ケツの棺桶
「奇襲とか ないわ~」
棺桶を引きずり歩く勇者と僧侶。棺桶の中には戦士と魔法使いが安らかな顔で眠っている。
(そう言えば僧侶と二人きりなんて初めてかも……)
ちらりと僧侶を見る勇者。僧侶は自分より大きな棺桶を辛そうに引いている。
僧侶は魔法使いと友達で、小さい頃から一緒に育った仲であり、勇者が仲間を募集した際に一緒に加入した。強気でガサツな魔法使いと違い、控えめで弱気な僧侶。スタイルは良い方で、見れば中々のドスケベわがままボディの持ち主である。
ついつい嫌らしい目で見てしまう勇者。当然僧侶は、そんな勇者の視線に気付いている。
「あ、あの……」
僧侶が口を開く。自分から話しかけるのは、かなり珍しい。
「ど、どうかしますたか?」
久しぶりの会話で言葉が色々とおかしくなる勇者。
「私のせいですみません。私が蘇生魔法を使えていればこんな事にならずに済んだのに……」
神妙な面持ちで謝る僧侶。今にも泣き出しそうだ。
「いいんだ。気にすることは無い」
勇者は前を向いたまま僧侶を励ました。
「ありがとう ございます……」
半泣きの僧侶。袖で涙を拭く。
「また敵さんのお出ましだ……」
勇者は棺桶を置き、剣を構えた。バーサーカーが一体。これなら倒した方が早い。一撃受けながら、バーサーカーを倒した勇者。僧侶が傷を回復してくれた。
「すみません……。もうMPが切れてしまいました…」
申し訳なさそうにする僧侶。
「そうか、町まであと少しだ。全力で逃げないといけないな」
町まで後僅かの所で、またバーサーカーが襲ってきた!!
「勇者さん!!」
僧侶が身を挺してバーサーカーの攻撃から身代わりになった!
勇者は鋭い一撃でバーサーカーを倒す。
「僧侶……」
棺桶で安らかに眠る僧侶。その顔には微塵の曇りも無い。
(流石に1人で3個は重いな……。)
勇者は、戦士の棺桶をケツに入れ、残りを引きずり町まで歩くのであった……。
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