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人生が余りにもクソだったので、とりあえずネット小説を書いてみた  作者: 瞳夢
第一部 人生は絶望だけじゃない!
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第3話「構成を考えよう」

第3話目になります。続きがいつ投稿できるかは分かりませんが、引き続きご閲覧頂けるととてもうれしく思っております。これからもよろしくお願いいたします。

      第3話「構成を考えよう」


 次の休み時間から、俺は次の小説を書くための構成を考え始めていた。


 実際のところ、本当にどうするかね。10000ptを獲得するには、今までみたいにやっていたんじゃ駄目だろうし、それに書くジャンルも決めてないんだよな。以前書いていたのは魔法バトルファンタジーだし、次はやっぱり大人しめの日常系の小説の方がいいのかね?


 それからはずっと次の小説のことを考えていたので、午前中の授業はあっという間に過ぎていった。


「おーい、成未。メシ食おうぜ! メシ―!」


「あっああ、そうかもうそんな時間なのか」


 あまりにも集中しすぎていて、昼になっていたことも忘れていた。


「結構な感じで迷走している感じだな」


 綾人は俺の手元にあるノートを見ながら、そう声をかけてくる。


「ああ、やっぱり今までの感じじゃダメだって思うと余計に意識しちゃって」


「でもまぁ、たしかに今の感じだと、成未の小説じゃ今の現状を見ると難しいかもな」


「ですよねー」

 

 俺はうーんと一度背伸びをすると、席を立った。


「ん? どこに行くん?」


「なぜにいきなり関西弁? 購買だよ。今日は弁当を作ってきてないから、買ってこないと昼飯がないんだよ」


 俺は綾人にそう告げると、購買に向かおうとしたがなぜたが嫌な予感がした。そして、その嫌な予感がすぐに回収されることとなった。


「波瀬くん」


 教室から出ようとしたときにそう声をかけられたのだ。


 呼ばれた方に振り向くと、そこには二つのお弁当箱を持って立っていた四ノ宮先輩の姿があった。


「フラグ回収早いな!」


 俺は思わずそう叫んでしまう。だってそうだろう。さっき嫌な予感を感じたはずなのに、もうその予感が回収されたのだから。


「ん? そんなラノベ要素はどこかにあったかしら?」


「あるよ、今目の前に。それで、先輩はどうして2年生の教室にいるんですか?」


「それはもちろん。恋人と一緒にお昼を食べるために決まっているでしょ」


 恋人ねぇ~。


「ちなみに聞きますが、先輩の恋人って誰のことですか?」


「それはもちろん波瀬くんよ。いえ、もう恋人なんだから、成未くんって呼ばないとダメね。それと私のことは先輩ではなく梨衣って呼んでくれないと」


「ツッコミどころが多すぎて、どこからツッコんでいいのか分かりませんが、一つだけ言えることは、俺と先輩は恋人ではありませんから!」


 朝のあの目はこれを企んでいたのかよ!



「そうね、そうだったわね。だったら、波瀬くんは下僕(恋人)の方が良かったかしら?」


「そういう問題でもありません!」


「もう、わがままね。それじゃあ、呼び方だけ変えてくれたら許してあげるわ」


 正直、そこも今のままの方がいいのだが、このままだと一向に埒が明かないと思い、俺は渋々それを了承した。


「分かりましたよ。梨衣先輩」


「うん、よろしい。それじゃあ、一緒にお昼を食べましょ成未くん」


***********************


 本日二度目の生徒会室は、朝の緊張とは違った意味でまた緊張してしまう。だって、俺はここで先輩に二度もキスをされたのだから。緊張しないわけがない。


 俺は先輩のことをちらっと盗み見た。先輩は特に朝のことは気にしている素振りはなく、平然と机の上にお弁当を広げていた。

 だからだろう。俺の口からすんなり言葉が出たのは。


「梨衣先輩、朝のって……」


 俺がそう口に出した瞬間、先輩の顔はトマトみたいにいきなり真っ赤になった。


「えっ! せっ先輩?」


「あっあああれはちちちっ違うの! なんというか、勢いというかとにかく! あれは、あれは!」


 先輩が慌てふためくところを始めた見た気がする。それに先輩も気にしてたんだな。それが分かった瞬間、なんだかこっちまで恥ずかしくなってしまい、まともに顔を合わせなれなかった。


 しばらくの間、お互いの間に沈黙が降りてしまうが、それを破ったのはなんとも情けないが、俺の腹の虫が鳴る音だった。

 それを聞いた瞬間、先輩も俺も二人して笑ってしまう。だけど、先ほどの沈黙は破れてくれたのである意味ではよかった。


「お腹空いたわよね。それじゃあ、食べましょう。はい、これが成未くんのお弁当よ」


「ありがとうございます。でも、本当にいいですか?」


「恋人のために作ったお弁当だもん。成未くんが食べてくれないと意味がないんだけどな」


 そのネタまだ続けるのか。でも、そこまで言われたのなら食べないわけにもいかないよな。


「それじゃあ、ありがたくいだたきます」

 

「はい、召し上がれ」


 梨衣先輩がにっこりと微笑んだ。 クソ、そういう不意打ちの笑顔はずるいだろ。ただでさえ、容姿が整っているのに、そんな顔されたら俺の心拍数が急上昇だよ。


 先輩が作ってきてくれたお弁当はオーソドックスな感じだったのだが、とても安心できる味で、食べていてほっとした。そういえば、誰かにお弁当を作ってもらうなんて今までにあっただろうか? 両親は仕事が忙しくて作っている暇がなかったし、咲姫はノーカンな気がする。


「どう? 美味しかったでしょ」


 俺の箸が止まらなかったのを横でずっと見ていたのだろう。勝気な目でこっちを見ていた。


「はい、美味しかったですよ。今思い出したんですけど、誰かにお弁当を作ってもらうのって、初めてだなって」


「ご両親は作ってくれなかったの?」


「二人とも仕事が忙しくて」


「そっか。でも、それはそれでよかったかな。成未くんの初めてもらちゃった」


「変なしなを作って言わないでください。聞く人が聞けば誤解を受けますよ」


「それならそれで、私としてはいいと思ってるんだけど」


 いやいや、全然良くねぇよ! 俺の平穏なスクールライフが一気に崩壊するっての。


「それで、次回の作品についてはなにか思いついてはいるの?」


「さすがにすぐには思いつきませんよ。それに前回の作品だって、昨日完結させたばかりですし」


「それもそうよね。だけど、あなたにそんな悠長なことを言っている暇はあるのかしら? 今のままだと本当に10000ptなんて夢のまた夢になってしまうけど」


 この人は鬼かなにかか! それを分かっていてあの条件を出したのだから。受けた俺もあれだとは思うが。


「ジャンルはなにでいこうかは決めたの?」


「うーん、日常系でいくがバトル系でいくか決めかねていますね」


「そっかー。でも、私的には成未くんには日常系がいいと思うけど。だって、成未くん、戦闘描写ものすごい下手だし」


「うぐっ……」


 たしかに俺は戦闘描写が得意かと言われれば得意ではなかった。前回の作品も戦闘描写がもっと上手く書けていればptはもっと稼げていたことだろ。


「でも、なんで梨衣先輩がそんな心配をしてくれるんですか? 先輩的には、俺がこうして悩んでいた方が勝負には有利になるのに」


 本当にどうして先輩は本来では敵である俺にこんなに良くしてくれているのだろうか? 


「成未くんの言う通りだとは思うよ。だけどね、私は一ファンとしてNaruの作品を楽しみにしているのよ。だから、成未くんには、勝負を抜きにしても頑張ってもらいたいっていうのが、本心だったりするのよね。だからかな」


「先輩……」


 自己満足小説で始めた作品ではあったのだが、そう言ってくれる人がいるのって本当に嬉しいことだと改めて実感した。感想をくれる二人もこんな気持ちになって読んでくれていたのかな。もしそうだとしたら、嬉しいな。


「どう? 私に惚れ直した?」


 先輩はそういうと片目をつぶってウィンクしてくる。


「今のセリフがなかったら、本当に惚れ直してたかもしれませんね」


 だから、俺も軽口を返した。一人でも待ってくれている人がいる。だったら、書くしかないよな。


「梨衣先輩、ありがとうございます」


「うん、どういたしまして」

 

 そう言って笑った先輩の笑顔には、思わず惚れ直しかけた。


 それから昼休みが終わったあとから、すらすらと発想が出てきて構成がまとまり始めていた。やはり、ジャンルが決まったことが大きいだろう。


 今回はやはりベタではあるが学園ラブコメ的な話を目指していこう。それに、学園ラブコメは俺の好きなジャンルでもあるし。

 うし! ジャンルも決まったし、絶対に10000pt取ってやるぜ!


 大まかな方向性も決まったところでほっとしていると、スマホが着信を告げていることに今気が付いた。

 スマホを開いて見てみると、それは綾人からだった。


 あっそう言えば、綾人と昼飯を食べる約束をしていたのをすっかり忘れていた。まずいな。この授業終わったあとの綾人絶対にめんどくさいことになってるよな。


 俺は心の中でそっと、この授業が終わったら、綾人から全力で逃げることを決めていたのだった。


 だって、あいつ梨衣先輩絡みの話なるといつも以上にめんどくさくなるんだよね。なんでだろう?


 そう感じながら午後の時間を過ごしていっていた。


面白いと感じて頂けたら、ブックマークや評価のほどをよろしくお願いいたします。

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新連載始めました。よろしくお願いいたします。 錬金術師と幼な妻~俺に嫁が出来ました~
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