ゲームの特徴
パァンッッ!!!!
銃声。
俺の腹に衝撃が走る。
…しまった…俺、撃たれた!?…
…ああ、馬鹿だな俺。手に力を集中させたって、光が集まるわけないのに。
なんで熱心になっちゃったのだろう…。
急に全身の力がフッと抜け、無気力に地面へと倒れた。
「リョっ、リョウ君!!?」
ヒロインが駆け寄ってきた。
薄れゆく意識の中、ヒロインのおどおどしながらも俺を心配してくれている姿が目に入る。
「あぁ……ヒロインさん…」
「え?!……えっ!?……」
ヒロインはまだおどおどしている。
…せめて最期くらいは温かく、優しい目で見守ってほしいものだ。
でも、それは叶いそうにない。
「……今までありが―――」
「おかしいな…
このゲームでは撃たれても怪我できない仕組みになってるのに…」
えっ?!
今、なんて言いました?
さっきまで永遠の眠りにつきそうだったのに。
ヒロインの言葉を聞いて急に目が覚めた気がした。
「まさかロボットが本物の銃持ってたわけじゃないよね…」
パァンッ!!―――
また銃声が聞こえる。
ヒロインの顔が青ざめた。
「もしそうだったら……」
ヒロインは震えだした。
ロボットはそのヒロインを見つけると、迷いなく銃口を彼女に定めた。
パァンッッ!!!!―――――――――――
「きゃっ!!?」
ヒロインは撃たれ、倒れた。
俺はうつぶせになりながら、その様子を見ていた。
そんな…ヒロインまで撃たれてしまうなんて…
…って、あれ?…
「んん~~?…」
ヒロインはよいしょ、と立ち上がって、撃たれたであろう彼女の腹をまじまじと見た。俺もそこに視線を移す。
でも、彼女の腹は一滴も血が出ていなかったし、傷もなかった。
「あ!やっぱこれ、ゲーム用の銃弾だぁ~!…よかったぁ~。」
ヒロインはしゃがみ、ちょっとごめんねと言って俺を仰向けになるようにゆっくりと転がした。
「あ、やっぱり。ほら、リョウ君も大丈夫だよ。お腹見てみなよ!」
言われるがままに腹に視線を移すと。
「えっ!?」
「ほらね!」
不思議なことに、銃で撃たれたはずの腹は無傷だった。
なんで……
「リアルゲームの武器では、怪我できないようになっているの!」
ヒロインの説明を聞いた途端、一気に顔が熱くなる。
このゲームで撃たれても、死なないどころか怪我もしない。
なのに、なのに俺は………
「だぁ~~~~~~~~~っ!!!!!!」
「ひぃっ!?」
さっきまでの自分の醜態を思い出し、忘れようと思いっきり叫んだ。
興奮状態になり、息が荒くなる。汗が出る。
「…俺マジで死ぬかと思ったじゃん!!!」
「ひっ!!あの、ごめんなさいっ!!ロボットが怖くて説明を忘れてしまって…」
忘れるなよ!!!
心の中で叫ぶ。
「あ、でも、リアルゲームではけがはしませんが、ある程度攻撃を受けるとゲームオーバーになってしまいます!」
「ある程度って?」
「…私にもよくわかりません」
「おい!!!!!」
「ひっ!!」
ああ…
また大声を出してしまった。落ち着け、自分。
とりあえず深呼吸をする。
スーーーー、ハーーーー。
…よし。
「じゃあとにかく技を習得して、ロボットを倒せばいいんだな?」
「はい!多分そんな感じです!」
“多分”そんな“感じ”って…。
だいぶアバウトだな…。
ま、オヤジの作ったやつだからしょうがないか。
俺はもう一度、右手に力を集中させた。