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笑顔  作者: ライダー
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笑顔の効力

「笑顔」

俺の名前は坂本ゆうき。毎日は変わりばえのない日々の連続で、退屈だ。友達は少ないがいるし、いじめを受けてるわけでもない。でも、なぜか毎日に満足ができない。そう、多分あの日から心から笑ったこと何てないのかもしれない。あの日を境に全てが変わってしまった。ゆうきはたまに昔のことを思い出す。中学三年生までは栃木の田舎で暮らしていた。小さい時からいつも元気で、笑顔を絶やさないクラスのムードメーカーだった。みんなから「ゆうき」と下の名前で呼ばれ、俺たちの「勇気」何てことも言われていた。誰にでも平等に接して、なおかつ勉強もクラストップレベルだ。そして、ゆうきはトランプマジックが得意でよくみんなを楽しませていた。だから、誰とでもすぐに仲良くなってしまう。多分その理由は高いコミュニケーションの能力も大きく関係しているが、一番の理由はエクボがチャームポイントの満面の笑顔だろう。中学三年生にもなると、「2つの伝説を持つ男」と言われていた。1つ目の話は、ゆうきが中学一年生の8月。ゆうきには、親友のりょうまがいる。りょうまの母親は癌を患っていた。だから、ゆうきは元気付ようと思い、入院している病院に行き、トランプマジックを見せたのだ。その3週間後、なんと母親の癌が完治したというのだ。しかし、その後すぐりょうまは引っ越してしまい今では謎のままだ。2つ目の伝説は中学生三年生の1月。あと数ヶ月で卒業という時期に山口という地味で肥満体形の女の子が転校して来た。みんなとは馴染めず、笑顔は絶対に見せなかった。みんなと平等に接するゆうきでさえ、山口を笑顔にすることはできなかった。そして、卒業式間近、ゆうきが友達の家からの帰宅途中、公園で野良猫に餌をあげる山口がいた。「山口はやっぱり優しいだな」とゆうきは言った。山口は一瞬驚いたが、無口だった。「転校する前はどこに住んでたん?」とゆうきは聞いた。20秒くらいの沈黙があった後、「関西の方だけど。ひとつ聞いてもいい?」と山口は言った。ゆうきは「山口がおれに質問!気になるな。なんだ?」と言った。山口ははずかしそうに「何で坂本くんはいつも笑顔なの。」と小さな声で囁いた。ゆうきはこう言った。「何でなんだろうな。自分でも分からないな。人の笑顔を見て嫌な気分になることはないだろう。だから、俺はいつも笑顔なのかもな。笑顔は世界で唯一通じる言語なのかもしれないな。ごめんな、こんな寒い話」その時、山口は少し笑った。確かに少し笑った。「山口の方こそ俺より最高の笑顔があるじゃん。転校して来てすぐにクラスに馴染むのは難しいかもしれないけど、笑顔を見せるところから始めたらいいんじゃないのかな。きっと簡単に馴染めるよ。」とゆうきは言った。山口はさっきよりも明るい笑顔を見せた。この会話をクラスメートの中村に聞かれていたらしく、クラスに広まり非常に冷やかされたものだ。しかし、山口は徐々に笑顔を見せるようになり、クラスに馴染んでいった。俺はあの時、山口に笑顔の理由を言うのが恥ずかしかった。ゆうきが笑顔なのは、母親から「どんな辛い時だって笑顔でいなさい。そうすれば、きっと幸せになれるから」と言われ続けたからだ。

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