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おめでとう、俺は美少女に進化した。  作者: 和久井 透夏
第14章 仲良し家族 
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第106話 ダメだけど!?

「惹かれた、か……」

 呟きながら俺は内心焦っていた。

 なんだよ、もう、どう答えたらいいんだよこれ。


 ちらりと優奈の方を見れば、期待に満ちた目で俺を見てくる。

 なんていったら良いんだコレ。

 とりあえず、何とかもっともらしいごまかしをしなくては。


「あの、俺の場合結構特殊だし、他のケースに当てはまるかもわからないし、全然参考にならないと思う。それよりも一緒に朝倉を落とす建設的な案を……」

「大丈夫、わかってるから! 話を聞いてどうするかは私の自己責任で私が決めるから!」


 何とか話を逸らそうとすると、優奈に力強く大丈夫だからと言われ、続きを促される。


 どうしよう。


 これは、何がなんでもそれっぽい言葉を言わなきゃいけない雰囲気だ。

 稲葉の事は元々恋愛的な意味でなく好きだし、その辺を適当にぼやかしたらいけるかもしれない。


「……い、稲葉とは、こうなる前から結構仲が良くて、中学の時からの親友だったんだ」

「うんうん、そう聞いてるよ。それで、二人がそんな関係になったのは大学に入ってからなんだよね?」

 俺が話し始めた途端、優奈がものすごい勢いで食いついてきた。


「あ、ああ……」

「結構可愛い子だったけど、年下の女の子に婚約者認定されて付きまとわれてたのを、お兄ちゃんが助けたって事でいいの?」

「あー……うん、そうだな」


 俺が一つ返事をするたびに今までの話を整理するように事細かに優奈が付け加える。

 恐いくらいにイキイキしている。


「どうやって?」

「……その、稲葉と俺が付き合ってるフリをして、実は稲葉はそういう趣味だからって事にしたんだ」


 稲葉は俺やしずくちゃんよりも体格が良いし、変に別の納得できそうな理由を考えるよりは、そのまま話した方がいいだろう。

 俺の言葉を聞き終わると、優奈は不思議そうな顔をして首を傾げた。


「……その時はフリだけだったの?」

 俺がそうだと答えると、それからどうやって恋人になったのかとか、そもそも女が好きなのにフリとはいえ男と恋人のフリをする事に抵抗は無かったのかとか、矢継ぎ早に質問された。


 興味津々過ぎるだろ。


「相手の子がいたく稲葉を気に入っていたみたいで、なかなか諦めてくれなかったみたいだし、仲の良い友達が困ってたら、とりあえず助けたいとは思うだろ?」


 とりあえず、もっともらしい理由をつけて答える。

 本当はそれでもかなり嫌々で、女装コスプレ用の部屋を用意してくれると聞いて引き受けたなんて、とても言えない。


「でも多分その子、この前私がすばるさんと稲葉さんと一緒にコスプレイベントに参加した時も現れて、まだ諦めてなかったみたいだけど……」

 言いづらそうに優奈は言う。


 知っている。

 というか、しずくちゃんに関しては、既に和解済みというか、早いとこ稲葉をかっ攫ってくれるのを待っている状態なので、彼女の今後に期待が集まる所だ。


「……そのせいで恋人ごっこが長引いて、その時の成り行きで告白されて今に至るというかなんというか」

 嘘は言っていない。

 しかし、俺がそう言った直後、優奈の目の色が変わった。


「ちょっと、その辺の詳細を詳しく聞きたいんだけど」

 身を乗り出して、随分と真剣な表情で尋ねられるが、俺としては詳細も何も無いので、そこを突っ込まれても困る。


「えっ、えー……まあ、あれだ。深く付き合いすぎたせいで関係を切りにくくなったというか、そのままズルズルとそうなってしまったというか」

 適当に言葉を濁しながら答えれば、再び優奈は俺の目の前まで四つんばいになって寄ってきた。


「お兄ちゃん、その詳細をテキストにまとめて私のアドレス宛に送って欲しいのだけど。なんか、ものすごくそんな感じのBL小説を読みたいというか、それを元に脚色入れて小説にしていい?」

「ダメだけど!?」


 俺は即答した。

 妹の目がキラキラを通り越してギラギラしてて恐い。


 超恐い。


「なんかすごくエロい気配がするし、口頭で言い辛いなら文章でいいから!」

「断る!」


 何を言っているんだこいつは。

 そもそも、何を言い合っているんだ俺達は。


 しかも、俺が口ごもったのを何を勘違いしたか、そっち方面の事があったのだと思われたようだった。

 そんなものは全く無い。


 すばるの状態でその手の誤解をされるのはもはや慣れっこだが、男の状態の俺でそういわれるのは妙に生々しい感じがするので勘弁してほしい。


「はっ! つまり私も何か理由をつけてすばるさんと恋人のフリをしてもらえれば……!」

「変な奴に付きまとわれてるんなら、実家暮らしだし、それこそ同居してる家族を頼れって話だけどな」

「そうだった……」


 その場でうなだれる優奈を見ながら俺は、この後は優司かぁ……と既に疲労を感じていた。

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