ベストピクチャー
この小説は、僕の好きな歌の歌詞を小説化したものです。
僕は画家、坂の下のぼろぼろなアパートに住んでいる。家賃は・・・高くない。
この安アパートは隣のビルのせいで日が全然当たらないんだ。
僕の宝物は、灯の当たらない部屋で唯一の光、電気スタンド。
絵を描くために大切な、筆。でも、やっぱりこれが無いと絵が描けない、机。
お金も無くて、食べるものも少ない、けどそんなことも忘れて僕はひたすらに絵を描くんだ。
僕の絵は、こんな家に住んで、こんな暮らしがしたいという僕の「夢」をキャンパスに塗りたくるんだ。でも、そんなものを描いたって生活は楽にならない。そう思って僕は涙を流すんだ。絵を描いた後はいつもため息さ。
「ねぇ、僕はここで生きてるよ。まだ、大好きな絵を描いてるよ。
ねぇ、そこからは僕が見える?僕を認めてくれるの?」
僕は画家、坂の上のお城みたいな家に住んでるんだ。もちろん僕の家だよ。
僕の家は、雲の上のような日の当たり具合なんだ。
僕の宝物は、手に入れた「地位」「名誉」「満足感」。
無くすことが怖いから僕はひたすらに絵を描いてるんだ。
「こんな風にしろ」と、筆も心も何かに縛られたままキャンパスを塗りつぶすんだ。
流す泪やため息の色で。
「ねぇ、僕はどこで生きてるの?なんで絵を描くの?
ねぇ、あなたには僕が見えるの?僕を笑ってくれるの?」
僕の宝物ってなんだっけ?
思い出せずにいらついて、折ろうとした筆がこう言った気がした。
「僕はずっと見てたよ。絵が好きなんだろう?」
「ねぇ、僕はここで生きてるよ まだ絵を描いてるよ
ここからは、何が見えるの?僕が描かずにいられない景色!」
「ねぇ、ほら見てくれよ! 生きてるんだよ?
だって 絵を描いてるんだぜ!? あなたにも見えるでしょう?」
ベストピクチャー。