ケツと伝説の鎧
2週目あるある
「廃墟じゃん……」
森を抜け辿り着いた城へ入り、門を開け魔法使いが愕然とした。
城内はまるで何かに襲われたかのような有様で、人はおらず、誰も居なくなってから何年も経っているかの様な状態であった。
「何してるの?」
勇者が何かの部屋だった場所の隅を漁り、ガラクタをどけて床を足で払っていた。
「ああ、俺の第六感が『ココだ!』って言ってる」
いたって真面目に話す勇者。魔法使いたちが「まさかぁ〜」と言おうとした瞬間―――
ギィィ……
勇者が見つけた床下への扉が開く音がした。
「ほんとにあったわ……」
一同唖然。
床下は地下道になっており、宝物庫や貯蔵庫と思われる痕跡が至る所にあった。しかし、その殆どが空で肝心のお宝は何一つ無かった。
「なんだ、外れじゃん……」
魔法使いがつまらなさそうな顔をして空の箱を蹴とばした。
「また俺の第六感が『ココだ!』って言ってる」
勇者は地下道の隅を伝説の剣で掘り返した。
なんと地下への階段が現れた!
「ええー!何でー!!」
驚く魔法使い。
「あった!」
勇者は地下階段の中から、伝説の鎧を見つけた。
「流石ぁ!これで全部揃ったわね!」
喜ぶ魔法使い。勇者とハイタッチを交わす。
「よし、じゃあ帰ろう!」
勇者一行が城門から出ようとした時、魔法使いが怪しい光の漏れる古井戸を見つけた。
「古臭い井戸ね……」
しかし素通りして城の外へ出て行ってしまった……。
城の外では、あやしい男が1人瓦礫の中を探していた。
「やあ、伝説の鎧は見つかったかい?」
男の言葉に無言で装備したての伝説の鎧を指さしては、自慢げに鼻息を漏らした。
「すげーー!! 兄ちゃん、それ1000000Gで売ってくれ!!」
「MA!JI!DE! 売る売る!」
勇者は目が金になっていた。
「ちょっと勇者!」
怒り出す魔法使い。
「100000000000Gにしなさい!!」
違う。怒る点はそこじゃない……。
「あ、すまねえ……財布に金入ってないや……とほほ」
男は諦めて去って行った……。
「……私は最初から売る気はなかったわよ?」
僧侶と戦士はため息をつきながら、城を後にした……。




