道具 その1
静也は宿に戻っていく途中に村を探索しようとふと思った。
静也はこの村のほんの一部しか知らないので、村の探索、もとい珍しいものを探しに行くことにした。
天候はやや曇り、アレンが雨が降ると言っていたのも間違っていないのではと思った。
依然5ルター支払って買った村の地図を見て、行ったことのない所を歩いて向かう。
道中屋体や、飯屋を見つけ寄って腹を満たしていく。
また、道具類を売っている店、俗に道具屋というのを見つけ立ち入った。
「いらっしゃいませー」
中は綺麗に整理整頓されており、色々な道具がぱっと目に留まり買っていこうと思わず思ってしまう。
「お客さんここに来るの初めてでしょー?私ここの店で長いことやってるからお客さんの顔は見てるのよ?」
と店員の女の子が机に肘をつけ頬杖をつき話す。
「へぇ、そうなんだ…じゃあ何か面白そうな道具は置いてないかな?」
まっててねーと言って店の裏に行った。
来るまでの間、店内の道具を見て回る。
瓶の中に透明な色の液体が入っているポーションと呼ばれるものが店の三割を占めている。
他にも、長細い形状の瓶、試験管のような容器の中に色々な色の液体が入っているものもあった。
「お待たせしましたー」
女の子が奥から戻ってくるとバスケットを持って来る。
どう見ても手作りだ。
「えーとね、これはね、迷宮産の魔石で中に魔力はこもってないから売り物にならなかったけど、魔力を充填させたら一度だけ即死を免れるらしいんだけど…」
「だけど?」
「いろんな人が魔力を充填させても発動しなくて結局私が面白そうだから買ったのはいいけど試そうとする人もいないから結局お蔵入りってわけ…」
「どれくらい魔力?を込める必要があるんだ?」
「わかんない。一度魔術師さんが全魔力を込めたけど発動しなかったらしいからどれだけ必要なのかわかんない。」
「…一応聞くけど、それいくら?」
「30ルターでーす。」
「普通の魔石は?」
「空のなら2ルター、魔力が満たされたものならだいたい10ルター…ま、サイズにも寄るけど…」
「高くないかい?」
「そう思いますよねー。これでもかなり値下げされてるんですよ?聞いた話じゃ最初は8000ルターもしたんですよ?それを考えるとすごーく安くなったと思いません?」
「それはそうだが…使えないものを買う人はいないし…ましてや本当に即死を免れるかはわかんな」
わからないと言おうとしたとき間髪入れずに少女が
「いえ、私スキル<鑑定・石>を持っているのでわかりますよ。証明しますよ?なにか魔石かなにか石っぽいのもってませんか?」
「生憎もってないな。…まぁ、そこまで言うんだ、信じよう。買うよ。他のも見せてもらえるか?」
(元値が8000ルターだからかなりお得だろうし、まぁ騙されたら騙されたでここに来なければいい話だ。)
「ありがとうございます!でしたら店の倉庫にきてみてみます?目ぼしいものがあるかも」
そういわれ、少女についていく。一般的に考えて初対面の人間を招く行為に危機感を感じる。
ましてや、見た感じまだ小学生の子が知らない人を連れていくとなると些かおかしな話だ。
しかしここは異世界、たぶん大丈夫なんだろうと思いながらも、これはまずいとも思っていた。
「ここが倉庫。いろいろ在庫だったり、お蔵入り商品だったり、珍しいものも置いてあるよ?」
「ありがとう。一応体力を回復できるものとか、怪我に効くのがあったらみせてくれないか?数はとりあえず3個で。」
「わかりましたー待っててねー!」
少女は走って在庫の確認をしにいった。
言葉遣いには疎いのか、それとも年齢のせいか、正しい敬語を使えていない。
幼いのだから仕方のないことだろう。と許容した。
倉庫の中は思っていたより清潔にされていた。棚にはいろいろなものが並べられている。わかりやすいように紙に種類が書かれ棚の側部に貼られている。
中には指輪やグローブ、外套など最早道具でないものも置いてあった。
棚に置いてあるものを吟味していると気になったものが一つあった。
木版だ。何か彫られている。サーキットが描かれており、そのサーキットの真ん中に紅く丸い魔石が埋め込まれていた。
気になったので、少女に後で聞くことにし、他の物も見て回る。
(何だか珍しい物を探すのが楽しかったあの頃を思い出すな…)
童心がよみがえってきたのは言うまでもない