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ケツと命名紳

 突如降り立った命名紳に一同は驚き戸惑った。


「な、何の用だ?」


 勇者がけわしい表情で尋ねる。魔女と賢者は身構え命名紳に敵対する構えを取っていた。


「勇者よ。良く聞きなさい……。魔王を倒しても、いずれまた新たな魔王が誕生します。それならば、魔王を封印してしまうのです。魔王は世界で1人のみ。魔王が死ななければ次の魔王は生まれぬまま、世界は平和なのです!」


 勇者を見つめ諭すように説明する命名紳。


「封印って、どうやるんだ……」


 命名紳の話に食いつく勇者。


「ケツに入れるのです……魔王をケツに入れ、封印の地にて深い眠りにつくのです!」


 目を見開き勇者を威圧する命名紳。


「や、止め――」


 魔女が何か言おうとした瞬間。魔女の動きが止まり、何も言えなくなってしまった。



「……そうか、つまり俺の命と引き換えに世界は平和になるんだな?」


 確認するように勇者は命名紳を見つめる。


「……はい。その通りです」


「ダメ!そんなことしたら勇者が!!」


 不思議な力で言う事を聞かない身体を鞭を打ち、魔法使いが後ろから勇者にしがみつく。魔法使いは泣きじゃくり、伝説の鎧は魔法使いの鼻水でぐちゃぐちゃになった。


「いいんだ魔法使い。俺の命1つで済むなら安い物だ」


 必死でしがみつく魔法使いを放し、勇者は魔王に近づいた。



  勇者は 勇者のケツに 魔王を 押し込んだ!!



「これでいいんだろ?最初からこのつもりで俺のケツをいじりやがったな?」


 命名紳を睨みつける勇者。


「ふふ、誰かと違い物わかりの良い勇者で助かります……」


 命名紳は顔色一つ変えなかった。


「さぁ、こちらへ……」


 命名紳が勇者を手招きする。


 

「やめて……お願い……」


 涙と鼻水と涎をまき散らしながら魔法使いが勇者に手を伸ばす。


「勇者どの……」

「勇者さん……」


 戦士と魔法使いが悲しそうな目でこちらを見る。



「後は宜しくな……」


 勇者が命名紳の手に触れる。辺りはまぶしい光に包まれた―――

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