翼のない背中
欲しいと強請って付けてもらった翼も
大人になるには邪魔に思えて
自分で毟り取ったのは何時だったか
怒られるのが嫌で
沢山の紙屑と一緒に捨てたっけ
今ではもうその時の気持ちを
思い出すことも難しくなった
あの翼を取り戻すには
あまりにも大人になりすぎて
善悪さえも曖昧になって
作り笑いが上手くなった
毛羽立った背中を見れば
あまりにも幼稚すぎて
優しさも受け付けなくて
いつの間にか一人になった
大人だ子供だと決めるには
あまりにも宙ぶらりんで
自分には何もない気がして
いつの間にか独りになった
もう一度あの翼が欲しい訳じゃない
見窄らしい背中が恥ずかしいんじゃない
ただ、ただ、
自分をまるごと愛すほど
私は「私」を生きていない