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ケツの伝説の兜

 住み慣れた故郷の清々しい朝。勇者は目が覚めると飛び起き、酒場へと走った。


「あ、勇者おはよう〜」


 そこには見慣れた笑顔の魔法使いが居た。故郷の朝に映える笑顔はいつもより可愛く見えた……様な気がする?


「う、うん。おはよう」


 思わず照れながら返事をする勇者。


()()()()()


 慌てて首を振る勇者。


「昨日!俺がやられた後、どうなったんだ!?」

「私たちが生きてるって事は……?」


 不敵な笑みを浮かべる魔法使い。


「そうか、間一髪で戦士と僧侶が間に合ったのか……」


 ほっとする勇者。


「2人はまだ寝てるのかい?」

「もう少しで蘇生出来るって」

「えっ?」


 唖然とする勇者。 


「昨日戦士が消し炭になっちゃってさw」

「そ、そうか。俺のいない間大変だったんだな」


 勇者は深く考える事を止めた。


「あ、勇者さんおはよう」

「勇者どの。具合は如何でござる?」


 僧侶と戦士が酒場へ降りてきた。


 魔法使いは勇者に気付かれない様に2人にウインクを送った。魔女とのやりとりは勇者には秘密にしておこう。そう昨日決めたのであった。



 朝食を済ませ、村人との別れもそこそこに伝説の兜がある遺跡へ向かった勇者一行。






「こんちわ〜!」


 遺跡の入り口からお決まりの挨拶をかます勇者。


「どうぞ〜!」



「……今誰か返事したか?」


 勇者がメンバーの顔を見るが、全員が首を横に振る。


「すみませーん!」


 もう一度声をかける勇者。


「そのままお入り下さーい!」


 やはり誰かの声が中から聞こえる。恐る恐る中へ進む勇者一行。



 なんと遺跡の奥にはドワーフ達の街があった……。


「ようこそ勇者御一行様!長老がお待ちです」


 1匹のドワーフに案内され、遺跡の奥の部屋へ案内された勇者たち。部屋の中には白髪白ヒゲの、今にも死にそうな老人ドワーフがいた。


「お、おお……勇者どの。初めまして」


 プルプルと震える手で握手を求める長老。


「は、初めまして……」


 落ち着いて握手に応じる勇者。


「昨夜、強力な魔物が村へ現れたと聞いて、この遺跡も襲われるのではないかと心配じゃった」


「が、しかし流石勇者殿じゃ!魔物どもを退治するとは!!おかげで遺跡が守れました。是非ともお礼がしたい」


 深々と頭を下げる長老。


「それでは、伝説の兜を頂きたいのですが……」


 はっきり言う勇者。


「ああ、勿論じゃ。しかし、タダと言う訳にはいかんのう……」


 お礼とはいったい何だったのか……。


 僧侶をチラチラ見る長老。嫌な予感がする僧侶。


「そちらのおなごのパンティを頂きたい!」


 僧侶を指さす長老。案内役のドワーフも「うんうん」と頷く。


「いいですよ♪」


 まさかの答え。満面の笑みで答える僧侶。


「え!?いいの!!」


 驚く勇者と戦士。魔法使いも戸惑っている。


「じゃあ今から脱ぐから、そちらを向いていて下さいな♪」


 悪魔的な笑顔に長老の期待感はMAX!!


「分かった!分かった!」


 後ろを向く長老と案内役。




 僧侶はポケットから1枚の黒い布を取り出した。


(あ! あれ!? な、無いでござる!!)


 己の懐を探る戦士は慌てていた。僧侶が取り出したのは魔女の黒いパンティであった。今朝、戦士を蘇生する際に見つけた僧侶は、自分のポケットにしまっていたのだ!!


 焦る戦士。その隣で勇者も冷や汗をかいていた……。


 (な、何故僧侶が魔女のパンティを!!いつの間にケツから落としたんだ!?)


 落ち着きの無い勇者と、焦る戦士を見て全てを察した魔法使い。


 (流石魔女の下着。あの炎でも燃えなかったか……)


「はいどうぞ。おじいちゃん♪」


 僧侶が長老の頭にパンティをかぶせた瞬間、長老は鼻血を噴射し倒れてしまった。


「ふふ、伝説の兜は貰っていきますね♪」


 僧侶が微笑みながら兜を受け取った。



 遺跡を後にし、未だに落ち着きを取り戻せない勇者と戦士。


(ふ〜ん、勇者は黒が好きなのね……)


 魔法使いは勇者の顔を見て、理解を深めた。



 そして最後の伝説の武具を求め旅立つ勇者一行であった……。

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