番外編 Secret Episode Ⅲ
久々の……番外編!
勇者一行は物語中盤に出てくるやたら大きくて味方のステータス画面に角がはみ出るボスの手前まで来ていた。
「やだよー、行きたくないよー」
情けない声をあげ怖じ気づく勇者。魔法使いは活を入れるため一つ提案をした。
「こないだ町でちょっと小耳に挟んだんだけど、ぱ……ええっと何だったっけ?」
「どうしたでござるか魔法使い殿?」
「ぱ、ぱ、ぱ……『ぱ〇ぱ〇』みたいな名前だった様な……」
「!?」
その言葉に勇者アンテナがピンと張り詰める。
「あ! 思い出したわ! 『ぱこぱこ』よ!!」
「!?!?!?」
まさかの発言に戸惑う勇者と戦士。二人はアンテナを高くしたまま固まってしまった。
「このボスを倒したらご褒美に『ぱこぱこ』してあげるわ♪」
※魔法使いは『ぱ〇ぱふ』を『ぱこぱこ』と間違えており、そもそも『ぱ〇ぱふ』をアメリカ人のするハグ的な物と勘違いしております。
「……ちょっと殺してくる」
※勇者は文字通り『ぱこぱこ』を卑猥な物として捉えております。
「ぐわー……だ、大魔王様……」
開始2ターンでその命を散らしたボス。勇者の顔は何時になく真剣だ。
「さ、宿屋に戻ってご褒美を頂くとするか」
勇者の頭の中はまっピンクに染まっており、勇者の聖剣は何時になく鋭く光っている。
「はいはい、脱出魔法で帰るわよ……」
――しかし不思議な力でかき消された――
「?」
「……どうやら帰り道に何やらイベントが待ち構えているみたいね」
「えーっ! 『ぱこぱこ』は!?」
「当然お預けよ。ご褒美は全部終わってから」
ご褒美に水を差され不満げな勇者。しかし頭の中はぱこぱこの事で満開だ。
出口付近でどっかの兵が姿を現し、王が倒れたからすっげー効く薬をくれとの事。面倒だったが、ささっと用事を済ませるために王の寝ているベッドへと赴いた。
「すまぬ……どうやら病に負けてしまった……」
「ささ! 勇者殿薬を!」
「…………」
勇者は俯いたまま固まってしまった。
「……勇者殿?」
すっげー効く薬はケツの中。そしてケツを出すには下半身を露出させなくてはいけない(今更)。しかし今はそれが出来ない理由があった…………。
(まずい……今は聖剣がいきり立っている!!)
魔法使いとのぱこぱこに妄想が膨らみすぎて、元に戻らない聖剣。
「……戦士よ」
「何でござる勇者殿?」
「男としてお願いがある」
「それは断るに断れない言い方でござるな」
「今この場で俺を斬ってくれ!」
「…………御意」
戦士の攻撃!
勇者に153のダメージ!
「なっ! 何をしてるの!?」
戸惑う魔法使い及びギャラリー達。
「どうでござるか?」
「オッケー……お陰で治ったぜ」
荒治療ながら聖剣を収める事に成功した勇者は、ケツから秘薬を取り出し王に飲ませた…………。
――その夜――
──コンコン
「はいよー」
──ガチャ……
「起きてる?」
勇者が泊まる宿屋の一室に顔を出した魔法使い。勇者の聖剣は既にフルチャージだ!
「待ちくたびれたよ」
──カチッ
「えっ?」
突如消された灯りに戸惑う魔法使い。そして勇者はご褒美を頂こうとした……が、当然魔法使いにボロクソにされた。
「この変態!!!! 頭おかしくなったのかしら!?」
読んで頂きましてありがとうございました!
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