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悪意の神戦 その1

三人称視点になります。

「狭いよねぇ。広げようかー。」


突然『悪意の神』がそんなことを言う。

突然のことだから静也とノーナは気が抜けた声を漏らしてしまった。


『悪意の神』が手を前に出すと、オーラが集まりだし、圧縮され、黒い禍々しいモノができた。バチバチと電気のようなモノが発生している。


「まずい!避けるぞノーナ!」

「?!」


突然静也のスキル<常時警戒・傘>が強く反応した。

ノーナは静也の言うことに従ってくれたから怪我一つない。


しかし、振り替えると一体が更地に、あっという間になっていた。

木も、草花もすべて塵と化した。

もしも、避けるのが遅かったなら、と考えたなら、きっと立ち向かう勇気を失くすと思い、ノーナは何も見なかったことにした。


「あっ、ごめーん!範囲間違えちゃった。まぁ、でも怪我がなくてよかったねー?」

「ッチ!わざとだろ!技を放つ瞬間ニヤけただろうが!」

「ハハハ!バレてたかぁ!」


静也はノーナに小声で呟いた。

「俺が近接戦闘、ノーナは支援、妨害を頼む。」

「…わかった。妾のもてる限りの魔力で何とかしよう。」


「スキル<傘纏い>!壱式<徒手空拳>!」

「む!シズヤ、お主…いや、今は良い!やるぞ!」


スキル<傘纏い>は静也のからだに傘を融合することで身体能力強化をしたまま、素手で戦うことができるスキルだ。

だが、本来の目的は防御にある。


今のところ人体の急所、正中線五点の防護、関節の防護が殆どだ。

あとはダンに倣って手にも融合させている。

それでも武器()は持てるので不自由ではない。


壱式<徒手空拳>は、ダンが名付けてくれた技だ。

静也もカッコいいと思っているから不満はないようだ。



『淫魔の長たる妾が命じる。』


ノーナの詠唱が始まった。

詠唱はカッコよくて好きだ、と思っているが、どうしても戦闘中には大きな隙となる、と理解している。

だから、静也が注意を引き付ける。


『此より来る(きた)は阻害の法。』


『悪意の神』は、ノーナには目もくれず、静也と戦おうとしていた。

ノーナの魔法など眼中にない、とでも言いたいのだろうか。

静也と『悪意の神』は、正面からぶつかり合い、その衝撃で突風が巻き起こった。


『地より受けし彼の者の恩恵を、妾の法で打ち消さん!』


どうやら、詠唱が終了したようだ。

だが、ノーナはまだ魔法を発動しようとしない。

それどころか、また詠唱を始めた。



「おいおい、俺と戦うんじゃなかったの?俺の方に意識しないと、まじでやられちゃうよ?」

「うるさい、わかってるっての。」


『悪意の神』の攻撃方法は自身の肉体での攻撃。

現在の静也と同じ戦い方だが、静也の防戦一方だ。

手を出すタイミングすら見つからない。

攻撃を受け、いなすくらいしか今はできていない。

しかし、攻撃自体が軽いのであまり苦ではないが、すべて手を抜いてるのがわかる。

まるで静也の肌を撫でるかのように。

逆撫ですると言うのだろうか。


「おいおい、話にならないぞー?」

「うるさい、お前が手を抜いてるから警戒してんだよ!」

「あは?バレた?」

「バレバレだ、バカ!」


途端、『悪意の神』の雰囲気が変わる。

静也は咄嗟に距離をとった。


「俺がバカ?バカ?バカ?バカ?バカバカバカバカバカァァ!?」

「おいおい!一体どうしたってんだよ!」


『悪意の神』のオーラが爆発したかのように一気に跳ね上がる。

そして肌は褐色に染まり、からだの時計あちこちに緋色の紋様が浮かび上がる。

額からは目がギョロリと覗かせ、三本の角が生えた。

悪神特有のアレだ。

以前『悪戯の神』が見せた技だ。

つまり…


「ノーナ!赤い紋様を見るな!正気でいられなくなるぞ!」

「うむ!わかった!」


詠唱中だというのに会話ができるとは、と感心していたご、そんな場合じゃないとすぐに気を取り直す。


変貌を遂げた『悪意の神』にとりあえず牽制に一本傘を投擲してみた。

すると『悪意の神』は片手で受け止めてしまった。


『これが特別だったって訳か…。これがなければお前はただの人間になる訳か。』

「…やってみろよ。」


『悪意の神』の口調が変わり、大人びた雰囲気を醸している。

余裕のある大人、という感じだ。


『強がっていられるのも今のうちだ。』

「そうかな?やってみろよ。」

《シズヤ!準備ができたぞ!やるぞ!》

『相変わらずペチャクチャうるせぇなぁ!!』


『悪意の神』がノーナに向かって咆哮し、向かっていこうとするところを静也が傘を召還し、正面に立ち食い止める。


《シズヤ!》


そこでノーナから合図がかかり横にとぶ。


《<身体能力低下>!<行動速度低下!>!<行動遅延>!》


ノーナの魔法が『悪意の神』に当たった。

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