4キロの誘惑
二川駅発でもう1話。
二川駅手前にあります道路の案内表示板には
2つの行き先とそこまで至るまでのキロ数が記されております。
1つは湖西までの10キロ。
そしてもう1つが
その湖西を経由して向かうことになります新居の町。
距離にして14キロであります。
湖西(鷲津)と新居は東海道本線にしますと駅1つ先になりますので
もうヒト踏ん張り。
20から30分走れば辿り着くことが出来。
なおかつ帰りの足も確保されている。
(……試しに走ってみようかな)
となりまして
二川の駅より東に向かって歩を進めることに相成りました。
二川から次の駅、新所原までの4ないし5キロは
例の如くなんとなく通過しまして
前回鷲津の駅に向かう際にも述べました
距離はあるけど後半下りとなるルートを選ぶか?
もしくは上りだけど距離は短い案内表示板推奨のルートを選択するか?
のポイントに到達しました。
そこで私はゴールの新居に辿り着くためには湖西からまだ4キロ先にあるため
少しでもショートカット出来たほうが良いのでは?
と判断しまして
針路を南に。突当たりのT字路を東にとるルートを選択。
8%の急坂を転ばないようスピードを落としながら確実に下りましたあと
ダラダラ続く上り。一直線の道を進むのでありました。
その結果。私はどのような状態になったのか?
と申しますと
(……方向を見失いました。)
基本。一本道でありますので
走っている道について迷うことは無いのでありますが
暑い日であったことも影響していたのでありましょう。
方向を見失ったのは次の文言でありました。
それがこちら。
(……今私は、何を目的に走っているのだろうか?)
目的なんてものはございません。
ただ無為に時を刻んでいるだけであります。
本来の目的はダイエットであったハズなのではありますが
正直な話。
こんなことをしなくても効果的なダイエットの方法は存在しておりますし、
どちらかと言いますと
この距離を走るために
あらかじめ結構な量のエネルギーを摂取してからスタートしていることを思いますと
ダイエットに関してはむしろ逆効果。
……そのことに気づいてしまったんですよね……。
その場所が国道301号線に入った箇所にあたりまして
とりあえずコンビニ入りまして
……地図を拡げました。
その結果。
幸か不幸か
近場の鷲津の駅に向かうにしても
301号線を進んで新居を目指しても
そんなに変わらないことがわかりましたので
(……それならもう少し走ってみようか)
となりまして新居に向かって歩を進めることになりました私。
海に沿っていることも関係しているのでありましょうか。
比較的新居までの道のりに関しまして
これと言ったトピックスはありません。
=走りやすい道でありました。
その一方、走行中。私の脳裏を埋め尽くしていたのは次の文言。
(……この土地勘の無い新居町内で今。
津波警報が発令された場合、逃げる場所がわからない……)
新居は交通の便の良いところでありますので
ヒトの往来も多く、様々な記録が残されているのでありますが
外海に面していることもありまして
室町・江戸時代にありました地震や津波の被害に関するモノも記されております。
そのことが頭にはあるのでありますが
如何せん。どこまで逃げれば……。
の参考となるハザードマップが手元に無い。
仮に知っていたとしても
そこまで辿り着くまでの唯一の方法が
(……自分の足だけ。)
取り越し苦労で済むとは思うのでありますが。
新居の関所が見えて来る
=新居の駅が見えて来るまでの20分が長く感じましたね……。
なんとかかんとか新居の駅が見えて来まして
さぁ電車に乗って帰ろうか……。
駅の時刻表を見ようと歩を緩めた
私の目の前に突如として現れたモノ。
何だと思います?
答え。
(……次の駅があります弁天島まで『あと3キロ』の案内看板。)
(……3キロか。20分頑張れば弁天島まで行くことが出来るのか……。)
(……だけど新居から弁天島の間。本当に逃げ道が存在しないぞ……。)
(……そもそも私は何のために新居まで走って来たのだろう……。)
(……特に無し。)
(……ならば)
(……ちょうど電車が来るから、それに乗って帰ろう。)
今思うと
(……新居の関所ぐらい立ち寄っても良かったのかもしれませんね……。)