孤独の種
一人になってから数時間後に身勝手な憶測を始め、絶望的になる彼女。
その結果彼女がとった行動とは。
知っていた。
彼が追いかけていた人物を知らなくとも、敵の規模は知っていた。
いくら倒しても底を見せない洗練された刺客たち。
実質私自身、高度な技術を持ち合わせた科学者たちに捕らえられていた。
今までの経験から推測するにきっと蒼は政府と戦っている。
もしくはそれと同等かそれ以上の規模の大きい機関と。
「どこいったの」
自らの問いは深夜に虚しく虫の音にかき消された。
不安と混乱を抱えたまま、辺りの草や木を掻きまわる。
街の外れだとしても騒ぎを抑えるために死体の処理も当然するだろう。
人一人の生存を無かったことにすることぐらい容易いだろう。
思考をかき消すように手や足を動かした。
しかしどうしても悪い考えしか出てこない。
ついに先ほどの血痕が途切れた場所へと戻ってきた。
「はやく帰ってきて」
近くの木にもたれかかり、座り込んだ。
脳裏に映るただ一人を信じて彼女は待つことを心した。
しかし生きることに執着は出来なかった。
お久しぶりですいません。
もうそろそろおしまいです。
今回、少し短くなってしまいました。