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起死回生の神からの有りがたい助言

物件から出て、静也はずっと悩んでいた。

腕を組み、ずっと悩んでいた。


『シズヤ、お困りのようだな?助言してやろうか?』


起死回生の神が静也の脳に語り掛ける。

その口調は煽っているような、そんな感じだ。

神からの有りがたい助言だ、言い方はあれだが聞いて損はないだろう。


「…お願いします。俺はあの家を買えばいいのか、それとももう一回り小さい家の方がいいのか…」

『ふぅん?あの家のどこが嫌なんだ?』

「とても広くて、手に余る…ってよりあの家でいると落ち着かないと思うんですよ。家を清潔に保つのも大変そうですし…一人では手に負えないと思うんです。」

『なぁんだ、そんなことか。お前は何一人でやろうとしてんだ?つくればいいだろ?彼女か嫁さん。』

「な、なな、なにいってるんです?!彼女か嫁さんって、そう簡単にできるもんじゃ無いですよ!女のひとを甘くみすぎですよ!」

『お前からアタックすりゃぁいい話だろ。なにチキってんだ?』

「無理ですよ!俺じゃ相手にされませんよ!それに、もし仮に付き合っても直ぐに別れられますよ!」


静也は小声で話していたが端から見ればヤバイやつにしかみえない。そのことに気づくとそそくさと何もなかったかのように歩き出した。

その顔は茹であがったタコのようだ。


『お前は何か勘違いしてるだろ?この世界の男の価値は顔や面白さ何かじゃねぇんだよ、強さと収入だ。顔がよくても食っていけなきゃ意味がない。面白くたって強くなきゃカッコ悪い。』

「で、ですが…」

『ダァー!クソ!なにチキってんだ!お前はこの村で結構な強さがあるんだよ!モテないわけねぇだろ!』


起死回生の神の叱咤で静也は黙ってしまった。

この世界に来てから大分馴れた。しかし、前世からそういうことにはどうも不慣れと言うか、卑屈というか。兎に角奥手だった。


『詳しいことは話せないが、お前は簡単に言うと『チート』なんだよ!慎重なのは悪いことじゃねぇ、けど、お前がそうやって奥手になってるのは誰だってムカつくし腹が立つ!菓子をやっても礼を言わないガキと同じで、そういう態度が人をイライラさせるんだよ。自分の立場に甘んじるな。』


起死回生の神の言葉には不思議な重みがあった。

まるで、過去の自分にアドバイス、いや、叱っているような…


『自分に自信が持てないのなら、自分に自信が持てるよう試していけよ。なんだったら俺が手伝ってやるぞ?』


起死回生の神は悪巧みしてそうな口調でそう言った。


「わかりました。自分に自信が持てるように励みます。」


静也の心に少しだけ、ほんの少しだけ、自信という二文字が書き込まれた。

そんな気がした。


「で、起死回生の神様、俺は早速何をしたらいいんでしょうか?」

『知らんわ!自分で考えろ!』

「え?!」

『というのは冗談、先ずは家でも買ってみろ、何か変わるかも知れないぜ?』

「わかりました。」


静也は先ずは家を借りようと決心する。

買う気になれば買えばいい、そう思っていた。


『あ、シズヤ、そろそろお前、宿の滞在期間過ぎるんしゃないか?』


「あ」


決心したが、こんな調子で大丈夫なんか?と起死回生の神は思ったのだった。

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