女の会話(争い)
ある日のこと
「ノーナ、冒険に行くときの道具をそろそろ買い換えないといけないから、一緒に行こう。」
「うむ、妾もついて行こう。」
ノーナと二人で以来を受けることが増え、ちょっとした怪我もあり、ポーションの在庫が少なくなっていた。
そうでなくとも、野営をする道具類も修理、もしくは買い換えないといけない。
いい機会だから、ノーナを連れて局地的にだが、村の案内をしようとおもったのだ。
道具を買いに行くところはいつも決まっている。
「あ、いらっしゃいシズヤのにいちゃ…誰?その女?」
「あぁ、ノーナだよ。話は聞いてない?」
「…そういう問題じゃないんだけど…」
ティアは、頬を膨らましてふて腐れる。
静也はその様子を可愛い可愛いと心のなかに留め、娘を見守るような目で微笑んでいた。
「でー?何の用?」
「道具を買いに来たんだ。それと、今ある道具もそろそろ買い換え時かな、って思ってな。」
「どれ?買い換えたいのって。」
「一杯あるからな、一通り出しておこうか」
「一応目利きは出来るから、買い換えが必要なものだけ選別するよ。」
傘ストレージから、使い古した道具類を取り出した。
荒縄や、魔道ランタン、今まで買い、使った冒険に使えそうな物を一通り出した。
「頼めるか?」
「勿論、私を誰だと思ってるの?この店の店主よ?」
「そうだったな。」
「シズヤの兄ちゃんは、また、奥にでも行って欲しいのがあったら買ってよ。」
「おう、ノーナはどうする?」
「妾はこの娘といる。存分に見てくると良い。」
「ん、わかったよ。じゃ、仲良くなー」
そう言って静也は店の奥の在庫部屋に歩いていった。
残ったティアとノーナは静也の姿が消えたのを見届けると
「魔族のお姉ちゃん。シズヤの兄ちゃんとはどういう関係なの?」
「唐突だの。シズヤと妾はお主の思うような関係ではないぞ。シズヤとはるーむしぇあ?というやつだ。まぁ、妾が住まわせて貰っておるのだが…」
「…ホントに?ホントのホント?」
「む?……おお、成るほどお主もか。シズヤの奴、隅に置けないのぉ。」
ノーナがけたけたと笑う。
ティアは赤面するも、誤魔化さない。
「手は出してないでしょうね。」
「うむ、無論、妾からは手は出さない。」
「…」
二人の女の心理内での攻防が繰り広げられていた。
二人は顔を合わせ笑顔を作るも、二人から放たれる濃密な魔力のようなモノが物々しさを語っていた。
在庫部屋にいる静也も、悪寒を感じるレベルに。
「…ところで、お主こそシズヤとはどういう関係なのだ?妾にばかり聞いて卑怯ではないか?」
「うっ…、まぁ、いいよ。私はシズヤの兄ちゃんの身の回りの世話(かなり盛った)をしているんだよー。私のお陰でシズヤの兄ちゃんは無事に済んでるんだからね。」
「ほぉ、それは凄いの。妾は、シズヤの手伝いばかりでな、手伝おうとしても、妾がもともとクイーンだったからか、シズヤはずっと妾に休んでいていいと、そればかりかでな。全く甘い男だのぉ。」
「それは同意するね。シズヤの兄ちゃん、甘いってより、人をダメにしちゃうんだよ。」
静也の居ない間、二人の愚痴は加速していく。
一方、何も知らない静也は、暢気に使えそう(面白そう)な道具を探していた。
事実、冒険では何が起こるかわからない。そして、何が役に立つかもわからない。
使えそうだと思うものは一通り見て、購入するかしないか考える。
未だ使っていない傘ストレージの中の肥やしになっている道具はいくつもあるが、役に立ったものもある。
道具ひとつで命が助かるのなら安いものだ。金を放ってでも命を大事にだ。
「…こんなもんでいいか。」
かごいっぱいに入れられた道具。
以前、スキル〈転生者〉を自己開示して見たときにスキル〈鑑定〉があったのを覚えているだろうか。
そのときの静也はものの値段を鑑定するものだと思っていて、いつまでも使わなかったが、ティアに教えられ、使えるようになったのだが、ものの値段は地域や国によって差分があり、ものの能力はわかるものとわからないものがあり、はっきりとはしないままだ。
使い続ければはっきりとしてくるだろう、とティアに言われ使い続けているが、未だ詳細はわからないままだった。
在庫部屋にはいてきた入り口に近づくとなにやらティアとノーナのたのしそうな声が聞こえてくる。
「私のほうが女子力が高くて、料理も、掃除もできるもん!あなたよりかは貢献できる!」
「ほぅ、妾はお主より夜を楽しませることができるぞ。乳も美貌も妾の方が遥かに勝る。」
「うぐぐ…私のはまだ発展してないの!これからなの!」
「…なに話してんだ。ティア、勘定してくれ。」
「わ、わわ!あ、うん!わかった!」
話を聞かれていたと思い、顔を赤くさせるティアは静也の目を見ることができなくなり、視線を下に反らし、顔を見ないようにしていた。
それでも、やはり反応が気になって顔を覗くように上目遣いになる。
その反応に静也は胸が貫かれるような感覚を味わうことになった。
「えーっと、合計で210ルターになるよ。」
「はい。丁度ね。これからもノーナと仲良くしてくれないか?」
「うぇ?!私?…まぁ、いいよ?」
「はは、助かる。ノーナにも話し相手が要るからな。俺とばかりじゃ流石に飽きるからな。」
「む?妾は飽きんのだがな。…まぁ、この娘と話すのは楽しいから構わんが。」
「よし、決まりだな。ティアも、暇な時には俺の家に遊びに来てノーナと話しに来てくれてもいいぞ。」
「へ?いいの?!」
「あぁ。片付けはしているつもりだけど、汚かったら、そこのところは許してくれよ?一緒に片付けを覚えような、ノーナ?」
「う、うむ。出来ることから始める。」
「明日良い?!明日お休みだから!」
「お、おう。構わないぞ。」
次の日
「シズヤの兄ちゃーん!遊びに来たよー!」
ティアが、背中に大きなリュックを背負ってやって来た。
日が登り、村の人達が活気付く頃に。
「あ、あぁ。おはよ。」
「うぬぅ…早いの。シズヤとは大違いだ。」
「シズヤの兄ちゃん、今起きたところ?朝御飯は食べた?」
「あぁ。今からだ。ティアのも焼くよ。まぁ、上がってくれ。」
「お邪魔します。」
家を借りてから環境が変わったからか、静也の起床時間が狂い始めた。
ノーナは日の出と共に起床するが、静也は日が出て約二時間後に起きるのだ。
環境の変化に弱い静也であった。
その日からティアは静也の家に通い出した。
不用心だか、スペアの鍵も作り、いつでも家に上がれるようにしておいた。
早くから来ては朝食を作ってくれる。
「こんな妹が欲しかったんだ。」
と、静也も大絶賛だ。




