沌渦巻いて

  色も形も為さぬまま、ただ存在を示すのみ。


といったところでした。いかほど時が経ったでしょう。その

存在は後々の話の主役となる者が生きる舞台を創り出す、気

高い役目を果たしたのです。まさに


  その後暫く経った後、ようやく天地開闢の

  時を迎えて星々が生まれて集う超銀河。


というのに相応しい超変化でした。


 そんな中から精霊が誕生したのは自然の流れ。宇宙の神気、

精髄を集めたものが精霊で、その精霊が集まって、大精霊に

なりました。大精霊がした事は、


  精霊達を率いつつ、幾多の生命(いのち)を目覚めさせ

  自身は各地に飛び散って命を育み導いた。


 後世、人の世になって、これぞ、命の根源を司る者のみ許される

偉大な力の発現と称された程のものでした。言うなれば


  それ自体が、生きている生物的な存在で

  あるだけでなく、生き物の源として機能する。


という事実を証明するものでした。こうして時は過ぎてゆき、

大精霊は生き物の本能的な尊敬と畏怖を集めて君臨し、

宇宙は平和に満ちていましたが、ある時点から少しずつ

歯車が狂い始めていきました。


 人類誕生。


 これ程歴史を狂わせた事件は他にありません。人は次第に

知恵をつけ、欲望のままに行動し、あらゆる物を巻き込んで

暴虐の限りを尽くします。


  業の深さも何のその。あくまで目指す我が利益。

  際限の無い欲望にまみれた人の凄まじさ。



  


 言ってみるなら精霊の真逆を地で行く罪深さ。人の(カルマ)

はどれ程に世界に仇なすものなのか、当の本人たちさえも

計り知れない物でした。


  


 その後の人と精霊の因縁めいた関係が

 

 それから更に時は過ぎ、ついに人の登場となった頃には、精

霊はすっかり自然に溶け込んで、自己主張さえ忘れ去り、専ら

自然環境の中を巡っておりました。そうです。それは、




 更に長い時が過ぎてゆき、精霊たちは人類の擡頭により追い

やられ、次第に存続そのものが脅かされるようになり、争う事

を好まない大部分の精霊は次元の彼方へ旅立って姿を消してし

まいました。中には、それを良しとせず、世界に留まって陰か

ら密やかに人類を攻撃する者もあらわれました。人類にとって

は原因不明の災害として認識されました。それは例えば


  不思議な力の発現に、為す術のない人類は

  災禍を避ける幸運に、あずかる事を祈るのみ。


といったところ。本気になった精霊の見えない力に手も足も出

せない人類ではありますが、所詮主戦派は少数派。決定打をく

り出せないままずるずると、またも時間を費やしている間にも

人類は、持って生まれた悪知恵と、年中いつでも発情出来る強

力無比な繁殖力による数の多さに加えて、発祥以来こつこつと

蓄積し続けた科学の発展により、精霊といえども無視出来ない

脅威となったのであります。


 追い詰められた主戦派の精霊たちは今までと異質な存在に変

貌し、凶悪な力を大規模に振るう様になりました。人はこれを

「魔」と呼んで、非常に恐れはしましたが、やがて人の中から

も「聖」なる力を持つ者が登場するに至りました。「聖」は、

度々「魔」を制し、撃退する様になりました。また、大多数の

精霊は人と争う事を好まず、人との接触を避けるか、平和に共

存する事を選んだので、「魔」の勢力範囲が拡大する事はあり

ませんでした。もっとも、縮小する事もありませんでした。

後世、巷では


  さても不思議な拮抗に両当事者は当惑し、

  ともに出せない決定打。まだまだ続く腐れ縁。


などと歌われる様になったのは、また別の話。ともあれこうし

て「魔」と「人類」と「精霊」の、三者それぞれ思惑を秘めつ

つも膠着状態が成立し、しばらく続く事に相成りました。


 さて、どこの世界にも熱狂的な原理主義者はいるもので、最

弱無害な生き物から、宇宙の覇者へと成り上がった人類は、と

いっても思っているのは当人たちだけですが、人類こそが数あ

る知的生命体の頂点に立つべきであると信じる様になりました。

さらに、さらに、進出先の星々で邂逅した異種族を、科学と数

で圧倒し、隷属化させていきました。


 人類に対抗し得る唯一の存在であった精霊族の大半が、争い

を避けて身を隠す現状では、他種族は人類に屈服する他なく、

宇宙各地で人類の横暴専横果てしなく、怨嗟は募っていったの

です。


 増長最高潮の人類。捲土重来を狙う魔。我関せずの精霊。復

讐を胸に耐え忍ぶ異種族。宇宙各地を巻き込んで、やがて来る

は群雄割拠の騒乱の時代。


 話の舞台が整ったところで「迷いびと」序の段、これにて読み切りと致します。


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