ケツ薬草
名前の神様の怒りにふれ、ケツを道具入れにされた勇者!
「望み通りお前のケツを道具袋にしてやったぞ! さらばだ!!」
激しい轟音と閃光を撒き散らしながら、名前の神様は去って行った。
「勇者殿!大丈夫か!?」
戦士が勇者に駆け寄る。魔法使いは絶句したまま微動だにしない。僧侶は腰が抜けたようで地面にへたり込んでいる。
「ああ、多分な…」
勇者は戦士に捕まり立ち上がると、異変が無いか確かめ始めた。
「ん?あれ?あれれ? 俺の道具袋が無いぞ!?」
腰に着けてた愛用の道具袋が無いことに気が付く勇者。辺りを探しても、袋はおろか中身も見つからなかった。
勇者はここで自分のケツに違和感を覚えた……。
薬草×7 ひのきの棒 棍棒
布の服 木の盾 力の実×4
早さの実×3 魔力の実×5 etc……。
これらがケツの中にある感覚がするのだ。
「マジか!マジでか!本当に俺のケツが道具入れになっちまったのか!」
激しく青ざめる勇者。そそくさと岩陰に隠れ、下半身を露わにする。
突然の事にキョトンとなる三人。勇者は岩陰で一人覚悟を決め、自分のケツに手を入れた!!
「はうっ!ああぁ…!」
確かにケツの中には、さっきまで道具袋の中に入っていた物があった。
ケツの中をまさぐる度にヌッチョヌッチョと音がする。勇者は酷く落胆した……。
「おい、そこで何をしてるんだ?」
三人が岩陰を覗きに来る。
「こ、来ないでくれ!頼むっ!!」
勇者が激しく懇願するも、時すでに遅し。既に三人は覗いてしまっていた…。
ケツに手を入れている勇者。
それをみてしまった三人。
慌てて手を抜く勇者。その手には薬草が握られ。
三人は勇者のケツから薬草が出る所を見てしまった。
全てを察し、哀れみの視線を送る戦士。
ニヤニヤと不敵な笑みを送る魔法使い。
両手を口に当て、絶句する僧侶。
人としての尊厳を失い崩れ落ちる勇者。
「と、とりあえずズボンを上げるでござるよ……」
戦士が肩をポンと優しく叩く。戦士の優しさに涙を………隣で魔法使いの肩が震えている。メッチャ笑うの堪えてて今にも吹き出しそう。
「コイツ本当にケツを道具入れにされてるよ……ぷ、ぷぷぷ」
自業自得なだけに怒るに怒れない勇者。
「おい戦士。その薬草使ってみろよwww」
ついに草とか生やしましたよ。こいつは。戦士の顔を見ると何とも複雑な表情をしていた。そうだよな。俺のケツに入ってたのなんか嫌だよな…。
薬草の匂いを嗅いでみる。
「あ、うん。匂いは全くしない」
「本当かぁ?」
傷口に薬草を擦り込んでみると、傷が癒えた。
「品質に問題は無いみたいだぞ」
「ふーん、どれどれ」
魔法使いがその辺にあった枝を勇者のケツに入れる。
「うふぁ!」
「変な声を出すな!気持ち悪い」
枝で勇者のケツの中をかき回す魔法使い。
「ほぅ。本当に袋になっているみたいだな」
枝を勢いよく引き抜く。
「イッッヒ!」
「だから変な声を出すな!」
「もう少し優しくしろよ!!」
枝の先には布の服が絡まっていた…。
「よし!これからは勇者のケツに重い荷物バンバン入れようぜ!!」
「だ、大丈夫なのか?」
にこやかに出発する三人。とりあえずパーティ解散の危機は無くなったと思えば良しとしよう……。