ケツの故郷 前編
勇者一行は伝説の武具の1つを求め、山奥の村へ来ていた。
「勇者どの、本当にこんな山奥のクソド田舎に伝説の兜があるのでしょうか?」
さらりと悪態を突く戦士。
「おい、俺の故郷に何て言い草するんだよ……。まぁ、確かに田舎だけどさ」
村を見渡しても店は小さな酒場1件のみ、旅人もめったに訪れない為宿屋すら無い。
「さっさと兜見つけて、クソド田舎からおさらばしましょ!」
追い打ちをかける魔法使い。容赦が無い。
「勇者さんのご実家は……?」
久しぶりに勇者とまともな会話する僧侶。いつ以来だろうか?
「ああ、魔王の魔法で無くなったよ……。俺をかばったせいで母親も…………」
少し俯く勇者。
「そうでしたか、すみません……」
やるせない僧侶。
「いや、いいんだ。ごめんよ泊まる所すら無くて。なんとか酒場のオヤジに頼んでみるからさ。ちょっと待っててよ」
本当にボロ臭い酒場へ1人入って行く勇者。
酒場の中は古臭さMAXで、近所のオッサンのたまり場の様な感じになっていた。酒場のオヤジは勇者を一目見て驚いた。
「おお!勇者じゃないか!久しぶりだな。どうだ勇者稼業の方は?」
久々の故郷で勇者の顔も思わずほころんだ。
「まぁ、ぼちぼちかな? オヤジよ、久々ついでで悪いが俺含めて4人程泊めてくれないか?」
「おいおい、家は狭いんだぞ。それに金も無いし泊める余裕なんか――」
勇者はお金の入った小さな麻袋をカウンターに置いた。オヤジは脊髄反射で受け取り中身を確認し―――
「ん〜俺は良いけれどカカァが何て言うか……」
もう一声。と言った感じで渋り始めた。
「泊まる中には女が2人居る。1人はわがままドスケベボディだ!」
小さな声でささやく勇者。
「おぅい!早く言え! いくらでも泊めてやるぞ!!」
明らかに顔色を変え、ゲスい笑いを浮かべるオヤジ。
「いいってさ〜」
外で待つ3人に合図を送り、ひとまず村で情報収集を行う勇者一行。




