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他人の過去には悲劇は付き物

魔獣や魔物の死骸を買い取ってもらって、18万ルター近くを儲けれた。

先刻の気絶した静也、魔物&魔獣もらってる事件でもう十分怖い目にあっているのでこれでもかというほどの準備をすることにした。


まずは防具を見繕う。攻撃を受けても死なないようにするためだ。

しかし静也は防具を売っている所を知らない。

だからといって適当に見つけた店で買うのも気が引けるようだ。

それもそうだ。

命を預けるのも同然の防具を適当に見つけた店で適当に買って狩りにいくというのは流石に無謀が過ぎる。

なのでここは、門番のデカルトに聞くことにした。


「防具を買いたいから良い店を紹介しろ?俺にか?」

「はい。身近で聞ける人はデカルトさんくらいなんですよ。良い店を知りませんか?」


デカルトは嬉しいのか口角を少し上げたのち、唸り声をあげながら顎に手を当て


「お前さんはどういう戦い方してんだ?まずそこだろ。」


と言われ今度は静也が唸り声をあげる。


「今まで、金がなくてたまたま傘があったのでそれを使っていたんで…戦いかたを知らないです。」

「お、お前はちょっと変わってんだよな…ならよ。アイツに頼んでみるわ。」


と言って関所近くの簡単な建物の中に入っていく。

そのあとすぐにデカルトと同じ装備を身につけた男が来た。


「よし、紹介するぜ。こいつは『トマス』だ。武器、防具に関することに詳しい男で、門番の武器、防具を手入れする仕事をしてくれている。」

「よろしくね。話は聞いてるよ。

得物は傘、防具なし。んー、とても興味深いね。

確かに傘でも戦うことはできるよ。だけど直接な殺傷能力はほとんど無いから、どうやって魔獣や魔物を倒すのか実に気になるねぇ。

ねぇ、みせてくれないかい?君の戦いかたを。あぁ、いや、タダでって訳じゃないよ?勿論、君に合った防具を進呈するよ。勿論、僕の財布から。さぁ、先ずはその傘を見せてはくれないかい?」


と、男が初対面相手に持ち前の饒舌っぷりを披露する。

静也は若干引いていた。

静也はデカルトを見るとデカルトは顔に手を当てると首を振る。

つまり、デカルトにもこの癖はどうにもできないらしい。


「ちょちょっ!待ってください!待ってください!」


トマスの饒舌っぷりに戸惑っている静也にデカルトは


「諦めてくれ。こいつのこういうところは天性の性ってやつだ。どうにもならないんだよ…これが。」


トマスの方を見るとにこやかにペラペラとまだその饒舌っぷりを披露していた。

静也はガックリと頭を垂れた。



「その傘なんかおかしくないですか?」


トマスから指摘が入る。しかし、静也の傘にはなんの仕掛けもない。ただの傘に見える。


「見た目は変わらないと思いますけど…」

「いえ、そうではなく、何だか分からないのですが…傘から異様なほど変な気配を感じるんですよ。」

「そうですか?別に何も感じないですが…」


魔力眼を持つものなら何となくでその物(者)に宿る魔力を視ることができる。トマスは魔力眼の才覚が多少あったので傘から溢れる魔力に感づいた。スキル<魔力眼>を所有していないのにも関わらず魔力に感づいた才覚は末恐ろしいものでもある。


「大変失礼ですが…その傘を貸してくれませんか?」

「え?いいですよ?」


と、軽く了承した静也。普通の冒険者は自分の得物を触られるのを極端に嫌う。それは己の命を預けている物を他人に触れさせる行いで、他人に自分の命を触られていると考える者が多く、それがいつしか伝染していき、殆どの冒険者は鍛冶屋位にしか触らせない。


「この傘は…凄く重いっ!訓練で使用するフルプレートの鎧と同じくらいにありますよ!」

「え?!そんなに重いんですか?!大丈夫ですか?!」

「えぇこのくらいなら持てますよ。伊達に訓練してきてませんから。ですが…よくこんなのをブンブン振り回せるものですね…自分なら腕が飛んでいたと思いますよ。」


静也はまだ言っていないが、この傘は異界産の傘なのだ。

その性能も能力も計り知れないものである故、担い手は傘に選ばれる。


「それに…この傘はシズヤさんのところへ戻りたがっている気がします。」


ありがとうございますといい、傘を丁寧に返してくれた。


「もしかすると、スキルに何かありますか?」


と、試すかのような目で聞いてきた。

先刻、ジョアンの忠告に従いここは隠すことにした。


「まぁ、そりゃ話してくれる人はいませんからね。では約束通り防具を見繕って差し上げます。」


と言って関所の簡素な建物へ駆け込んだ。

嵐みたいなひとだな、と思っているとデカルトが静也に近付いて、


「本当にありがとうな。あいつはもともと武器、防具鍛冶の家の出だったんだ。ここから馬車で一週間する所の町の有名な鍛冶屋の長男だった。ある日、『スタンピード』があってその町は壊滅。多くの人間が死んでいったのを目の当たりにしたもんだから、正義感の強いあいつは人を守るこの職業に就いた訳だが…」


関所のトマスの入っていった建物の方へ目をやると言った。


「もともと鍛冶が好きだったもんだから、武器や防具を見繕ったりするのがやっぱりしっくりくるんだろうな…」


そんな過去があったのかと思うと胸の苦しい思いをしたんだなと同情する気持ちがたかまっていった。

すると建物からトマスが大きな木箱を何段にも積み重ねてやって来た。中には金属製の全身鎧などが入っていた。

どうやってこんなものを持ってこれたのかと聞くと、傘を触らせてくれたお礼と言って教えてくれた。

トマスは世界のなかでも珍しい魔法保有者で、身体強化の魔法を使用することができる。

ただ、トマス自身魔力が少ないので持続力は無いとのことだ。



そんな余談をしながらも、トマスは静也の防具を真剣に身繕い始めた。

こういう悲劇を書くのは嫌いってより苦手です。

こういうありふれた悲劇は付き物かなと思いました。

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