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プロローグ(中)

2/27ヴィルの誕生日をフィナより先にしました。

さらに二年が経ち、僕は14歳の誕生日を迎えた。


今日は、父上と一緒に、王国の国王様に会いに所見してきた。


なぜかというと、それはカールフィンデン領の納税率が王国最高だったからだ。


毎年、領土を与えられた貴族はその領民達から税を徴収し、国のトップである国王に献上しなければならない。

納税率が基準を満たしてい無ければ、領土縮小や領主の私財を取られたり、納税率が基準を満たしていないのが長く続けば、最悪失脚になる。


そして逆に、納税率が基準を上回っていれば領土拡大、警備騎士の派遣、そして爵位の上昇などというメリットがある。

それを狙って領民から不法徴収する輩が現れることもあるが、バレたら失脚どころでは無く、最悪死罪となってしまう。


だが父上はちゃんと領民に無理もさせず税を集め、私財を領地の整備に使い、時には自分から農業に励み、建築を行い、子供達に勉学を教える。


そのため領民からの信頼も厚くなり、ゆとりがある上に領民達から感謝の意としてカールフィンデン家に募金さえしてくれるのだ。


ゆとりがあるということは、領民の心は穏やかになるということ。

実際、父上が領主になられてから犯罪は次々と減って行き、僕がこの世に生を受け14年、カールフィンデン領では一度も物騒な事件は起きなかった。


そのため他の領民達からも移住希望者が増え、カールフィンデン領は今ではのどかながら賑やかな場所となっている。


さて、話は戻り僕らが国王様に会いに来た理由だが……

一年間で国内で最も納税率が高い領地の領主には、国から勲章が与えられることになっている。


ここまで言えば事足りるであろう。


カールフィンデン領は、見事国内で最も納税率が高い。

そして、そのため父上が勲章を貰うことになったのだ。


実を言うと、これが初めてじゃない。


これは父上が領主となり25年間、なんと19回目の勲章授与となった。


僕はカールフィンデン家長男として、いずれカールフィンデン領を受け継ぐ者として、父上の所業を見習っているのだ。


いずれ、僕も父上のような人間になりたい。



そう思っていた頃の()を、殴ってやりたい。




ーーーーーーーーーーーーーーーー



「ただいま」

「おかえりお兄ちゃん!」


屋敷に戻ったら、アイナがすぐ僕の元に駆けつけてくれた。


ちなみに父上の胸元には金の八角形の勲章が付けられている。

部屋に飾ってある勲章コレクション、また増えたなぁと笑いながら言う父上を持てて僕は光栄だと思う。


「ヴィル、おかえり」

「うん。ただいま、フィナ。まぁ今朝出てったばっかりなんだけどね」


魔法というのは便利なものだ。


ここから馬車で半年はかかる王都まで、転移魔法なら瞬きをしている間に着く。


そのため今では山賊も数を減らし、街から街への移動で魔物に襲われることも無くなった。


一昔ーー100年くらい前までとは大違い、らしい。


ちなみにフィナが屋敷にいる理由だが、それは二年前のこと。


「フィナちゃんには、将来のことを考え、ヴィル君と同棲してもらいます」


あの日の夜、母上に呼び出された僕、フィナ、アイナはそんなことを唐突に言われた。

つまり、本格的にフィナが僕の妻になる前段階にまで来たということだ。


最初は呆然としていたが、なんとシェルティン領主ーーフィナの父様も既に同意していたことらしく、そのままフィナはこの二年間、シェルティン領の急用以外はカールフィンデン領で住むこととなった。


同棲始めた頃のフィナはまだ面と面を向き合うのは恥ずかしそうだったが、今では普通に喋ることができるようになった。


「それでも、寂しかったよ?」

「っ⁉︎」


フィナは、僕に腕を絡ませ、ウィンクをして僕に言ってきた。


………逆にボディタッチが過激すぎてこちらが正気でいられなくなってしまう。


「んなっ!フィナ様!不埒です!破廉恥です!」


後ろから声があがった。

その声の持ち主は、金髪碧眼の少女、モーナ姫だ。


『姫』と、言ってもわかるように、彼女はこのディスティーラ王国の王女様だ。

年齢はアイナよりも半年早く、フィナよりも半年遅い、14歳だ。

ちなみに僕はフィナよりも1ヶ月と10日早く産まれた。


モーナは生憎第五王女と、王位継承権では圧倒的不利な位置に居るため、彼女はもうほとんど王位などに興味はなく、『婚約者』である僕の元にやってきた。


彼女と出会ったのは一年前の父上の勲章授与式。

王城の中庭で一人で迷子になっていた時にモーナが僕に声をかけてくれたのがきっかけだった。


それから文通を始め、お忍びでカールフィンデン領まで来て会いに来たりして……

気が付いたら父上と国王様の間で話はまとまり、モーナは僕の婚約者となっていた。


もともと正妻となる筈であったフィナには世間体もあるため、第二夫人と成り下がることとなってしまったが、彼女曰く『ヴィルと結ばれればそれでいい』だそうだ。

その発言に僕は赤面したことは言うまでもあるまい。


ちなみに兄離れになると予想していたアイナはそんなそぶりなど全く見せず、逆に『妹』という立場を全力で有効活用して僕にへばり付いてくる。


朝起きたら布団の中に入ってきている。


モーナ曰く結婚はまだのため不埒で破廉恥らしいが、アイナが『兄妹のスキンシップです』との一言でモーナ姫は言い返せなくなってしまった。


そこはもう少し粘ろうよ、と内心思っていた僕だが、兄嫌いの妹よりは全然嬉しいのであえて何も言わなかった。


「そう?モーナもやりたければいいじゃない。どうせ婚約者同士なんだし」


小悪魔なフィナがモーナに薦める。

許可するのは僕なんだけど……まぁ、幸せだからいっか。


「うぅ……だ、ダメです!不純異性交遊ですぅ!」


手をバタバタして、顔を真っ赤にして、モーナは僕とフィナを引き剥がす。


するとそこに狙ったかのようにアイナが僕に抱きつく。


「じゃあ私はお兄ちゃんと兄妹同士ですから純粋異性交遊ですね!」

「んなっ!」


これは僕も驚き、声を上げてしまう。

アイナは妹だ。

だが、この13歳とは思えないほどの大きな……大きな……山二つが僕の理性を削っていく。


下を見てみるとアイナがほっぺをスリスリしてくる。

その光景を見ると、自然と僕の緊張感はほぐれていき……


「ひゃん♡」


アイナの頭に手が伸びていた。

どうしてだろうか、アイナを見るとものすごく頭を撫でたくなる。

幼い頃からやっていたからだとは思うが、一応アイナも婚約者なんだよなぁ……と、複雑な気持ちとなってしまう。


「なっなっなっな………」


モーナはどんどん顔を赤くして……


「ヴィル様のバカァァァ!」


これまた盛大なボディブローを頂いた。





こんなおとぼけで楽しい毎日が、永遠に続いたらいいな。


まだ平和脳の頃の()は、そう思っていた。

ヴィル「もうすぐそっちでは卒業式シーズンじゃない?」


作者「あーそうだね。でも俺は別になんも卒業じゃないし、正直関係ない」


モーナ「そういえば外国では卒業・入学式シーズンが全く違う場所もあるらしいですよ」


アイナ「あー。そういえば中国とか九月から一学期で、七月に卒業シーズンっぽいですよね」


フィナ「卒業式といえば卒業ソングよね」


作者「卒業ソングって……『蛍の光』とかのイメージしか無いんだけど」


アイナ「いやいや他にあるじゃ無いですか。ほらあれ、『3月9日』とか……『3月9日』とか」


ヴィル「アイナもそれしか知らないじゃないか」

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