ゲーム開始
青田リョウ、手伝い(ゲーム)を始める。(←有〇ゼミ風に書いてみた)
俺たちはVWにある、白くて最上階が見えない程高いビルの前にいた。
「ゲームの内容は…
じゃん!
俺ではなく、このゲームのヒロインちゃんから紹介してもらいま~す!!」
コスプレしたオヤジが、手を広げて女の子を紹介した。
「あ、あのっ、こんにちは!!ヒっ、ヒロインですっっ!!」
…おう…どストレートにきたな……
いかにも守ってあげないといけなさそうな女の子。
配役はばっちりだが、名前とかはないのか?…
「ああ、ちなみに、名前はまだ決めてないから“仮名:ヒロインちゃん”でよろしく!」
疑問に思っていたことをオヤジが説明する。
……雑だな。
まあきっとゲームに支障はないだろうからいいや。
オヤジは「ヒロインちゃん」に、んじゃよろしく、と言うと、どこかへ行ってしまった。ほかの仕事があるのだろう。
「でっ、では、この世界の説明をしますっ!
この国は、もともと人間がたくさん住んでいた国なのです。
ところがある日、ロボットたちがこの国を占領し、人間もどんどん連行され、ロボットに作り替えられていきました…。私はこの国でずっとロボットにおびえ、隠れながら生活し、何とか見つからずにここまで来たのです。私は生き残っているけれど…一緒に隠れた人たちは、上に飛んでいるロボットや、巡回しているロボットに見つかって…連れていかれました。
私は、連れて行かれたみんなを助けたい。ロボットを倒したいのです。
今生き残っている人間は私たちだけ…
どうか、一緒にロボットたちと戦い、この国の人たちを救ってください!!」
おお。結構な演技力。
これならゲームに参加したくなる。
オヤジの紹介は除いて、このヒロインのオープニングは完ぺきだ。
「あ、あの…どうでしょうか?今の感じで?…」
ヒロインは今もおどおどしている。
「ああ、大丈夫ですよ。完璧です。」
「ふぁっ!!あっ、ありがとうございますっ!!」
ヒロインはぶんっ、と勢いよくお辞儀する。
「…あの…もう演技してなくても大丈夫ですよ?…」
「えっ?!あっ、あの、その、なんか…すっ、すみません!」
おどおどして、またぶんっ、とお辞儀した。
…あ、この人、元からこういう人なんだ…。
しっかし、よく見つけたな…。
パァンッ!!!―――――
銃声。
「きゃあっっ!!!」
ヒロインが叫んだ。
…あれは演技なのか素なのか…。
とりあえず銃声がした方を向くと、銃を構えた人型ロボットが立っていた。はじめだからか、騎士のような形だが武装が少ないように見えた。
まあでも、いきなり銃声がしてゲームが始まる、というのは悪くないな。
ヒロインのリアルなオープニングにマッチしている。
「あれが敵キャラか?」
ヒロインに尋ねる。
「ふぇぇっ?!!あ!はい!そうです……」
…どんだけビビりなんだこの人!!!
絶対“ロボットが銃を撃ってからゲームが始まりますよ”ってこと知ってるよな?なのになんで全身が震えてるんだよ!!
質問に答えるときまでビビらなくてもいいだろ!
本当は声に出して突っ込みたかったが、オヤジみたいに、否、オヤジよりめんどくさそうだ。我慢して心の中で叫んでおいた。
「それじゃ、このロボットを倒せばいいわけだね…」
……あれ?
でも、倒すって言っても……
「あの、これってどうやって倒すんですか?」
「えっと?ああ、あの、力を一点に集中させてそこに光を集めて、その光を自分の思うような形に変えて攻撃するんです!」
「は?……」
「あの、ですから…」
ヒロインはご丁寧にさっきと全く同じ説明をしてくれた。
…なんか全然ピンとこないんですけど…。
とりあえず、ヒロインの言った通りに一点に力を集中させる。
まずはオーソドックスに右手に力を込めてみる。
「ふっ!…………」
でも、やはりだめだ。光なんて何も現れない。
「あ、もう一回です!頑張って!」
「ほっ!!………」
また右手に力を集中させるも、光が集まる気配がない。
「も、もう一回!!」
「はっ!!!………」
…やっぱ無理…
パァンっ!!!!―――――
「きゃあっ!!!」
またヒロインの悲鳴。
…学習しろよ…
そう思った時。
パァンッッ!!!!
また銃声。
俺の腹に衝撃が走る。
…しまった…俺、撃たれた!?…
…ああ、馬鹿だな俺。
手に力を集中させたって、光が集まるわけないのに。
なんで熱心になっちゃったのだろう…。
急に全身の力がフッと抜け、無気力に地面へと倒れた。