第4話 スケートに行こう
数日後、冬菜の誕生日のお祝いも含め4人でスケートに出かけることにした。スケートといえばウインタースポーツの定番だ。
「わーお、スケート場大きい!」
「冬菜スケートはやったことある?」
「ないよ!滑れるかな?」
「じゃあ俺が教えてやるよ!」
「ほんと!?奏くん先生よろしくお願いしま
す!」
「おう、任しとけ!!」
奏汰がこう言ってくれるので、頼もしいなと思う冬菜だった。奏汰もまた自分を頼ってくれる冬菜が可愛くて今すぐ抱きしめたい気持ちになる。
貸し靴を履いて、リンク前に来た。まずは奏汰と祐羽がスッと氷の上を滑っていく。
「ほら、2人ともおいでよ!ほら」
奏汰は冬菜に手を差し出す。冬菜は奏汰の手を掴んで思い切って氷の上に立った。
「おっ、あ、え、あっ、きゃっ!」
「おっと……」
いきなり滑って転びそうになる冬菜を奏汰が受け止めた。顔と顔が近くにあった。目と目がカチッと音を立て重なる。冬菜は急いで目を逸らしたいのに逸らせなかった。
「……ごめん……」
「……大丈夫?」
「うん、うん、大丈夫だよ……」
顔が熱くなってゆくのが自分でもわかった。冬菜を受け止める奏汰の手が男の子って感じがして緊張する。奏汰と今までどうやって話してたのか分からなくなった。何でこんな気持ちになるのか不思議に思った。
*****
冬菜は滑り始める中、美鈴は未だに一歩を踏み出すことができなかった。
「ほら、美鈴。冬ちゃんだって滑ってるぞ。」
「わ、わかってる……焦らせないでね……」
「ほら、来いよ。」
と、祐羽が美鈴に手を差し出す。手をとっていいのか躊躇したが、手を握り一歩を踏み出す。美鈴は氷の上に立っているということよりも、祐羽の手を握っているという状況を把握するのにいっぱいいっぱいだった。
「あっ、意外と滑れる……」
「美鈴は冬ちゃんより、早く上達しそうだね!」
と言って祐羽は楽しそうに笑った。美鈴はその笑顔を見て胸が高鳴ったとした。
それから数時間、4人はスケートを楽しんだ。
*****
冬菜はスケートリンクで感じたのは何だったのかが気になって仕方がない、今も少し前を歩く奏汰のことをジッと見つめてしまう。
「はぁ……」
「冬菜、どうかした?」
「……ん?うん、大丈夫だよ!」
「……そう?……ならいいけど。」
美鈴はいつもの元気がない冬菜が気になった。
「……よし!祐羽、奏汰!今からうちら女子会してくるわ!」
驚いた表情で祐羽と奏汰は後ろを振り返る。冬菜も何のことか分からなかった。
「それじゃ、また学校でね!バイバイ〜」
と言い残し冬菜は美鈴に手を引っ張られるままについていった。
「……みずちゃん!女子会って?」
「冬菜なんか元気なさそうだったじゃん。何かあったでしょ」
「何かね、うん、転びそうになったところを奏くんが受け止めてくれた時に、奏くんがいつもより違う風に見えて、ちゃんと顔が見れなくなって、なんかモヤモヤした」
「そっか……それは……」
「それは??」
「冬菜は奏汰のことが好きになったんじゃない?」
「……好き」
好きってこんな気持ちなのか、今まで誰も好きになったことがないからか信じられなかった。でも、他の気持ちに当てはめる方が難しい。
「もう少しその気持ちと向き合って、自分なりに答え出してみたら?」
と、美鈴に言われ何となく逃げ出してはいけないと感じる。ちゃんと自分の気持ちを大切にしようと思った。
*****
美鈴に急に別れを告げられ、取り残された男子二人組。
「美鈴いきなりどうしたんだろ。女子会って」
「冬ちゃん元気なさそうだったし、奏汰お前なんかしたんじゃないの?」
「えっ……確かにいつもよりは」
奏汰は今日の冬菜の雰囲気がいつもと違う気がしたことを思い出す。……どこか大人っぽくなったような感じ。
「俺のことは置いといて、祐羽は何もないの?美鈴と結構2人きりだったけど」
「特には?」
「特にって……」
祐羽は笑顔を見せる。祐羽は自分の話になるとサラッと流してしまう。
その笑顔が本当に心からの笑顔なのかは奏汰には分からなかった。
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