タマ
タマは、おとなりのおばあちゃんちにいる猫
まっしろで、いつもねている、あったかい猫
たまにニャアとなく、おとなしい猫
ねこまんまをていねいにたべる、きれいずきの猫
タマは、おばあちゃんの猫ではないらしい
いつもたずねてくるから、おむかえしてるだけなんだって
いつもニャアとなくから、ごはんをだしてあげてるだけなんだって
いつもひざのうえにのってくるから、なでてあげてるだけなんだって
いつみてもいるのに、おばあちゃんちの猫じゃないのが、ふしぎだった
いつもいたから、ずっといるとおもってた
おばあちゃんが入院することになった日、タマはいつもの場所にいなかった
おばあちゃんがいなくなった家に、タマは現れなくなった
おばあちゃんの住んでいた家の跡地に、タマは一度も現れなかった
……タマは、おばあちゃんの猫ではなかった
今頃……、もしかしたら…おばあちゃんの猫になっているかもしれないな
秋の空にぽっかり浮かぶ、まんまるの白い雲を見上げながら……懐かしい光景を思い出す