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第一章 四 第五十三地区


 地下一階。鞄を手にして、エレベーターに乗って、少し広いその部屋に、シーズと私、バイクに乗せてくれたルイドという人と、グラ、三体の人形がいる。

 ここは五十三地区の第四方角にある。そう、ルイドに言われたが、それが一体どういう意味を持つのかを考えるよりも前に、三体の人形の視線からどうやって逃げるかのほうが私にとっては重要だった。

「まぁ、面倒ごとを避けたいという理由かわからないが、一部虚偽の報告を受けたことについては何も問わないし、気にしないでほしい。シーズ、少しは疲れは取れただろうか?」

「ごめんなさい。ええ、大丈夫」

「そう、緊張しないでほしい。護送車の用意はもうすぐ完了するし、そういえば──対人形兵の──アイツが来てないな……」

 顎に手をあてて、

「まぁ、ゆっくり、そこの椅子にでも腰掛けて待っててくれ……ところで、さっきから気になってるんだが……」

 ルイドは言葉を探すようにして、こちらを見た。短いけど、私に似た黒っぽい髪の色。その細い目が射抜いてくる。シーズがこっちを見て、そしてグラもこっちを見た。視線が三つも増えてしまった。

「本当に、監視が必要なのか疑わしくなってくるな……怖がってる少女にしか見えないんだが」

 振動音に続いて、エレベーターが開く。

 あれ、見たことがある人だ。大きな機械の腕。それは、この部屋にあるどの物体よりも、隠れるのに適していそうだった。少なくとも、視線を躱すことができそうだと思った私は、真っ先にその人の後ろに隠れる。できる限り最大の速度で。

「ブラッジ、只今より護衛任務につきます! しっかし、四十七地区の詳細な調査より大切な任務ってなんなんだよおい! 俺の右腕が錆びちまうぜ」

 ノッシノッシと歩く彼の後ろに着いていく。ああ、そんなに部屋の中央まで歩いていったら、再び視線に晒されます。どうしよう。

「ブラッジ、遅いぞ。お前には……今お前の後ろにいる人形の監視と、万が一の場合にはそいつを破壊することを命じる。こちらがシーズ、四十七地区で現在唯一の生き残っている人物だ。しかし、背が高いからって足元はきちんと見ろ。確かに目で追うのも大変な速度だったが」

 ブラッジが後ろを振り返って、見下ろしてくる。目が合う。

「あ? またお前かよ! 俺にガキのお守りをしろって!?」

 大きな腕で掴まれる。

「おいブラッジ。その人形は不可解な点が多いが、第五十三地区に住む住人の財産だ──今のところな。問題が起きない限り、傷つけることは許されない。あまり手荒に扱うな」

「おうおう、わかった。ルイド、女の扱いは任せとけ」

「時折、お前に泣かされた女性が俺のところに相談に来るんだが……記憶違いか? ──連絡が入った。二分後地上に護送車を排出するそうだ。向かおう」

 ロビーの、エレベーターのあった方向とは逆側にある扉を開き、小さな階段を登る。四十七地区の地下に降りたときを思い起こさせる、小さな梯子がその先にあった。登る。

 ルイドが先頭で、グラ、シーズ、私、後ろには──。

「白か……普通だ。色気がねぇ。まぁ、まだガキだしな。しゃーねーよな」

 そんな声が下から聞こえてきた。突然みんなの動きが止まったので、仕方なく、梯子を掴む手を止める。上からルイドの声が聞こえた。

「ブラッジ、一ヶ月減俸だ。俺からしっかりアーガス所長に報告しておく。あと、梯子の手摺りだけを見るよう命令する」

「えぇ!? なんで?」

 小声で上にいたシーズが、スカートを抑えるように言ってきた。けれど、両手がふさがっていて無理です……。下着が見えないようにしたほうが良いらしいので、しょうがなく、バランスを取りながら、裾を縛って広がらないようにする。

「うお、色気ねーって言ったのはまじで謝る! 最高ランクの太ももだ」

「……ブラッジ、手が開いていたらお前の頭を撃ち抜きたい気分だ。減俸半年を申請しておくから覚悟しておけ」

「えぇ!? なんでだよ!」

 行き止まりにあったスイッチをルイドが押すと、天井のパネルがスライドし、そして地上へ。暗い。真っ暗闇。仄かな光が、ルイドの持つ携帯照明から発せられ、少しだけ辺りを照らす。

「気分を悪くさせたならすまない。その男は少々問題があってな」

「そうね。問題あるみたい」

 そう言うシーズの顔は……思わずブラッジの後ろに隠れる。

「排出した護送車の座標はCの二十三。ここから徒歩十五分。今からそこへ向かう。ここはもう、閉鎖されて三年以上が経過している地区だから、灯りはこの携帯照明しかない。足元に気をつけてくれ」

 そうルイドが言ってから、先頭を歩き出す。ブラッジがしきりに、私のほうを見る。

「お前な、なんで俺の後ろを歩く?」

「な、何でもない……」

 と、いつの間にか三体の人形が私の周りを囲むように並んで歩いていた。じーっと見てくる。もう視線から逃れる場所はない。

「こ、んにちは」

 一体の人形に話しかけてみる。

「こんにちは」

 返事が返ってきた。どこか、機械的な音。

「元気ですか?」

「……ステータスチェックは管理者にのみ許可されたコマンドです」

 よくわからない返事が返ってきた。

「そんなに、私を見なくても良いんじゃないですか……?」

 返事は返ってこなかった。うーん……。困る。

「ちょっと可哀想になってくるな……。グラ、監視しろって命令すると、ずっと、『見続ける』のか?」

「みたいですね──いや、正直、実運用したことがないんで、どういう行動になるかわからない部分も多くて」

「頻度変更は?」

「やってみる? ビーワン、ビーツー、ビースリー、命令変更。現在の監視対象への監視頻度を一分に一回に設定。それ以外の時は周囲の警戒を」

 命令を受領したと伝える声が三回。良かった。見られなくなった。

 と、安心したのは一瞬で、次は一分に一回、きっちりとこちらを見てくるようになった。時間がわかるなんて、すごいなと思うけど、もう少し、普通に監視してくれても良いように思う。

「改善事項だな」

「だね」

 周囲におぼろげに浮かぶ灰色の建物。四十七地区と似ている景色だけど、街灯はなくて、人の気配もない。比較的周囲の建物と比べて、崩壊の少ない大きな建物の中に入ると、車輪の四つついた──車があった。

 慣れた手つきでルイドが車の後ろの扉を開け、そこに乗り込むよう促される。中は広くて、十人くらいなら入れそうだ。両脇に腰掛けるための段差が設けられていて、天井にはぼんやりとしたオレンジ色の薄暗い灯り。

「おいブラッジ、お前は最後に乗り込め。間違ってもシーズやアサの隣には座るな」

「……そりゃ、良いけどよ。さっきからこいつ、俺の服掴んで離さねーんだ」

 はっ、と気付いて、ブラッジのズボンにかけていた手を離す。が、一斉に見てくる三体の人形。もう耐えれそうにない。怖い。

 思わず、ブラッジの後ろに隠れ、再び服を掴んでいた。

「シーズ、怖い」

「アサ、私はそのでかい男から早く離れたほうが良いと思うんだけど……」

「もういいブラッジ、そのまま中に入れ。俺は運転するから、一応室内はモニターしているが何かあったら通信で報告しろ」

「お、おう」

 室内のわずかな光が、みんなの顔を照らす。三体の人形の目は、光ったままこっちを見てくる。幸いなことに、人形との間にブラッジがいるので、できるだけ身体を小さくして、隠れるように座った。振動音とともに、車が動き出す。

「人形っつっても色々なんだな。でも、なんでこんなビクビクしてんだ?」

 ブラッジがそう言って私を見る。

「あまりいじめないでよ。良い子なんだから」

 とシーズ。良い子ではないと思う。というか、私に子供とか大人とかあるのだろうか。

「動作テストにも丁度良いと思って連れてきたんだが、失敗だったかもしれない……」

 グラはそう言って三体の人形を見比べた。

「まぁ、でもこれでちょっとは羽を伸ばせるな! 本部に行きゃ、馴染みの店もあるしねーちゃんもいるし」

「ブラッジ、君、もう少し一緒にいる人に合わせて喋る内容は変えたほうが良いよ」

「ああ? 良いじゃんなー。ほら、シーズ……だっけ。あんたはにーちゃんがいたほうが良いか?」

「……結構です」

 少し怒ったようなシーズ。


『ブラッジ、減俸九ヶ月をこちらから詳細な報告書付きで申請しておく』


 どこからか、ルイドの声。少しノイズが混じっている。

「ありゃ……そんなに頑張るなよ……」

 それを聞いたブラッジは勢いがなくなり、グラが頭を抱えてため息。

 揺れる車内。何もすることがなくなって、再び暇になる。出来るだけ三体の人形を見ないようにしながら、疑問にも思う。人という生物は、共に生きているというのに、私はどうしてあの三体の人形を怖いと思うのだろうと。同じ『生物』とは言えないけど、もう少し、共感できるようなものがあっても良いように思う。

 持ってきた鞄から、シーズがくれたカレイドスコープを取り出す。

「あれ、何も見えない……」

「ああ、それ、これくらいの照明だと見えないわ。これ使っても良いのかしら?」

 シーズが、ルイドが持っていた携帯照明を取り出す。

「あ? なにすんだ?」

 ブラッジが聞いてくる。


『ブラッジ、お前は喋るな。その照明を使うのは問題ないが、車内のものに触るときは一言言ってくれると助かる』


 ノイズ混じりのルイドの声。

「わかったわ。さっきから気になってたけど、ここって見えてるの?」


『上部のカメラで車内の様子はモニターしている。何か問題や聞きたいことがあったらすぐに言ってくれ』


「ええ」

 シーズはそう言って、照明を灯すと、私の横にそれを置いてくれた。

「見えた。ありがとう、シーズ」

「おい。そりゃ、なんだ?」

 ブラッジが私の持っているものを、興味深そうに見てくる。

「カレイドスコープ」

「そりゃ、銃身に付けるスコープとは、違うんだよな……?」

 その銃身に付けるスコープって──あれ、思い出せそう。考えていると、ブラッジが顔を近付けてくる。

「……見る? すごく綺麗」

「おう、綺麗……? かしてみろ」

 左腕は、人間のものなのに、それでも私の倍くらいはありそうなほど大きな手、腕は私の脚より太い。カレイドスコープがとても小さくなったように見える。

 でもそこからが上手く行かなかった。右側に小さな取っ手がついているので、それを回せば良いのだが、ブラッジの機械の右手では、それをどうやら上手く掴むことが難しいらしい。

「……回せない?」

「あ? ちょっとまってろ。細かい動作が苦手なんだよ!」

 ちょっとイライラしているようで、黙ってその様子をじっと見ていたが、どうにも動かせないようだ。

「私が回す?」

「ああもうクソっ、んなの見られっか!」

 ガキッと、音がした。あれ……。

「ありゃ……」

 大きな機械の指に小さな取っ手がつままれている。取っ手だけが。

「え……こ、壊れたの?」

「いや、こわしてねー! 取れただけだ、すぐにくっつくってば!」

 ガチャガチャといじる音が聞こえる。ブラッジの膝の上に何かが落ちてる。指先に乗るほどの小さな金属の部品。

「ねぇ、これ、歯車……?」

「あ……部品が取れてたのか、付かねーはずだ」

 私の指先に乗ったそれを取って、再びガチャガチャと音が鳴る。が、小さな部品を取り付けるのに、その手は大きすぎるような気がする。

「おいグラ、お前こういう細かい作業得意だろ?」

 向こう側にいるグラに、ブラッジが声をかける。

「あー……あのさ、ひとつ言っていいかな」

「なんだ?」

「壊れてる。ここじゃ直せない。見たところシャフトが折れている。代わりのパーツが必要だよ」

 壊れた……もう動かない……。私がしばらく固まっていると、

「ちょっと、子供の玩具を壊すなんて何してんのよ!」

 シーズが怒鳴る。初めて見る表情に驚いてしまう。怒っている。

「ちがっ。壊してねー! それに子供っつっても人形じゃねーか」

 ブラッジが否定。

「壊したじゃない!」

「ああ、壊してるね」


『あのな──ブラッジ、もうお前は何もするな。第五十三地区の住民の財産が所持している財産を破壊。これは──とりあえず弁償費用をお前の給料から天引きだな』


 ルイドの言葉が、室内に流れた。大きい体が小さくなる。嫌な空気が室内に充満しているような感覚。どうしたら良いだろう。元気がないときは──。

「元気出して……」

 やっと手が届くくらいのツンツンとした髪を撫でる。反応がない。

「シーズ、せっかくもらったものなのにごめん」

「どうして? アサは何も悪くないのよ。この男が悪いんだから」

 すっかり機嫌の悪くなったシーズは、睨むようにブラッジを見据えた。どうしてこうなったのだろう。もうちょっと、仲良く出来たら良いのに。

「でも、悪気があったとかじゃないと思うし……」

「……そうね。アサはやさしいわね」

 まだピリピリしている。

「ごめんな。五十三地区に着いたら直すから勘弁してくれ」

「う、うん……」

 ものすごく元気がなくなってしまったブラッジは、それから何も喋らず、少しも動かず、ただ時だけが流れた。

 窓も何もないので、外の景色も見えない。見えたところで、きっと暗闇が広がっているのだろうけど。どれほどの時間が経ったかわからない。バッテリーの残量が四十パーセントを切ったところで、車が一度止まった。


『今、入場許可申請を出している。もう少しで到着だ。とりあえずは本部に向かうが、詳しくはそこで今後のことを説明しよう』


 ルイドの言葉。続いて振動音。再び車が動き出す。それから程なくして、また車が止まった。ガタンという音とともに、後ろの扉が開く。見えたのはルイドの顔。ぞろぞろと外に出るのに従って私も出る。

 薄暗くない。上を見上げると、高い天井にコンクリートのような壁があって、そこに備え付けられた照明があたり一面を照らしている。周りには建物。古いものから新しいものまで、形も色々で目を奪われる。

 それが珍しいのはシーズも一緒のようで、二人して辺りを見渡した。

「すごい……」

 シーズが呟く。

「ああ、五十三地区は、地区をまるごと巨大な建造物の中に入れているんだ。住民を守るためでもあるし、下層の壊れた環境設備を直すよりは、手っ取り早い解決策だったんでな」

「環境設備?」

 その言葉が気になって、ルイドに尋ねる。

「知らないか? 雨や風や、太陽の設備だ。遥か昔は、外は今よりももっと明るくて、色々あったらしい。もっとも、俺も教科書以外ではそのことを知らないから、実際にどんなものかはわからないが……」

 雨や風、太陽。太陽は、植物に必要なもの。教科書。本を読めばわかるものなのだろうか。ラーディは勉強をしているから、もしかしたらその答えを知っているだろうか。

「とりあえず、住民管理部へ向かう。シーズの住民IDを受け取る必要があるし、アサの持ち主、ラーディの居場所を確認する必要があるからな。グラは、本部の研究所に、この人形についての現在までの解析データを報告。ブラッジは、引き続き護衛と監視を……ああ、頼むからこれ以外のことはしてくれるな。 それと、三体の人形は、一緒に本部の研究所に連れて言ってくれ。どうにも、邪魔以外の何者でもない気がする」

 グラが少し寂しそうに、三体の人形を連れて、横の大きな建物に入って行った。

「ここが本部?」

「ああ、そうだ。とりあえず俺たちもここに入る。住民管理部は二階だ」

 促されるままに建物に入る。とても綺麗な建物。明るくて、たくさんの人間が歩いている。自分の服や、シーズの服が、かなり汚れていることに初めて気付いた。ルイドやブラッジの服も汚れていると思うのだが、元々の色が黒っぽいせいか、あまり目立たない。

 二階のカウンターにいる女性は、私たちが近付くと笑顔を返してきた。

「お疲れさまです。シーズという女性が一名。年齢二十四歳、親族なし、避難民地区への登録申請を受けていますが、本人確認をこれから受けてもらいます。こちらに手を」

「手を乗せれば良いの?」

「はい。静脈パターンと指紋を登録させていただきます」

 ピッという電子音。それは一瞬で終わったようで、

「登録完了しました。これが、五十三地区で各種サービス、申請手続きを受ける際に必要となるIDカードです。なくしたら、再発行に一週間はかかると思うので気をつけてくださいね。あとは、こちらが地区の案内をまとめた資料です。各所にある生活に必要な施設を網羅していますので、一度目を通しておいてください」

 大きな袋に入った、紙の束。

「多いのね……」

 たくさんもらっちゃったと、笑みを浮かべて私のそばにくるシーズ。良かった。さっきのピリピリした雰囲気は、少し消えたようだ。

「ああ、あと、すまないが、ある人物の住所を確認したい」

 ルイドが前に進み出る。

「名前はラーディ、男性、今年で十六歳。話では学校に通い寮で生活しているらしいが、条件に合致する人間は何名いる?」

「そういうことは事前に申請してもらわないと……」

「ハイクラスの権限を行使する」

 ルイドがカードを手にして、カウンターの上に設置された機械に通す。

「確認しました。しばらくお待ちください……ええと、該当する人物が一名、そうですね、中央学園の寮に在住しています。住所のデータを出力するのでしばらくお待ちください」

「ああ、この端末に転送してくれ」

「かしこまりました。転送した情報の転写は禁じられています。八時間後自動的に消去されますのでご注意ください」

 転送はすぐに終わったのか、小さな四角い機械を胸の内側に仕舞ったルイドは、私たちを見て、

「よし、シーズをまずは避難民地区の住居へと送る」

 護送車ではなく、小さな車に乗り込む。ブラッジがかなり窮屈そうだけど、さっきから何も言わずについてくる。まだ、ちょっと元気がなさそう。

 窓のある車。移り変わる街の景色は、とても綺麗だ。

「避難民地区って言うから、酷いところだと思ってたけど……」

「想像より悪かったか?」

「逆よ。綺麗なところね」

 ルイドとシーズがそんなやり取り。ここには、崩れかけた建物もないし、薄暗い路地もない。お店の看板が光っていたり、とても、色鮮やかな世界。

「本来なら、下層の住民をここに全員保護することができれば良いのだろうが、この地区はそれだけの人間を収容できるほどの大きさじゃない。結果的に今は、一部の金を持っている人間か、壊滅した地区の生存者を保護するくらいに留まっている。ゆくゆくは、この地区を中心に、下層全体を再構築したいというのが上の考えらしいが……俺には夢物語にしか思えないな」

 車のハンドルが回って、小さな建物の前で止まる。

「到着だ。避難民地区とは言っても、今回のような壊滅する地区が出るのは久しぶりで、あまり住民も多くない。住民が増えないことが、一番良いことかもしれないが……。ああ、それと繁華街に近い場所を申請しておいた。一応、物資は既に中に運び込んでいるはずだが……店も近くにある。何か困ったことがあったら、ここに連絡してほしい」

 ルイドがシーズに小さな紙のカードを手渡す。

 車の外に出た二人を追う。二階建ての家。

「シーズ、ここに住むの?」

「そうみたい。ねぇ、ラーディに会うのに、私もついていったらだめなの?」

「すまないが、ラーディという人物に会うのは任務だ。一般人を連れていくわけにはいかない。話を聞いていたからわかっているかもしれないが──」

「ええ、ラーディの、持ち主の判断によっては、アサは研究、解析の対象となる……」

「そういうことだ。どういう結果になるかわからないし、君にとって不本意な結果になるかもしれないが……とにかく、無事君をここまで連れてこれて良かった。ここは他の地区と比較して安全だ。今夜はぐっすり眠ると良い」

「……ええ、ありがとう。そうそう、野蛮な兵隊さんに、ちゃんとカレイドスコープ、直すように言っておいてね。それと、アサ、これをラーディに渡してちょうだい」

 布に包まれた、これはお金の束だ。リシアがシーズに渡していた。

「うん」

 ルイドが私の手を引っ張って、車の中に再び連れ戻される。小さくなっていくシーズに手を振ると、振り返してくれた。でも、今にも泣きそうな顔をしているのが、最後まで気になった。姿が見えなくなるまで、手を振る。

「──なんだか、心が痛むな」

 ぽつりと、そうルイドが呟く。

「ルイド、こいつってさ、本当に人形なのか? なんかよ、見てるとただの子供みてーだ」

「そうだな。しかし、メンテナーが言うには戦闘型に転用できる技術の塊らしい。さて、持ち主のところに向かう。言わなくてもわかってると思うが……」

「わかってる。何もしねーよ!」


 数十分。車が行き交う通りを走って、一際大きな建物が目に入る。中央学園。そう、書かれた門の中に入って車が止まる。

 幼い子供から、シーズくらいの年齢にも見える人たちまで、たくさんの人々が建物の中にいた。楽しそうに笑いながら話す人。気難しそうな顔で本を読む人。ルイドの後についていく。後ろにはブラッジ。

「懐かしいな……ええと、事務所は……」

「俺ぁ、こんなとこ初めてだ。ルイドはぼっちゃんだからなー」

「その言われ方はむかつくな」

 ブラッジの大きさに驚いたのか、それともその右腕に驚いたのか、それとも私が何か変なのか、廊下を歩く人たちが私たちを見ると、道を開けてくれる。なんだか、申し訳ない。

「学生の一人と面会したい。ラーディという、十六だから……九年生だな。ここに呼び出してもらいたい」

「あら、ルイド? 久しぶりね」

 窓口にいる老婦人が、そう言った。

「八年ぶりくらいなのに、良く覚えてますね」

「ええ、良い男だしねぇ」

 笑いながらそう言った老婦人は、少し待ってねと言って、手元の機械を操作する。しばらくして、ラーディの名を呼ぶ声が、学園内に響いた。

「学園内にいたら来ると思うけど……」

 細い廊下の壁際。することもないので三人でじっと待つ。程なくして、一人の青年が現れた。一目見てラーディだとわかったのに、もう二年以上会ってなかった事実を思い起こさせる。人は成長するのだ。少し伸びた髪。背はもう私より少し上で、その顔は、幼かったころの面影をかすかに残している。

 驚いているのがわかった。私がここに来ることなど、きっとまったく予想もしていなかっただろう。会えたのだ。ずっと会いたかった。きちんと立って、歩いて、こっちに近付いてくる。元気そうだ。良かった。本当に良かった。

「ラーディ!」

 走って駆け寄って、抱き締める。

「……アサ?」

 暖かい。

「ちょっとアサ、周り人いるし……」

 はっとして、少しだけ腕を弛めて、ラーディの顔を見る。ちょっとだけ見上げないと駄目なのが、少し切ない気もする。後ろから足音。

「君がラーディか? この人形の持ち主ということだが、異議はあるか?」

「いや……持ち主、ですけど。おじさんやおばさんも?」

 ラーディが敬語で喋ってる……と少し驚いていると、

「──少し、静かに話せる場所へ移動しよう」

 ルイドはそう言って建物の外、学園の中庭に出て、いくつかあるテーブルのうちの一つを選んで座る。それに続くようにラーディが向かいに座ったので、私もその隣に座った。ブラッジは、私の右に立ったままで、さっきから何も喋らない。

「まず、落ち着いて聞いてほしい。第四十七地区は壊滅した。現在のところ生存者は女性一名、君の知り合いのようだが、シーズという人物だ。さっき言ったおじさんやおばさんというのは、四十七地区に住んでいるのか?」

「え、ええ──」

 今言うべきなのかわからない。ガレットがいなくなったことを、リシアもきっと無事ではないことを、伝えるべきなのかわからない。

「落胆するのはまだ早い。生存者がどれほどいるのか、まだ確実にはわかっていないからな。混乱しているだろうが、我々が聞きたいこと、君に要求したいことが二つ程ある」

「何でしょうか?」

「まずは、この、アサという人形の素性だ。安全上の観点からこの人形を解析に回したところ、いくつか不可思議な点が見つかった。君はこれを──どこで購入した?」

「それは……話すと長くなりますね……購入と言って良いのかもわからないです」

「長くても構わない」

「──俺は今、こうやって五十三地区に住んで、学校に行っているけど、孤児なんです。四十七地区で、一人で暮らしていて、面倒を見てくれるおじさんとおばさんがいて、いつも路上で、何をすることもなくぼーっとしてた。そうしたら、ある日、通りを歩く女性がいた。何かを探しているようで、声をかけたら、そう、『ご飯』を探してるって言われた」

 少し笑いながら、私に顔を向けるラーディ。今ならわかる。その表現が、少しおかしかったということを。でも、初めて聞くことがあった。孤児? ラーディの親は、もういない?

 私と出会ってから、ラッカクと出会い、そして治安維持局のことや、お店にお世話になったこと……ガレットとリシアのおかげで、この街の学校に通っているということがラーディの口から語られる。

「それで、そのラッカクという人が渡していったお金で、俺はここで今生活できています。その人が今どこにいるのかはわからないけど……」

「その、ラッカクという男は調査が必要だな……」

 私も、ラッカクを良くは知らない。もう会えないだろうか。思えば、向こうは私のことをいろいろと知っているようだった。それはちょっと、不公平だと思う。

「話してくれてありがとう。まぁ、我々も、ここに護送する途中で、この人形に危険性はないと感じていたんだが、素性は確認する必要があってな。まぁ、報告書を書くのに今の話を使わせてもらうよ」

「はい……」

「で、次が本題なんだが──技術者の話によると、非常に高い性能を発揮できるだけの技術がこの人形には使われているらしい。我々がやっと動作するような人形を作っているときに、その参考になるような、動くサンプルが目の前に現れた。できれば、解析、実験のためにこの人形を提供してほしい。非戦闘型、一般の人形はそれこそ腐るほどこの街にもいるが、防衛と安全のためには、戦闘型の、実践に耐えうる人形の開発が急務だ。現存する兵器では、一時的に対抗することはできても、いずれは物量の前に倒れることになる」

「それって──」

「この街はもちろん、他の地区の人々も助けられるようになる可能性がある。次の襲撃がいつになるかはわからない。どの地区が標的にされるかもわからないが……それを防げるだけの体制を築くという目的を手助けしてはくれないだろうか」

 沈黙。

「すこし、考えさせてもらうことはできますか?」

「わかった。明日……そうだな。夕方の六時にここで会うとしよう。人形はもともと君の持ち物だから置いていく。ブラッジ、帰るぞ」

「……おう。そうだ、直しにいかなきゃいけねー。車出してくれよ」

「面倒だな……わかった」

 二人がいなくなって、ラーディと二人きりになる。深刻そうな顔で、俯いたままのラーディ。あまり、元気がないようだ。

「ラーディ?」

「あ、ああ……ごめん、ちょっと、授業があるから。ええと、終わるのが五時だから、五時過ぎにここで」

 立ち去るラーディ。ルイドに言われたことで、何か迷っているのか。それともまったく別の何か問題があるのか。聞きたいけど、聞く間もなく行ってしまった。授業だから仕方ないのかもしれない。授業は、勉強の時間。大切なこと。

「これって……」

 小さな鞄。中を開けると、教科書みたいな本やノートが詰まっていた。ラーディの忘れ物。とりあえずそれを肩にかけて、どうすべきかを考える。ああ、そうだ。さっきの窓口で、ラーディのことを何か聞けるかもしれない。

 自分の持っていた鞄を手に、先ほどの窓口へと戻る。

「あら、さっきの子じゃない。どうしたの? さっきはすごかったわねぇ……彼氏なの?」

 にこにこと、そう聞いてくる老婦人。彼氏……? すごかった……?

「あの、ラーディの忘れ物の鞄届けたくて、今受けてる授業とかわかりますか?」

「あら、ええと待ってね。履修データを……」

 しばらく経って、

「B棟の二階、二○八教室にいるはずだけど……あなたここの学生じゃないわよね。わかる?」

「……わかりません」

「ここの中庭に出て左手にあるのがB棟で、階段で二階に上がって、突き当たりの右なんだけど、まぁ、迷ったらまたここに来ると良いわ」

「ありがとうございます」

 先ほどの中庭、左手の建物を見ると、その入り口の脇にある壁にB棟というプレートがあった。ここで間違いない。二階へ上がると、しんと静まりかえった建物に、授業の声が響いている。扉の窓から、教室の中を覗く。たくさんの人が机に座って、先生の話を聞いていた。

 プレートには二○一と書かれている。突き当たりと言っていたから、もっと奥だ。二○八と書かれたプレートを確認して、ラーディはきちんと勉強しているだろうか。少しは勉強、好きになっただろうか。

 隣の人に教科書を見せてもらっているラーディを発見。扉を開けようと取っ手に手をかけて、少し考える。

「入って良いのかな……」

 静まり返った教室で、先生が熱心に何かを喋っている。入ると、邪魔になってしまいそうな気がする。と、しばらく考えていると、後ろから声をかけられた。

「お、遅刻仲間? タイミングは大事だよねー……あ、先生が後ろ向いた。入ろうよ」

 小声で、そんなことを言ってくる女の子が一人。学生だろうか? 途端に手を引かれて、扉が開く。そのまま教室の中へ。

「え……あ、ちょっと待って!」

 思わず声を出してしまって、気付けば教室にいる学生と先生が、みんなこっちを見ていた。

「ちょっと!」

 女の子は怒った表情。うーん……私が悪いのかな……。

「ごめん」

「ミラ、遅刻を誤魔化そうとするな。隠れて入ってきてもバレるというのがわからんのか。一人増えた生徒に私が気付かないとでも? とりあえず席に着け。それと……君は初めて見るな……」

 ミラと呼ばれた女の子が、渋々席に着く。学校に来るのもこの教室に入るのも初めてだから、先生の言うことはもっともなのだが……。視界にラーディが映る。そうだ、忘れ物を渡さないと。

「あの、ラーディに忘れ物届けに」

 ラーディのいる席にまで歩いて、肩にかけていた鞄を渡す。

「忘れてたので……ないと大変かなと……」

 驚いているラーディ。

「あ、うん……」

「おいおいラーディ、抜けがけかよ!」

 誰かがそう言った。

「ちがう!」

 否定。何を? そう言ってひったくるように鞄を受け取ったラーディは、耳まで真っ赤になってる。どうして? 

 教室が騒がしくなる。どこかで、人形という言葉が紡がれた。それは疑問のような、呟きだった。自分の手のことを思い出す。

「静かに!」

 先生のその一声で、静まり返る教室。

「あ、えと、ではそれだけなので、失礼します。すみませんでした」

 先生って怖い感じがする。ラーディが勉強を嫌いなのも、少しわかる。扉を締めて一息つく。リシアがくれた時計を取り出す。見ると三時。あと二時間、何をしていよう。幸い、学校はとても広いので、色々と見て回れそうだ。

 たくさんの建物と教室。建物はとても高くて、それぞれの階に教室が並んでいる。教室がない建物もあって、最初に入った建物は、窓口や、よくわからない部屋が並んでいて、もう一つの建物にはご飯を食べるところやお店もあった。

 

 遠くからは、誰かの笑い声。人って、笑うんだという、そんな当たり前のことを、なぜか私は実感していた。ここには笑い声がある。四十七地区の、通りを歩く人たちは、みんな、どこか、悲しそうな感じで、辛そうな感じで、どちらが好きかと言えば、私は、笑顔のほうが良いと思う。

 楽しい生活は、きっと幸せなことだから。ここの人たちは、クローバーを見たことがあるのかもしれない。

 ラーディももう見たのだろうか。クローバーは、ガレットやリシアがいなくなった悲しみにも効くだろうか。幸せは悲しみを打ち消してくれるものだろうか。

 上を見上げると、遥か高い場所にある照明が先ほどよりも弱くなっていることに気付いた。でも、これだけの灯りがあるならば、きっと植物も育つかもしれない。

 辺りを少し見渡したが、ただの一つも見つからなかった。もうすぐ五時。中庭の椅子に座って、ラーディを待つことにする。


 学校の隣にある、並ぶように建つ同じような建物。窓の数からすべて五階建てで、建物には番号が振ってあるものの、初めて来たら迷ってしまいそうだ。

 階段を登って三階へ。並ぶ扉のうちの一つを、ラーディは手に持った鍵で開ける。

「ここなんだけど、とりあえず入って」

 私が住んでいた地下室より若干狭いが、一人で住むには十分な広さ。本棚や、机や、ベッドや、ちゃんとカーテンも付いている。鞄を置いて、外の景色を見た。

 外が薄暗い。上を見ると、遥か上空にある照明は、もうほとんど消えていた。どことなく懐かしい。これが夜だ。建物の窓から漏れる光と、街灯と、何かの店の看板と、車のライトが、街の中を埋め尽くしている。

「綺麗」

「そうかな。ここに住んでると、自分が何か、小さなモルモットになった気分になる」

「モルモット?」

「街の遥か上空を覆う壁。街の端まで行けば壁。壁に囲まれた立方体の中に、この街は作られている。それが安全なんだろうけど、なんだか、いつか窒息しちゃうような気がする」

「かな……」

 窒息。息が出来なくなる。それって──。

「気がするだけだ。大丈夫なのはわかってるんだけど」

 扉に鍵をかける音。振り返ると、ラーディはベッドの上に座ってこちらを見ることなく、部屋の中央、何もない場所を見つめていた。少し怖い。

 何か見えるのだろうかと、そこを注意深く見ようとしていた私に、声がかけられる。

「おじさんとおばさんは?」

 ガレットを守れなかった。リシアを守らなかった。シーズと共に逃げてきた。リシアは助かったかもしれない。だって、死ぬところを見ていないのだから、もしかしたら生きているかもしれない。それが、儚い望みであることは、自分でもわかっている。

「はぐれてしまって、でもきっと──」

「本当は? 本当のことを喋ってくれ」

 嘘は付けない。誤魔化すこともできない。

「四十七地区に大勢の人形が、人を殺すために押し寄せてきて、ガレットは亡くなりました。リシアは、ガレットの側に残ると言って、私とシーズに逃げるよう言いました。それからは、お会いしていません。私は──」

「もう良い」

 長い沈黙。世界が止まってしまったかのような静寂。唯一、遠くから聞こえる街の音が、まだ世界が動いていることを証明してくれた。いつも口数が多く、騒いでいたラーディ。その面影がない。とても落ち着いている。

「……守れなかったのか?」

 突き刺さる言葉。そうだ、その通りだ。私は何を恐れていたのだろう。きっと、その言葉をラーディから聞くことが、怖くて仕方なかったのだ。私が、存在する意味がなくなってしまう。

 そこまで考えて、なぜそんなに怖いことなのかと、疑問に思う。大したことじゃないと、思った。大したことじゃない。

 ラーディは静かな目で私を見たあと、口を開く。

「二十人の、銃を持った人間を殺せるのに──守れなかったのか?」

「守れ……ませんでした。今の私は一部の機能を使用できません。その機能を使用できたとしても、守れたかどうかはわかりませんが……」

「ユニットってやつか?」

「はい」

 ラーディの目から水、涙が、静かに一滴流れたと思ったら、次々と、あふれるように、その滴が床に染みを作っていく。涙。

「ら、ラーディ?」

 駆け寄って触れようとした手を払い除けられる。泣き崩れた声でラーディが、ガレットの名を口にした。

「ガレットが、学校出たら、一緒に農業しに、別の地区に行って広い土地に住もうって。それまでに金を貯めて、美味い飯を下層のみんなが食えるように、そうなるように頑張ろうって言ってた。だから、植物や自然のことをたくさん勉強しておけって」

 それは、もう叶うことのない夢。夢が叶わないことは、きっと悲しい。

「もう誰にも、死んでほしくない……んだ。仲良くなっても、親しくなっても、みんな死んでいく。俺の本当の親も、人形に殺された。赤い目で、何も言わずに、殺していった。そう、そんな目で」

 目が合う。咄嗟に、その視線を避けるように、目を伏せてしまった。私は人を殺した。ラーディの両親を殺した人形と……何も変わらないのでは……。

 ガレットに、ラーディを頼むと言われたし、ラーディは、私の持ち主だ。でも、そのラーディは──。

「人形は、道具なのか?」

 唐突に、そんなことを聞かれた。私は人に作られた。会話して、動いて、人のように振る舞うことができるけれど、ラーディが座っているベッドや、本が開いたままになっている机、私が手にしていた鞄と、本質は何も変わらない。

「道具です」

「──そうか。明日、俺がどんな判断をしても、良いのか?」

「判断?」

「警備隊の人が言ってた話」

 私は、あまりその話を気にしていなかった。いや、考えていなかったことに今気付いた。ラーディが思うようにすれば良い。ただ、それだけなのだ。でもできるなら、ラーディが笑顔になれたほうが良い。

「ラーディが、少しでも、元気になれるような選択を……」

 ラーディはそれ以上何も喋ろうとはせず、眠りについた。私もコンセントにケーブルを差し込み、充電を開始する。眠ることはないから、外の景色を見つめた。建物の灯りが次第に消えていき、街は黒く染まった。

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