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おめでとう、俺は美少女に進化した。  作者: 和久井 透夏
第22章 リア充への道
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第169話 好みのタイプ

「先日のデートで、どうもしずく嬢は自分が目的地までエスコートするつもりだったらしいのですが、途中で迷ってしまったらしくって、その事を随分と気にしてたんです」

 一真さんの言葉に、俺は稲葉からの報告を思い出す。


 確かに途中、しずくちゃんが自信満々に道案内をしようとして道に迷う事はあったそうだが、別に稲葉は気にしてないというか、むしろそのドジっ子加減にほっこりしていたように思う。


「なので、今度デートに行く予定の秋葉原に詳しい須田さんと一緒に下見をしてもらってます」

「……」

 笑顔で一真さんは言うが、恐らく、しずくちゃんにも須田さんにも恣意的な誘導をして今回のデートを取り付けさせたのだろう。


「さすが一真さんにゃん! コレは面白くなりそうにゃん!」

 ドン引きする俺を他所に、中島かすみは一真さんの報告に目を輝かせていた。

 おい、本当にしずくちゃんと稲葉をくっつけるつもりはあるんだろうな、と聞きたくなる。


 数日後、しずくちゃんと秋葉原デートはどうだったのかと稲葉に尋ねてみると、衝撃的な答えが返ってきた。

「なんか、須田さんっていうやたらガタイのいい人が色々案内してくれて、ベテランガイドのツアーに参加してるみたいだった」


 それは、もはやデートと言っていいのだろうか?


「しかも、須田さんすごい面白い人で、結局ゲームの話で盛り上がって連絡先交換してまた今度俺の家でしずくちゃんも一緒にゲーム大会をする約束をしてしまった……」

 どこか嬉しそうに稲葉が言う。


 なんだかんだで楽しんできたようではある。

 楽しんできたようだが、しずくちゃんそっちのけで何やってるんだお前!

 というか、須田さんと遊ぶ事がメインでしずくちゃんはおまけかよ!


 色々つっこみ所があり過ぎて、どこからつっこんでいいのかわからない。

 稲葉曰く、しずくちゃんも乗り気だったそうだが、それは無理して稲葉に合わせているだけじゃないだろうか……。


「それじゃデートじゃなくて、ただ三人で遊んでるだけじゃないですか……」

 後日、俺は報告会でその事を中島かすみと一真さんに話してみた。


 ちなみに、なぜ稲葉としずくちゃんのデートに須田さんもついてきたのか。

 一真さんの報告によれば、結局しずくちゃんは須田さんと下見に行ったけれど、当日、稲葉の咄嗟の要望にも応えるには須田さんも連れて行ってはどうかとアドバイスしたらしい。


 しずくちゃんは一真さんの意見を素直に聞き、デートに須田さんが同伴する事になったそうだが、それはもはやデートじゃない。


 まあ、一真さんとしてもそれが狙いだったのだろうが。

 それにしてもえげつない。

 対して一真さんは悪びれた様子もなくニコニコと笑う。


「そうですか? しずく嬢も結構楽しみにしてるようですよ。最近はよく須田さんと部屋に篭ってゲームをしているらしいですし」

「えっ」


 どうやら、しずくちゃんも結構楽しんでいるらしい。

 考えてみれば、あのしずくちゃんを短期間で重度のヲタクにしてしまった須田さんだ。

 その辺の布教能力は高そうである。


「須田さん……なかなか強敵にゃん……」

「まあ、僕としてはしずく嬢が須田さんとくっ付いてしまうというのも、仕事がなくなるので避けたいところなんですが、その辺は幸い大丈夫そうです」


 中島かすみが唸るように言うと、一真さんはそうでもないと首を横に振った。

「というと?」


「しずく嬢は随分と須田さんに懐いていますが、なんというか、二人共全くその気が無いというか、お互いに好みを大きく外しているようなので」

 肩をすくめながら一真さんが言う。


 しずくちゃんの好みが稲葉みたいな、背は高いが細身でチャラそうな男だとすると、確かにがっしりした体形で、『気は優しくて力持ち』という言葉が似合いそうな須田さんは対象外かもしれない。


「しずくちゃんの好みはなんとなくわかりますけど、ちなみに須田さんの好みのタイプって、どんな感じの人なんです?」

「すばるさんだそうです」


「え」

 突然のご指名に俺は首を傾げる。


「以前、酒の席でそんな事を言ってまして」

「えっと……」

 ただの世間話、といった様子で一真さんは話す。


「まあ、彼氏もいるようだし恐れ多いだとかなんとか言ってましたし、特に心配するような事はないでしょう。ただ、彼はとても純朴なのであんまり勘違いするような事はしないであげてくださいね」

 笑顔で一真さんは言ってくるが、その言葉には有無を言わせないようなすごみがあった。


「このモテっぷり……さっすがすばるだにゃん!」

 中島かすみの喜びっぷりが恐い。

 今後何かしらこの事がおもしろおかしく利用されそうで、恐い。

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