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おめでとう、俺は美少女に進化した。  作者: 和久井 透夏
第22章 リア充への道
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第167話 好都合です

「……まあ、私から言える事はこんな感じかな」

「はい、わかりました!」


 結局俺は、オブラートで何重にも包みながら、しずくちゃんに稲葉に対しては庶民的なデートの方が有効である事を小一時間程熱心に説いて納得してもらった。


「最後に、しずくちゃんがデートプランを考えたデートは、三回に一回位にしましょう。他は稲葉に丸投げするのが一回、稲葉としずくちゃんが一緒に考えるのが一回ね」


「えっ……」

 付け加えるように俺が言えば、しずくちゃんが戸惑ったような顔になる。

 しずくちゃんが稲葉に喜んでもらおうと毎回デートを考えていることは、話を聞くだけでも大体わかる。


「しずくちゃんは、稲葉とのデートプランを考えるの、好き?」

「そ、そりゃあ、好きですけど……」

 俺が尋ねれば、しずくちゃんはもじもじしながら首を縦に振る。


「だったら、その好きは独り占めしちゃダメ。稲葉にもしずくちゃんとどんな所に行くかって考える楽しみを分けてあげなきゃ。それにね、一緒にどこに行くのか考えるのも、楽しいのよ?」


 稲葉的にも毎回ほぼ必ずと言っていい程、精神を削られるようなデートに連れ出されるくらいなら、むしろデートプランを任せてもらった方がまだ危機回避のしようもあるだろう。


 なので、いっそ全て稲葉に任せた方がお互い平和な気がするが、しずくちゃんはデートを企画するのが好きそうなので、デートの危険度を下げる位が現実的な所だ。

 しかしそれを直接本人に言う訳にもいかないので、これまたそれっぽい理由で説得する。


「で、でも、そんな事言って、稲葉お兄ちゃんにめんどくさいと思われないでしょうか……」

 心細そうにしずくちゃんが言うが、むしろ現状の方がこの上なくめんどくさいので、むしろどんなデートをするかの主導権が自分に移るほうが稲葉も喜ぶだろう。


「大丈夫だよ。稲葉もこういうの結構好きだし、それに稲葉がどんなデートをしたいのかわかった方が、しずくちゃんも自分の番が来た時のヒントになると思うの」

「なるほど……確かにそうかもしれません」


 納得したようにしずくちゃんが言う。

 ここまで来れば、もう大丈夫だろう。


「稲葉には私から伝えておくわ。もう約束の一ヶ月が過ぎたから、私からも普通に稲葉に連絡したりするけど、しずくちゃんも引き続き好きにして構わないわ。予定がかぶっても、どっちと出かけるか決めるのは稲葉だもの」


「あのっ、なんですばるさんはこんなに私に良くしてくれるんですか? だって、篠崎さんが好きなら普通にお兄ちゃんと別れて付き合えばいいだけなのに、なんで私の事……」


 内心ルンルン気分で俺が話を進めると、しずくちゃんがものすごく怪訝な顔で俺を見てくる。

 ……一応、稲葉がしずくちゃんに夢中になったら諦めもつく、という理由は付けたが、理由としては弱いようだ。


「私ね、本当は、稲葉の気持ちを試したいのかもしれない。私の事を好きって言うけれど、どれ位好きなのか。私が他の人を好きだって言って、自分にも気になる子ができて、それでも私を選んでくれるかどうか……」


 どうしたものか、と俺は考えて、俺はとりあえず切なそうな顔をして、なんとか言い訳をアドリブでひねり出す。

 自分で言っててなんだが、なんてめんどくさい理由なんだろう。

 他に気になる奴いるなら、もうさっさと別れて次行けよ、と思ってしまう。


「……だけど、私がライバルとして不足があり過ぎたから、情けをかけてくれてるってことですか?」

 しかし、しずくちゃんはこの言い訳を信じてくれたようだ。


「………………そうだって言ったら、怒る?」

「いいえ、好都合です。今に吠え面かいてもしりませんから!」

「うふふ、楽しみにしてるわね」

 しずくちゃんの瞳は、闘志に溢れていた。

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