番外編 Secret Episode Ⅳ
「ヨッシャー! バイキングだー!!」
勇者は我先にと小皿大皿にありとあらゆる食べ物を乗せ、自分の席へと着いた。箸を取るとガツガツと食べ始め自分が勇者であることを忘れひたすらに食いまくっていた。
「食い意地の塊ね…………」
魔法使いは小皿に小さなケーキを三つ取り、勇者の対面へと座った。
「時間制限があるでござるからな! 拙者も頂くでござるよ!!」
勇者の隣に座り山盛りの肉を食い始めた戦士。
「いただきます……」
僧侶は静かにパスタを食べている。
「うおおおおお!! 食い足りないけど時間が無いー!!!!」
僅か90分の時間制限で食べられる量はたかが知れており、勇者は全メニューは制覇したものの二週目に入っていた。
「そもそもバイキングで元を取ろうってのが間違いなのよ」
魔法使いはケーキばかりを食べ続け、食後のお茶を飲んでいる。
「―――!」
勇者は徐に店内でケツを出し、目の前の寿司をケツへ入れ始めた!!
「ちょっと!? 何してるのよ!!」
「ケツで食べてるからセーフだろ!?」
ルールとかマナー以前の問題であることは明白なのだが、彼等に取ってケツに物を入れる事自体日常茶飯事。慣れとは恐ろしい物である。
「ケーキも入れなさいよね!!」
魔法使いがグイグイと勇者のケツにケーキを押し込んでいく。きっと後で食べるつもりなのだろう。汚いとかモラル違反とか以前の問題なのだが、彼等に取ってこれが日常なのである……!!
アイテム容量の限界まで寿司を詰め込み、寿司99個、ケーキ99個、唐揚げ99個、焼き鳥99個をねじ込んだ勇者。
「後で食べようぜ!」
「そうね♪」
時間制限となり店を後にした四人。次なる目的はこの世界を守護する女神から聖なるお守りを貰う事。その為に船で世界の隅っこへと向かっていた。
長い船旅が終わり、小さな祠へと入るとそこにはぼんやりとした女神が佇んでおり、勇者の到来を歓迎した。
「私のこの世界を守護する女神。勇者よ、魔王の脅威から世界を救うべく印を掲げなさい…………」
「あ、この前手に入れたイベントアイテムかな?」
勇者はケツを弄りそれらしいアイテムを探すが、中々出て来ない。
「ちょっと、早くしなさいよね……」
魔法使いも一緒にケツを弄り出すが、出てくるのはバイキングで仕入れた寿司やケーキ、唐揚げばかりだ。
「はへ? たひはにひれたはふ……」
「ちょっと、食べながら喋らないでよ……!」
食べながら喋らないとかそれ以前の問題ではあるが、その光景を女神は無言で見つめ続けなくてはいけないと思うと先が思いやられた……。
「フハハハ! やっぱり酒には唐揚げが合うな!」
「ちょっと……私の分も残しておきなさいよね……ヒック!」
「ブハハハ……! 勇者殿もっと飲むでごさる」
「……パスタ美味しい」
そして何故か始まった酒盛り。僧侶もいつの間にかちゃっかりバイキングでパスタをケツにお持ち帰りしており、皆が既に出来上がってしまっていた…………。
「あ、あの……印は?」
女神の声は四人には届かず、次の日の朝にあるまで女神は待ち続けるしかなかった…………




