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水鏡静也、家を見る

某番組の企画名を参考に…

解体教習を終える。

時刻は昼過ぎ、陽の暖かさが人を包み、眠気を助長する。

静也もその一人だ。

思っていたよりも解体教習が早く終わり、暇になり、村を欠伸をしながら散歩していた。


日だまりの優しい暖かみを村の人は受けていた。


昼飯をまだ食べていない静也の腹の虫はぐーぐーと昼飯を食べることを催促する。

静也はその催促に素直に従い、昼飯を食べに向かった。

勿論、いつもの酒場である。



「いらっしゃいませ!」


いつものかわいくて、怖いところのある娘さんだ。

常に笑顔で注文を伺い、絡み酒の客を適当にあしらっていく。


セクハラされそうになったときの娘さんのあの眼光、目を見ていないのに何故か刺さるものがある。


看板娘も大変そうだ。

そんなことは置いておき、いま静也は何を食べようかと迷っていた。

昼間っから酒を飲もうとは思わない。

他の客が食べているものを見ていても、全部美味しそうだから迷ってしまうのだ。

そんなとき、ある言葉が耳に入った。


「娘さん!今日のおすすめはなんだい?!」

「今日は『バンバンジーサラダ』ですよー!」

「じゃあ、それを頼む!」


バンバンジーサラダ、鳥のむね肉を手で裂いたものと、キュウリを薄切りにしたものとドレッシングをかけたものだと、静也は記憶している。


静也は思わずよだれが垂れそうになった。


「娘さん!俺もおすすめお願いします!」

「はーい!」


忙しなく働き続ける看板娘の背中を静也はただ見ていた。

毎日、あんなに働いてて大丈夫なのだろうか、という心配をして。




「お待たせしましたー、本日のおすすめの『バンバンジーサラダ』ですー!」

「ありがとう。」


手を軽く合わせ、いただきます、と唱えバンバンジーサラダを食べる。

ドレッシングは酸味があるがまろやかな味、キュウリのような細切りの野菜と、キャベツのような野菜。噛めば噛むほど口のなかでシャキシャキとリズミカルに鳴る。

鳥むね肉のササミの旨味がドレッシングと混ざりあい、相乗効果でもあったのか、と聞きたくなる程美味だ。

皿に盛り付けられたバンバンジーサラダはあっという間に食べ尽くした。

しかしまだ足りないので、もう一品ほど頼むことにした。




「ありがとうございましたー!」


結局、バンバンジーサラダを三皿食べてしまった。

ドレッシングを変えることができたので、飽きることなく食べた。

むしろ食べすぎた。

静也は腹を摩りながら今度はどこに寄ろうかと歩いているとガランに出会う。

ガランは気さくに声をかけてきた。


「おおー、シズヤはん、だないしたんや?」

「昼飯を食べ終わって歩いていただけですよ。」

「そうかいな、ほんでシズヤはん、解体教習はどないしたんや?もしかしてバックレたん?」

「いえいえ、終わりましたよ。昼前位に。」

「そうか!ほんじゃ家見に行けるでな?」

「行けますよ」

「よっしゃ!ほんじゃ早速いこか!」



静也はガランに連れられ歩いて村の中心区のとある一軒家の前にやって来た。

二階建てのレトロな建物。

見るからに新築のような清潔感。


静也は一軒家を見上げながら呆けていた。

一方ガランは一人の男を連れてきた。

スーツを着こなした清潔感のある白髪の男だ。


「はじめまして。私は『ホーセ』、貴方がシズヤ様でしょうか?」

「はじめまして。私が水鏡静也です。」

「シズヤはん、そこまで畏まらんでもええでな。ホーセは俺の知り合いの不動産やねん。」

「そうですよ。本日は家を見るだけですからね。そんなに畏まられては私も緊張しますから」

「そう、ですか。わかりました。早速ですが中を見ることは出来ますか?」


勿論です、と言いホーセは鍵を取りだし家の鍵を開ける。

ドアノブにてを掛け下げ、内装が姿を現す。


最初に目に入ったのは綺麗な床のマットとフローリングだ。

日本の家庭のような玄関ではなく、靴で上がる外国式のようだ。

海外に行ったことのない静也は靴で上がるのに躊躇していたが直ぐに馴れた。

光源は全て魔導ランタンを使っている。

天井の高さも申し分ない。肩車して天井に手がつくかつかないか位の高さだ。

奥に進み、一部屋ずつ見ていく。


書庫、倉庫、トイレ、風呂、寝室、キッチン、リビング…

機能面では申し分ない。寧ろ充分だ。

二階には寝室が多いのでクランを結成しても充分に使えるらしい。

一般家庭よりも便利で、副業をするも良し。

こんなにいい物件を紹介してくれたガランには感謝しかない。


物件の詳細をホーセから見せてもらう。

築7年と新築と変わらない。

敷地面積30メートル四方の二階建て

買い取り額200万ルター、借家なら月5000ルター


驚きを通り越して声も出なくなった。

この村ではこれよりもいい物件は限られているし、新たにこの物件と同じ、もしくはそれ以上のものを建てるとなると軽く500万ルターは必要になるらしい。


しかし、静也一人ではあまりにも広すぎるし、使う部屋も限られてくる。

クランを結成すればいいのだろうが、そんな勇気も根性もない静也が呼びかけることなど到底できない。

パートナーも考えたが、彼女どころこ異性の友人は限られてくるので、可能性は限りなく低い。


チキンの運命、と言っても過言ではないだろうか。


今日のところは物件を見に来ただけだ。ここじゃなくてもいい物件はまだあるはず。

確かにここでも充分だが、あまりにも広すぎるのも困りものだ。

広いに越したことはないが、気持ちが落ち着かない。

なれてしまえばどうということは無いのだろうが。


とりあえずは、第一候補に入れておく、と伝えまた別の物件を見せてくれると約束してくれた。




こういうサブタイトルはヤバイですか?


ヤバかったらサブタイトルを変更します。

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