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傘能力の活用

依頼場所がある農業区は見渡す限りの田んぼや畑、ここでこの町の食料を作っている。

田畑で働く人達に挨拶を返しに、ここの人達の暖かさを感じていた。

農業区を歩いてかなり経つ頃、大きな木造の倉庫を発見する。



「ごめんください、依頼を受けた者ですが誰かいませんか?」

「早く来てくれ!依頼を受けたんならそれ相応に働いて貰うからな!」


という怒声が木造の建物なのに響いた、気がする。

静也は走って声の聞こえたところへ行く。


「この依頼は旧倉庫の中にある木材をこの新倉庫に運ぶだけだが、その木材は束にしてこの縄で縛って置いておく。置く場所は儂が指示するから運ぶだけだ、簡単な依頼だろう。」

「わかりました。その旧倉庫は何処ですか?」


着いてこいと言う依頼主についていく



歩いていくこと5分、新倉庫よりもふたまわりほど小さい建物に着いた。

5分もかかるこの距離を何往復もしてあの新倉庫に運んでいたそうだ。木材もかなり重く、依頼主も良い年のおじいさんなので無理もあった。


ある日、ついにおじいさんは腰をやってしまった。

仕方なく組合に依頼をしに行ったのは今から半年前のことだ。

何度も冒険者が依頼を受けたようだが、おじいさんの態度に痺れをきたし依頼を受けた冒険者は途中で依頼を放棄し、その悪評は背に尾ひれがついてついに組合にまで届く。

なので、その噂を耳にした受付嬢は怪訝そうな顔をしたのだ。

勿論、その噂を一方的に信じている者は少ないが、それでもその悪評に風化され、そこで線引きしているものが多かった。

ここで静也がやって来たというわけだ。


どうやって持っていっていたのか聞くと、抱えて行ったとのことだ。

静也も抱えて行くことにした。木材は加工済みのものや、丸太のものが多くあった。

まだ旧倉庫の中には木材がまだあった。

持っていくにしても旧倉庫から新倉庫までに5分もかかるので想像を絶する忍耐力を要するだろう。

大量に持っていけて、尚且つ軽くて持っていく方法は無いか考えた。

ふとあることを思った。

台車無かったのか?と。

勿論台車も使っていたようだが、人間の力でびくともしないと言っていた。望みが消えた。

仕方なく人力で持っていくことになった。

またふと思い出した。

傘の中に入れられないかというのも試すんだった。成功したなら持って行く回数が減る、何より重さもなく運べるだろう、と。

試しに傘を召喚し開き中に入れと念じた。

すると木材がキレイさっぱり消えていた。

傘から出てこいと念じると、ぱっと木材が現れる。


このことで結果として依頼が直ぐに終わった。

早く終わったが、依頼主の人が飯を食わせてくれた。



「ありがとうなおかげです仕事が早く終わった。」


依頼主もご満悦のようだった。


「最初は傘なんか出して何してんだと思ったが、そんな手品ができたなんてな…。」

「たまたまそんな特技があったので、うまく活用できたまでですよ。それより、今ごろになるのですが、貴方の名前を聞いてもよろしいですか?」

「そんなことをか?変わってんなお前さんは。儂は『ライナー』、頑固ジジイじゃが宜しくな。」


自己紹介をして握手をする。ライナーは次に何かあれば指名依頼をすると言って、肩をバシバシとしばいた。

ついでに追加報酬も払うとも言った。


軽い会釈をし農業区を離れる。

しかし、静也の心は釈然としていなかった。

依頼の途中、木材を出すときに不思議な枠が傘の生地に出たのだ。


『傘ストレージ内部所有物』と確かに入れたものの名前と個数が書かれていた。他には保有ルターもだ。

便利になったのは有り難いが何の前触れもなく変化したことに少し恐れた。

静也は気づいていなかったが、ちゃんとその前触れはあった。


組合に戻るとカウンターの受付嬢は驚いていた。受付嬢はまだ交代していなかったようだ。



「依頼を放棄なされたんですか?」


それもそうだ、小一時間で戻ってきたのだから、依頼の放棄だろうと思うのも無理は無い。


「いえ、成功しましたよ。証拠もありますよ。」


と言い、依頼成功の証拠も出した。

受付嬢はまじまじと証拠を見た。


「た、確かに成功してます。追加報酬も出されておりますね…報酬は後日お渡します。」

受付嬢は大変驚いていた。



時間はまだ昼間。

静也は暇となってしまった。

道中いろいろな人が武器を携えているので武器が気になっていた。

せっかくなので、町の武器屋を回っていこうと考えた。

朝に貰った地図を見て何処に何があるかを確認した。

組合を出て南西方向にある鍛冶屋に行ってみた。



この後絶望をするとは知らず…

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