ケツと魔王と…… ②
吹き飛ばされ、地面を転がる勇者。一瞬何が起きたのか理解できなかった。何とか起き上がり仲間を見る。しかし誰一人として起き上がらない……。
「そ、そんな……」
勇者の顔に絶望の色が広がる。
「ふははは!! 終わりだ!諦めて死ぬがよい!!」
魔王が声高らかにあざ笑う。
「ああ……もう終わりだ…………」
勇者が諦め剣を落とした。
「……しかし、これから死ぬってのにケツがかゆい」
不思議と人生の終幕にケツがかゆくなる勇者。
勇者のケツはどんどん痒くなり、やがて痛みへと発展した。
「い、いててて!これから死ぬのにケツが痛い!!」
もがく勇者。
「痛たたたた!!出る! 何か出る!!」
ケツを突出し射出の構えをとる勇者。
勇者のケツから魔女と賢者が現れた!!
「ふぅ……やっと出れた!」
ケツから顔を出す魔女は、ヌルリとケツから飛び出した。
唖然とする勇者。何が起きたのか分からない。と言った顔だ。
「え? どうして……?」
「ほぉ、何かと思えばいつぞやの女勇者ではないか!まさか勇者に加勢しようと言うのか?」
魔王の瞳が魔女を捉え威圧する。
「ええ、その通りだよ」
魔女が己の股に手を入れ始めた。
魔女は おま○こから 光る玉を取り出した!!
玉は怪しい煌めきで魔王のオーラを吸い込み始めた!
「ぐ、おおおお……おのれぃ……!!」
魔王の顔色が悪くなり、どぎついオーラが薄くなった。
賢者はその隙に倒れた仲間たちを回復しだした。
「2人とも……。どうして? いや、聞きたい事だらけだが、全て終わってからにしよう!!」
勇者は剣を取り、強く握りしめると再び立ち上がった!
倒れていた戦士、魔法使い、僧侶が起き上がり勇者の元へ集う!!
「さぁ、もう一息だ!!全員行くぞ!」
勇者と戦士が魔王に斬りかかる。力を吸われ、弱々しくなった魔王。2人の攻撃をまともに喰らい、よろめく。
魔法使いの火炎魔法が魔王に襲い掛かる。魔王は自分の火炎魔法と相殺しようとするが、魔王の魔法は弱々しく、魔法使いの魔法をモロに受けた!
「ぐぅぅぅぅ……おのれーーー!」
たじろぎ後ろへよろめく魔王。
「トドメだ!!」
勇者が魔王の背中に思いっ切り斬りかかった。
会心の一撃!!
魔王に322のダメージをあたえた!
魔王を倒した!!
──ドゴォォォン!!
思いっ切りうつ伏せに倒れる魔王。オーラは全て消え、力尽きた魔王を前に勇者たちは安堵した。
「や、やったか?」
息が上がる勇者。
「やったんじゃないかしら?」
その辺の枝で魔王をツンツンする魔法使い。
「私たちの勝ちですね……」
僧侶が胸をなでおろした瞬間―――
「ぐ……ぅぐ……」
魔王の身体から声が僅かに漏れた。
「まだ生きてるぞ!!」
構える勇者たち。ツンツンしていた魔法使いは飛び跳ねる様に驚き、慌てて勇者の後ろに隠れた。
「お待ちなさい!」
空から神々しい光と共に、命名紳が降り立った……。
何も知らぬ勇者だが、一目見て嫌な予感しかしなかった。




