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第4話 妹が心配

 イベントに参加してからというもの、俺のブログへのアクセス数とツイッターのフォロワー数はまた随分と増えた。

 相互で繋がる相手も増えたし、その中には弟と妹がいた。

 しかし二人とも俺の正体には気づいていないようだった。


 そしてここである事件が発生する。

 妹が俺に憧れてコスプレを始めたのだ。


 元々妹はコスプレには全く興味が無かったらしいが、ネットでたまたまコスプレした俺の写真を見て感銘を受けてしまったらしい。

 何で知っているのかといえば、本人がツイッターでそう言っていたからだ。

 

 身内の俺が言うのもなんだが、優奈は顔も可愛いしスタイルも良い。

 やりようによってはかなりレベルの高いコスプレになるんじゃないかと思われた。

 俺も妹をアレな道に引き込んでしまったとは思いつつも、自分に憧れて始めたと言われると悪い気はしなかった。


 妹は最初仲間内でコスプレをしては内輪でその写真を公開していた。

 しかし何度かやっている内にもっと多くの人間に見て欲しくなったようで、近々とあるゲームのオンリーイベントでコスプレ参加するとのことだった。


 そして妹にそのイベントデビューで何のコスプレをするのかと聞いた所、短すぎるスカートとうさ耳のようなリボンが特徴的な某ホロレア駆逐艦という答えが返ってきた。


 俺は思った。

 あ、これ色々危ないやつだ、と。


 俺としては露出度の高い女の子のコスプレは好きだし、むしろ増えろとさえ思っているが、流石に少し前までは他人だったとはいえ、初めて不特定多数の前でコスプレする妹がそんな格好をするのは色々心配である。


 正直似合いそうではあるが、だからこそ心配だ。

 コスプレイベントには変な輩も多い。


 俺はイベントでスカートが短かったりきわどい衣装を着た事は無いけれど、そういう衣装を着ている時に、写真をとんでもないローアングルから撮られたりだなんだという話も聞く。


 イベントごとにコスプレのルールは異なり、結構厳しい所から比較的ゆるい所まで様々だが、それでも被写体にポーズを強要しないだとか付きまとわない、無断で撮影しない等、最低限のマナーは存在してはいる。

 しかしどこにでも変な奴は沸くのである程度は自分で気をつける必要がある。


 短いスカートやきわどい衣装はポージングや撮影アングルなどで簡単に自分の意図しないような写真になってしまう。

 盗撮されたり写真を無断掲載されたりなんて話もある。

 

 それで妹が嫌な思いをしてもある意味自己責任ではあるが……。


 俺はダメ元で、もしよければ別の姉妹キャラのコスプレを一緒にしないかと誘った。

 人気の高い四姉妹の戦艦のコスプレである。


 このコスプレならどの姉妹の格好をしても巫女服のような上着とせいぜい学校の制服程度のスカートの長さになるので、下にスパッツでもはいておけば大丈夫だろうし、夏場でもそんなに暑くないだろうと考えたからだ。


 相談してみると、優奈はあっさりとOKしてくれて拍子抜けした。

 何より驚いたのは友人と連れ立っていくのではなく、一人で参加するつもりらしかった事だった。

 本気で心配になって、優奈とは当日一緒にイベントに参加することにした。


 そのイベントでは更衣室が用意されていたが、更衣室は当然ながら男女で分かれているので、当日俺はノースリーブのシャツとコスプレ衣装のスカートを履いて出かけ、撮影の時になったらコスプレ衣装の上着とカチューシャを付けることにした。


 途中、ローアングルからの囲み撮影に優奈が少し引いていたように見えたので、ローアングルからの撮影はやめてもらって、縦に並んで順番に撮ってもらえるようお願いする事もあったが、それ以外は概ね平和で、普通に二人でイベントを楽しんだ。


 帰り、せっかくだから少しお茶でもと喫茶店に立ち寄った。

「それにしても、初めてのコスプレでのイベント参加なのに、普段一緒にコスプレする友達とか声かけなかったの?」

 軽く雑談して落ち着いてきたところで、俺は今回の疑問を口にした。


 優奈は俺と違って誰とでも物怖じせずに話せる外交的な性格なので、普段一緒にコスプレをする友人がいるのなら声をかければ誰か付いて来てくれそうなものだけれど。


「一応声はかけたんですけど、皆今日は都合が悪くて……でも今回はどうしても会いたい人がいたのでちょっと不安だったけど参加しちゃいました」

 困ったように優奈が笑う。

「会いたい人?」

「今私の目の前にいるんですけどね」


 どうやら優奈は俺がこのイベントにコスプレ参加するとブログに書いたのを見て今回のイベント参加を決めたそうだ。

 それにしても、あんまり露出の高いコスプレと言うのは、それなりに注意が必要だと言う事をやんわりと俺が指摘すると、確かに初めてのイベント浮かれていたかもしれないと優奈は言った。


「でも、まさか+プレアデス+さんにそんなに気にかけてもらえるなんて嬉しいです。もしよければこれからも仲良くしてもらえますか?」

 はにかむ優奈を前に、もちろんと即答した俺だったが、その後プライベートの連絡先を交換する段になり、妹は普段の俺の連絡先も知っているため、普通に連絡先を教える事もできず、その場では携帯を忘れてしまった事にしてお茶を濁した。


 しかし、なら自分のだけでも渡しておくと優奈に連絡先の書かれたメモを渡され、その後、俺は携帯を普段使い用と+プレアデス+用と二個持ちする事になったのはいかんともしがたい所である。 

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