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待ち焦がれる者side

―――???side―――


暗黒の空間、光一つ無い空間が無限に広がっているような錯覚すら感じる感覚が麻痺しそうな空間。

そんなところで、一柱(ひとり)の男が胡座をかいて目を瞑り下界を眺めていた。

神界、とまでは言わないが高次元的世界で世界が変わるくらいまでずっといたのだから暇でしかたないのだ。


「おいおい、■■■■のやつ、あんなの創ってたのか…創造神のじっさんの神力(ちから)でも借りたか?いや、それでもあそこまでの魔力は内蔵できない…魔神のばばぁも手を貸したのか?あのばばぁ…あいつのこと毛嫌いしているからありえない…あの溢れんばかりの生命力も武神のやつの手が無きゃ無理だろ…そもそも■■■■自体わかんねぇやつだからな…もしかしたら申告してない神力が……」


一柱(ひとり)の男がぶつぶつと何かをつぶやいている。

生きとし生けるモノ全てからみた場合、彼らは『神』といえる。

その神の一柱が下界を眺めていた。暇つぶしにだ。


男は目の前にあるご馳走(神造体)を見て口角がつり上がる。


「面白そうだし、ちょーっとだけ、()()()()()


下界にいる小さき子を見ていた男は、重そうに腰をあげ、閉ざした瞼をゆっくりと開ける。

男の黒髪は逆立ち焔のように揺らめいていた。


その瞬間、暗黒の空間から一筋の光が男から一瞬煌めいた。

その光目掛けてどこからともなくやってきた異形のモノ、魔物共、数はその空間そのものを覆いつくす程だろうか、一斉に男に襲い掛かる。

我先にと襲う魔物はどいつもこいつも全身が漆黒に纏っている。高次元の存在であるが故、どの魔物も異常なほど強い、肉体的な意味でも、異能、スキルでもだ。

男は向かってくる魔物を見ようともせず、ただ掌を上に向ける。

その刹那、覆いかぶさるほどの魔物が消え去る。塵も残さずに。

やっと見せた大地はすでに荒廃し、岩肌がむき出しになっている。

すでにこの世界には何の生物もいない。先ほどいた魔物どもが最後だったのだ。


「やっぱり、か…こいつらでは話にならない…」


男は苦虫を噛み潰したよう表情でそうつぶやいた。



神格についた。圧倒的な力、スキルも手に入れた。だが、それだけでは物足りず色々なことをやった。

救世から始まり、世直し、政治、国作り。最終的にはその国は世界で一番のものとなった。武力的にも、政治的にも、教育的にも…、平和な国、治安が良く、犯罪すらなくなるほど。

男が神格を獲得してからは寿命がなくなった。それらが飽きたのかついに犯罪に手を染める。ちょっとした気の迷いだった。

最初の犯罪は強姦だった。最初は良心が働いていたが二度目は自然と良心なんかなくなっていた。

それは男のスキル<順応と適応>の影響だった。

犯した女はそのあと殺した。最初は生き埋め、二度目は焼殺と、二度目から惨たらしく殺した。

そこから男は快楽殺人を繰り返す。一晩で一つの村がなくなると血の海のなんとも言えない達成感に酔いしれた。血生臭い匂いに快楽神経が働き出すようになったのもそのあたりからだった。

酒、たばこ、クスリ、いろいろなものに手を染めたが、男の体が順応してこれもまた飽きた。味は申し分なかったが、やはり飽き、慣れは恐ろしい。


男の殺人はついに彼の作った国にまで届く。

家臣に、家族に、友人に…誰も彼も男を説得しようとするがそんな声は男には届かなかった。

三日で男の作った国は滅んだ。不気味な笑みを浮かべながら残虐に殺人を行った。

男は高らかに声を上げながら笑い、国をがれきの山へと変える。

それを繰り返すことひと月、ついに人類は滅んだ。人類だけではない、動物もだ。

それから千年、彼は彼の御業で暗黒世界を作った。自らの能力で魔物を生み出し、自らの世界を作り出した。

その空間は男の周囲だけにはとどまらず、世界を覆い1000年、男は目を瞑りシミレーションを常に繰り返した。

最強になったものの、強さを貪欲に求める強欲さ。


ふとしたある日、別の世界を眺めていた時、男が彼を見つける。

それが、水鏡静也だった。

人であるのに、神すら注目する潜在能力、魔力、生命力。暇つぶしにはなるだろうと思った男はにやけた。ついに楽しい()()()()ができる。言葉にしなくとも表情はそう語っていた。



「起死回生の神がバックにいるのは流石にやりづらいが…面白そうだ、やりあったことないからな…」


男は戦いを待ち焦がれている。

男の胸の高鳴りは周囲を高揚させるが誰もいないので興奮しているのは男のみ。

口角が上がり、笑い声は閉じている口から漏れ出す様はまるで狂気を思わせる。


善良の神と言われ、悪逆の神と言われた『悪戯の神』は暇潰しに向かう。

神の能力で世界を渡る。あの男(水鏡静也)に会いに。ついでに思いついた処刑を試しに行く。

神の中で最も残虐な男が、静也のもとにつくまでの猶予はもう少ない。



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