思い出写真館
日に焼けた少年は
今日も写真を撮り続ける。
少年のカメラは容量は大きいが
画質が残念だった。
少年は何も知らなかった。
全てが輝いて見えていた。
今日も写真を撮り続ける。
少年の1年は長かった。
思春期の中に青年は
今日も写真を撮れずにいた。
青年はもう純粋ではない
青年は人間に慣れ始めていた。
徐々に見えてくる将来
凡才である自分の能力
類は友を呼び、そして傷を舐め合う
青年はなんとか写真を撮り続ける。
青年の1年は早かった。
雑踏と雑務に追われる男は
カメラを既に捨てていた。
同じ時間に同じ場所へ向かい
同じ事を繰り返し続けた。
ただ淡々と同じ毎日をこなした。
男のアルバムは酷く寂しいものだった。
男の1年は何も無かった。