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気づかぬ本当の力

組合の裏には広場があり、ここでは試験や訓練の講習を行っている。

静也もここで試験を行うようにと後に伝えられた。

試験官の名前は『ダン』、元金級冒険者だったようだ。

なぜ冒険者を辞めたかはまた別の話。

試験内容はダンに一発攻撃を与えること。

簡単なようであるが元金級冒険者が相手だ。

実践経験も豊富で尚且つ、目に宿る闘志は轟々ともえている。

それに対して静也はというと…


「あんなのに一発なんて無理だって…喧嘩でも勝ったこと無いのにぃ!ここは避けることに…いや、でもあの人の目…獲物を見つけたかのような目だよぉ!今日死ぬんじゃないのぉ?!」


人のいないところでそんなことを言っていた。

つまるところ情緒不安定であった。


それでも時間とは残酷なもので刻一刻と時間は過ぎ今まさに試験の開始が始まるようだ。

エリアは広場内。制限時間は5分。

平静を装っている静也、だが内心は感情大噴火状態である。


心臓の鼓動が聞こえる。

緊張を通り越して悟ってしまった。

鋭く眼光を光らせ静也を値踏みするかのようにながめるダン。

あまり気持ちのいいものではない。

エリア外は観客席があり、眺めている冒険者は少ないながらもいる。

冒険者達は静也が一発攻撃が入れるかに賭けをしていた。

人の試験で賭けをするなよ…答えは見えてんだろ…あんたらもよぉ。またあそこに逝くのかな…

静也は転生そうそう死後のことを考えかけていた。


「じゃぁ、始めるぞ。」

(始まってしまう、怪我で済むのか?こんなゴツいオッサンにやられて…)


受付のお姉さんが手を叩き開始の宣言とした。

その瞬間試験官ダンが猛スピードでこちらとの距離を詰める。

距離は20メートルあっただろう、その距離を2秒足らずで詰めてくる、驚異的な脚力だと言う他無い。

しかしそれは周りの観客席の奴らからみた場合だ。

一方静也からみた場合は


《スキル<傘の極意>を行使しています》


ダンが途中まで凄いスピードでこちらに走ってきたがアナウンスが聞こえた気がした途端動きがゆっくりし始めた。

静也はそういう振りかなと思ってどうしたら良いものかわからずただ突っ立っていた。

右のジャブを打つモーションすらもゆっくり見えた。

流石に人の拳をわざわざ喰らいたいやつなんかいない。

最小限上体を動かし拳を避けた。


未だに何をしたいのか分からずにいた。

周りの音もゆっくり聞こえ、何かの撮影か?と思ってしまった程である。


わざとゆっくりとしてんのか?周りのやつも共犯か?何でわざわざこんなことを?意味がわからない。


思考をめぐらせるも、何がしたいのかわからない。

勿論真相はスキル<傘の極意>にあった。


その真相にたどり着くのにはまだかかるだろう。

拳を避けてダンが距離を置いた途端、回りが騒がしいくなり常速に戻った。

するとダンが話しかける。


「何で打ち込まなかった?」


そこで静也が察した。

相手に攻撃を打ち込めるかの精神力を確かめたかったんだな、と勝手にそう解釈する。


勿論違う。変な勘違いをしている。


「すいません、次は攻撃します。」


すると周りのギャラリー達がざわめいた。

一発と言わず何発でも殴ってやれだとか、でかいこと言ってくれんじゃねぇか、など野次がうるさい。


「ほう、やれるならな。」


ダンが強気である。そんなダンに何か仕掛けて来るのだろうと思った静也は気を引き締めた。


異世界ではじめて静也はファイティングポーズを取る。

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