ケツの剣
「寒い…」
ガジガジに震える勇者。筋肉で温かい戦士。炎魔法で温まる魔法使いと僧侶。勇者一行は[氷の湖]に来ていた。
凍える北の大地。そこに凍った湖があり、その中心には湖の主が住むと言われている。その主の討伐が今回の目的だ。
「勇者よ着いたぞ」
極寒をもろともしない脳筋戦士が湖の中心を指さす。湖の中心は割れて水面が見えており。氷の下で巨大なサメが泳いでいた。
「うわぁ、食われたら痛そう…」
寒さで頭がやられ、当たり前の事を言う勇者。
「ほら!寒いんだから早くしなさいよ!」
歯をカタカタならす魔法使い。
勇者はケツから小さな袋を取り出す。
「ほら、エサだ」
勇者は袋の中から団子状のエサを湖の割れ目に入れた。
バシャーーーーン!!!!!!
氷の割れ目から巨大なサメが現れ、氷の上を滑る様に泳ぎ始めた!!
「え?何か普通に氷の上動いてるんだけど…」
予想と違う動きにたじろぐ勇者。そのままこちらへ突っ込んでくるサメ。
「おおっと!」
当たる寸での所でよける戦士だが、氷に滑って剣を投げてしまう。
ズボッ
剣の柄が勇者のケツに刺さった。
「ファッ!!」
「!! 行けるわ!!」
魔法使いが何かを閃く。
勢いよく勇者を蹴り飛ばす魔法使い。蹴られた勇者は勢いよく回転し、サメに向かっていく。ケツに剣が刺さったまま……。
「誰か止めて〜〜〜!」
ズババババ!!
そのままケツの剣でサメの胴体を引き裂く勇者。ズドーンとその場に倒れるサメ。
「目が回る〜〜」
まだ回り続ける勇者。
「ん?こっち来んなーー!!」
華麗なUターンを決めた勇者は魔法使いの方へ滑っていった……。