ケツのしずく 2
洞窟を抜け村へ戻る勇者ご一行。セーブをしに教会へ行くと、ゴロツキ風のおやじが祈りさ捧げていた。
「ああ、神よ。我が娘をどうか助けてください」
祈りが終わるとおやじは勇者とすれ違いに外へ出て行ってしまった。
「これはフラグってやつね。さっさとあのオヤジの娘を助けるわよ!」
魔法使いが親指を立てて外へ促す。
「お、おお」
セーブしておやじの後を追う勇者。すると村のはずれにある一軒家に着く。
「ここは何も無かったみすぼらしい家だったような…」
タンスやツボの中身で家を覚える勇者。実に情けない。
家の中では床に伏せった少女と、付きっきりで看病する母親が居た。
「!! どちらさまで?」
勇者たちを見て、台所にいたおやじが出てきた。
「!! もしかして勇者さまではありませんか!?」
ニア はい
いいえ
勇者は現れた選択肢に嫌気を見せた。どうさ『はい』を選ぶしかないのに何故選ばせるのか……。
「ほら、さっさと選ぶ!!」
魔法使いが急かす。どうやら魔法使いもこの手の茶番はあまり好きではない様だ。
[はい]を選ぶ勇者。興味本位で[いいえ]を選ぶと後で魔法使いから1発殴られそうだ。
「やっぱりそうでしたか!神さまに祈りが通じたんだ!! おっかぁ!勇者さまが来てくれたぞ。これで娘は助かる!」
勇者は便利屋ではない。いつもそう思う勇者。
「勇者さま!お願いがあります!! 娘が謎の病気で、この先の虹嫁のしずくがあれば助かるみたいなんですが、取ってきていただけませんか!?」
もう一度言う、勇者は便利屋ではない。
ニア はい
いいえ
ゴンッとふくらはぎに軽く蹴りを貰う勇者。犯人は無論魔法使いだ。
[ 勇者は虹嫁の雫を勇者のケツから取り出した ]
しかし、壺の封が外れており、中身は入っていなかった。
「ん?如何した勇者殿」
「すまん、中身をケツの中にこぼしたwww」
勇者はそのままケツを娘に突出し2〜3回軽くジャンプをすると、勇者のケツから虹色の液体が流れ始めた。
「きゃああああ!!」
卒倒する僧侶。腹を抱えて笑う魔法使い。目をそらす戦士。無言の両親。勇者のケツから出た虹嫁のしずくは、娘に降り注ぎ見る見るうちに顔色が回復した。
「う、う〜ん」
起き上がる娘。喜ぶ両親。
お礼に貰った、魔法のカギをケツに入れ、勇者はまた旅立つのであった。
「本当にこれで良いのかしら!?」
「さあ?」
今日も勇者は我が道を行く…………。