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魔法適性

魔法適性?みてもらう?

知らないんだけど。


「多分したこと無いです。魔法に適性があるってことも初耳ですし。」

「え?!無いんですか?!それはまずいですね…」

「え?まずいですか?」

「はい、自己開示の儀式の時に魔法適性を見るんですけど、あとになると自分に合った魔法の適性が分からなくなるんですよ。自分の魔法の才能が一番分かるときに見てもらわないと、自分の本当の適性がわからないままその魔法を極めようとしても、合ってない魔法なら伸び悩みも起こりますし、なにより魔法も拒絶反応を起こしますから、危険なんですよ。」

「き、拒絶反応…ですか。」

「はい、自身の自己内蔵魔力が必要以上に消費されすぐに魔力切れが起こるなんてことが起こります。魔法の適性がなければ諦めていただいたほうがいいと思います。」


無理だったら仕方ないか…。

諦めがつくことはないが、無理だってわかるならそれはそれで良いのかもしれない。

それに、ノーナがいるし。


でも、憧れるよなぁ…

手から火がでるなんて、考えたら格好いいよなぁ。

『ファイアーストリーム!』なんて言いながら敵を倒すなんて夢想している。


「あの、どこで調べて貰えますか?」

「大抵は私たちが調べるのですが、それも『自己開示の儀』の時に。」

「あ、あはは。すいませんね。」

「…まぁ、色々な事情があるのでしょう。『自己開示の儀』の時は無料だったんですけどね、今は違いますから料金は払ってもらいますよ。」

「わかりました。おいくらですか?」

「5000ルターです。分割しはら…」

「はい。5000ルターです。」

「あ、はい。ありがとうございます。」


どこからかわからないような場所から多くの貨幣が出てきたものだから神父は驚いた。

すぐに持ち直したが、やはり異質なものを見るような目で見られた。


「少し待っててくださいね。道具を持って参りますので。」

「はい。わかりました。」


はっ、と俺は思い出した。

『自己開示の儀』をしたときに気絶したことを。

さすがに適性をみてもらうだけなのだから大丈夫だろう。


多分。


「お待たせいたしました。では早速適性を図らせていただきます。」

「おねがいします。」


神父は儀式用短剣と、中に透明の液体の入った銀色の杯を持って来て、俺に針で血液を出してもらうように頼んだ。

やっぱり、針は怖いわ。

いかに強くなったとしても深層心理では恐怖してしまうんだよな。

尖端恐怖症?ってやつか?

とりあえずありったけの勇気を振り絞り親指に針を刺した。


前世から注射とか嫌いだったんだよな。

微妙にチクリとして怖いんだよ。


血液を杯に流し、神父が呪文のようなことを唱える。

すると杯の中の液体が発光し始める。

それを儀式用短剣に掛け、俺の手をとり、手の甲を切った。


切られたところは傷が塞がっていき、あっという間に傷ひとつ残らない状態に戻った。


突然のことに俺は驚き、攻撃してきたのかと思いバックステップで距離をとった。

それと同時にアナウンスが聞こえた。


《システム<自己開示・魔>を習得しました。》


「よし、これで、魔法の適性を診ることができます。」

「こ、今度は刺すものはないですよね?」

「はい。もうありませんよ。」


神父は微笑しながら、優しい声で答えた。

その応答に俺は胸をおろすような気持ちになった。




神父は目を瞑りながら、杯に両手をかざしたまま眉間にシワを寄せて唸っていた。


「う、うむむ。適性はあるのですが、どれが本来の適性なのか分からないですね…」

「ま、魔法自体は使えるんですか?」

「不可能ではありませんが…薄い適性のものも混ざってきていて…」

「ふむ、妾が変わろう。なに、妾も多少は覚えがあるからの。安心せい。」

「は、はあ、できるのでしたらおねがいします。」



「う、これは…」

「ど、どうなんだ?ノーナ。」

「まず結論からいうと、どの属性も適性ではない。」

「え?どういうこと?」

「すべての生物は生活をしていて馴染みのものの属性が魔法適性として現れやすい。」


そうなんだ、と俺は感心した。


「シズヤの適性は土台である部分から欠如している。なぜだかはわからぬが、途中からすべての適性が現れがんじがらめになって適性として成り立っておらん。つまり、お主は魔法が使えない。」


魔法が使えない。

その一言だけで俺は有頂天から奈落にでも落ちたような心境になった。

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