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人生が余りにもクソだったので、とりあえずネット小説を書いてみた  作者: 瞳夢
第二部 義妹だから兄を好きになっても問題ないよね!
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第26話「咲姫の秘密」

ここから第二部の開始となります。今回の話も楽しんで頂ければと思っております。

        第26話「咲姫の秘密」



Hime『新作完結おめでとう。まぁ、面白かったんじゃない。それと、リクエストよ。あの作品は面白かったけど、私の好みじゃなかったわ! だから、リクエスト。Naruの全力の兄妹ラブコメが読みたいわ!』


 俺がそのメッセージを見たのは、家事が終わってひと段落してからだった。


「兄妹ラブコメ……だと……?」


 俺の口からは思わず、困惑のうめき声が出てしまう。


 俺は未だかつて兄妹ラブコメというものを書いたことがなかった。たしかに兄妹ラブコメは俺の好きなジャンルではあるのだが、自分で書くことには抵抗があった。なぜなら、兄妹ラブコメの場合、実妹の場合もあるのだが、義妹の方が場合が多いような気がしていた。そして、俺にも義妹である咲姫がいるため、どうしたって、自分と重ねてこうなるのか? みたいな疑問を抱いてしまうのだ。まぁ、そう感じつつも楽しませてもらっているのだが。


 そう言った理由から俺は、兄妹ラブコメと言うジャンルを避けていたのだ。過去の作品を見ても、ヒロインは幼馴染や、同い年、年上を使っていたことが多かった。


 う~ん、どうしたもんかな?


 俺はとりあえず本棚から一冊の本を取り出した。それは、タイトルは口に出すのははばかられるので言わないが、内容は高校生ラノベ作家とその妹の話だ。


 とにかく、まずは兄妹ラブコメを勉強しないとな。


 俺はそう思い、その本を読んでいくのだった。


***********************


 結局、俺はその本と他にも色々な兄妹な感じの本を読んでいったが、妙案と呼べるものは何一つ浮かばなかった。


 兄妹ラブコメ、兄妹ラブコメねぇ~。


 兄妹ラブコメと言うと、どうしても某有名な妹ラノベを連想してしまって、いざ書こうにも、そのイメージに引っ張られてしまいがちだ。実際、俺もそのイメージに引っ張られてしまって、筆が進んでいない状態だった。


 俺はいつものように、生徒会室で梨衣が作ってくれた、弁当を食べながらぼんやりと考えていた。ちなみに、いつもいるはずである松井先輩は、教師に呼ばれているために不在である。久々の2人っきりでのお昼である。


「どうしたの? 成未くん。昨日からずっと頭を悩ませてるよね」


 そんな俺の様子が伝わったのか、お茶を用意してくれていた梨衣が、そう問いかけてきた。


「ああ、梨衣か。実は……」


 俺は恋人である梨衣に、昨日、兄妹ラブコメを書いてほしいというリクエストがあったことを話した。


「なるほど。それで悩んでたんだ。でも、兄妹ラブコメだったら、成未くん得意そうだと思うけどな」


「なぜに⁉」


 俺は素で驚いてしまう。どうして、梨衣がそう思っているのかが、マジで分からなかったからだ。


「だって、成未くんには咲姫ちゃんって言う、とってもかわいい義妹がいるじゃない」


 おうす、まさかの俺が悩んでいるところを突いてきたか。


「いやいや、むしろ、それが問題なんだって!」


 俺の叫びに、梨衣は不思議そうに首を傾げている。


 俺はそんな梨衣に前から思っていた事を素直に話したのだが、梨衣はなおさら、笑うだけだった。


「それはおかしいよ、成未くん」


「ん? どうして?」


「だって、お兄ちゃんは妹に対して、エッチな感情は抱かないんでしょ?」


「なななっなぜそれを⁉」


 梨衣の言う通り、以前に咲姫に向けて俺が言った言葉ではあるが、あくまでもそれは創作の中での話だ。実際にあんな物語の中での出来事があったとするならば、俺にはあのラノベ主人公のような鋼の心を持てる自信はなかった。


 でも、咲姫に言ったことを、どうして梨衣が知ってるんだ?


 俺が動揺していると、梨衣はずいっと顔を近づけてくる。


「それに、彼女がいるのに自分の妹に手を出すつもりなの?」


「そこだけ聞くと、どんだ最低男だな!」


 俺は思わずそう叫んでしまった。彼女からそんなことを言われるのは心底心外だった。


「んな、わけない! 俺がそういうことをしたいと思うのは、梨衣だけだ!」


 俺は梨衣の目を真っ直ぐ見返しながら、そう宣言する。絶対に変な誤解をされたくはないから、俺は力強く断言する。


「もう、学校でなんてこと言っているのよ……」


 梨衣は非難するような声を上げているが、顔は次第に赤くなっていき照れていることがうかがえる。


「少しからかってやろうと思ってたのに、思わぬカウンターを食らっちゃった。まったく、君は一体どこでそんなことを覚えたのかな?」


「からかっていたということは認めるのかよ! でも、誤解されてるよりはマシか」


「ごめん、ごめん。成未くん、怒った?」


「い~や、むしろ……」


 俺は梨衣にキスを一つ落とす。


「ますます、好きになった」


「だっだから、ここは学校だから……」


「でも、嫌じゃないんだろ?」


 梨衣は顔をトマトみたいに真っ赤にして、頷いていた。


 正直、俺も恥ずかしかったし、こんな所を松井先輩とかに見られていたら、厄介なのでこんなことはしたくはなかったのだが、やられたらやり返す! 理論に基づいて仕返しをしたくなってしまったのだ。


「もう、バカ」


 梨衣は小さくそう呟くと、顔を隠すようにして俺の胸に顔を埋めた。


 俺は梨衣が落ち着くまで、そんな梨衣の頭を撫でていた。


***********************


「それでさっきはなにが言いたかったかと言うと、ああやって考えれば、成未くんが思っていた感情も少しは薄れるんじゃないかってこと」


 なるほどな。たしかに梨衣の言う通りなのかもしれない。


「それに、成未くんは考え過ぎだよ」


 む~~、やっぱりそうなのかもしれない。それに俺と咲姫があんなラノベのような兄妹関係になるなんて、想像が出来ない。と言うより、咲姫って俺のことを嫌っている節があるから、そんなことはあり得ない。そう、あり得ないのだ。となると、やはり、俺の考え過ぎなんだろうな。


「それでね、成未くん。そう言えば、兄妹小説と言ったら、おすすめの作品があるの」


「高校生ラノベ作家とその妹の奴とか、兄貴が劣等生だけど、実は強かった奴とか、妹から人生相談を受けた兄の奴とか……は、既に読んだからな」


「うんうん、そんなメジャーな作品じゃないから安心して」


 そう言って梨衣が見せてきたのは、いつもの小説投稿サイトだった。


「これは?」


「つい最近になって投稿された作品で、結構な人気作品なんだよ。しかも、成未くんが今気になっている兄妹小説がテーマの作品みたいなんだ」


 梨衣のスマホには、Blossomのユーザーネームで投稿されている小説のホーム画面だった。


 『義妹だから、兄を好きになっても問題ないよね!』


 なんだか、想像以上にものすごいタイトルなんですけど!


「タイトルからして、どんな内容か察せられる小説だな」


 俺は思わず、思ったままの感想を言ってしまう。


「確かにね。だけど、これが読んだらタイトル詐欺なんじゃないかってぐらいの、作品だったの。このBlossomさん、文才はそこまで高くない感じなんだけど、世界観で引き込まれる小説だなって私は感じたかな」


「世界観で引き込むか」


「うん、だからきっと成未くんの参考にはなると思うな」


「分かった。家に帰ったら読んでみるよ」


 俺は梨衣にそう返し、食事を再開させる。


 少しでも、作品作りのヒントになれば良いんだけどな。


 ぼんやりと、俺はそんなことを考えていた。


***********************


「それじゃあ、また明日ね」


 咲姫はクラスの友人たちと別れると、足早に家に向かって歩いていた。いつもなら、咲姫は、成未と共に夕飯の買い出しに向かったり、友人たちと放課後を楽しんだりするのだが、夕飯の買い出しは今日は成未とその恋人である梨衣の当番だったため、咲姫はこうして家に向かって歩いているのである。


 しかし、今の咲姫にはそれはとっても好都合なことだった。なぜなら、今の咲姫にはやることがあった。友人たちとの放課後の時間を削ってまでも真剣になることが。


 咲姫は玄関のカギを開け、中に入ると手洗いうがいもそこそこに、階段を駆け上がっていく。


 自分の部屋に入るや否や、制服を脱ぎ捨てて下着姿になった。自身の決して大きくもない膨らみを見て、ショックを受けるがぶんぶんと首を振ってその感傷を振り落とすとラフな格好に着替えた。


 そして、机の上に置いてあるノートパソコンを起動させた。


 起動するまでの時間ももどかしく、咲姫は自身のバックを引き寄せると、そこから一冊のノートを取り出した。そこから、目的のページを読み返しふむふむと少しだけ思考に落ちる。


 そうこうしている間に、ノートパソコンの起動が終わっていたので、パスワードを打ち込むと、いつもの画面が表示させる。


 そこから、一つのファイルを開いた。


『義妹だから、兄を好きになっても問題ないよね!』


 これは咲姫が今書いている小説のタイトルだった。


 咲姫は初め、成未が小説をあんなに楽しそうに書いていることに対して、理解が出来なかった。創作の良さを知らなかった。だけど、梨衣とあんなに楽しそうにお互いの作品について話している成未の姿が、とっても楽しそうで、咲姫はいつの間にか、自分も成未とあんな話をしたいと考えるようになっていた。

 そうして、始めたのかこの作品を書き上げ、成未と同じ小説投稿サイトに掲載することだった。そして、それを初めて1ヶ月が経とうとしていた。


 最初は勝手が分からなかった咲姫ではあったが、慣れてみると意外と面白く、思いの外、自分の小説を読んでくれている人がいるということの嬉しさを知った。そして、小説を書くことが、こんなにも楽しいんだって思い、今ではすっかり小説を書くことにはまっていた。


 もう、こんなに楽しいことなら、お兄も教えてくれれば良いのに。


 咲姫はキーボードを打ちながらそう思ってしまう。


 でも、そのおかげでこうしてお兄には秘密でネット小説家活動が出来てるのか。うふふ、お兄、咲姫の作品を読んだらどんな顔をするかな?


 咲姫は作品を作りながらも、顔が綻びるのを感じていた。


 よーし、いつお兄に見られても良いように、頑張って書いていかないと。


 それから、咲姫の執筆作業は、ご飯と呼びに来た成未にドアをノックされるまで続いていた。



面白いと思って頂けましたら、ブックマークや評価のほどをよろしくお願いいたします。

また新作短編小説ガン&ブレット 君との初勝利(https://ncode.syosetu.com/n1840ek/ )も投稿しておりますので、そちらの方もよろしくお願いいたします。

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新連載始めました。よろしくお願いいたします。 錬金術師と幼な妻~俺に嫁が出来ました~
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