EP53 RPG
閲覧感謝です!
貴重なお時間にお邪魔します……
「あーあ、まさかこの私がマッチングアプリとはね〜……」
古びた公園で1人不貞腐れながらスマホをいじる奈緒美。
「仕事も無くなってアイツとの関係も終わり。挙げ句の果てにはネットで男探し。今の私には何も残ってない。やりたい事もやるべき事も、私何やってんだろ……」
するとスマホに通知が表示される。
「ん?、マッチングされました?……早くない!?さっき登録したばかりなのに。でもいっか。私もさっさと次に進まなきゃ行かなきゃだし」
奈緒美はアプリを開きマッチングされた相手がどんな人物なのか見てみる。
「どれどれ、ゲッ!……」
画面に表示されていたのはカメラ目線バッチリで微笑み進藤の姿だった。
「嘘でしょ。な、なんでこの人が……!!。まさか本物?……いやそんなわけ」
疑っていると、神道を名乗る男からメッセージが届く。
「うわぁ……これ本物だ」
その内容は言葉にするのすら嫌になるほど気色の悪い神道らしい俺様構文で書かれた一方的なメッセージだった。
かつて私を口説こうとしてしつこく送ってきたメッセージがこんなんだったから間違いない。
しかもどうやらあちらは私の正体に気づいてないらしい。
「何年も一緒にやってきた仕事仲間の顔写真すら覚えないなんてね〜……。私の写真は加工すらしてないってのに。でもこの際コイツでもいっか。どうせ今の私には何もないんだから……」
「魔王である我を口説き落としといてそれでも何も無いとは随分欲張りな女だな」
「え?……」
声が聞こえて振り向くと目の前にいた魔王がいきなスマホを横取りすると神道のプロフィールを速攻でブロックする。
「浮気は許さん」
「……どういうつもり。ようやくアンタの言ってたやるべき事でも話す気になったわけ?」
「うるさい」
「え!?…ちょ、ちょっと!!」
魔王は強引に奈緒美をお姫様抱っこで抱えると直ぐにこの場を後にする。
「わーーー美味しそーー!!」
5段に重ねられた分厚いふわふわのパンケーキに目を輝かせるのは、バラエティー番組のロケに出演している優菜だった。
MCの芸人にいじられながらも大好物のパンケーキを大口開けて頬張ろうとした瞬間、突然現れた魔王に横取りされてしまう。
「あ!」
「うむ。ここのパンケーキも悪くないなぁ」
魔王はパンケーキの味に納得して頷くと、優菜の手を掴む。
「一緒に行くぞ」
「は!?いや、今ロケの最中だから!」
周りのスタッフ達も突然現れた魔王に唖然として呆気に取られている。
「いいから付き合え!!」
魔王は半ば強引に優菜を連れて行く。
一緒に来た奈緒美も騒然とする周囲に頭を下げると直ぐに魔王を追いかける。
「おっと、もう一口」
口をパンケーキで一杯にしながら魔王達はとにかく走る。
都内某所ホテルの一室。
「間宮さん」
「青柳……」
「ちょっと悪いな。邪魔するぞ」
「「え!?」」
魔王によっていきなり部屋の扉がこじ開けられると明かりをつけられる。
「おっと……」
「キャッ!……」
「!優菜ちゃんは見ちゃダメ!!」
3人の目に飛び込んできたまさかの景色に奈緒美が慌てて優菜の眼を塞ぐ。
「まさかとは思ったが、これは想定外の展開だなぁ……」
部屋にはボンテージ姿で鞭を振り回す青柳の姿とパンツ一丁で亀甲縛りをされて放置されている間宮の姿だった。
「ど、どうしてお前達がここに!?……」
「どうしてはこっちの台詞だ。まさか逆だったとはな」
「いや、これはだな……」
必死に言い訳を考える間宮。
「それにしても青柳。似合うなその格好が」
「あ、分かります?もしかしてまおおにいさんもこっち側?」
「いやいや、我はどっちかというと…」
魔王が青柳の持っていた鞭を奪い取ると慣れた手つきで鞭をしならせる。
「こっちの方が得意だな」
素早い手つきで鞭を振り回すと間宮を縛っていたロープを見事に一瞬で引き裂く。
「あぁ……」
一瞬の出来事に思わず声が漏れる間宮。
「変な声を出すでない」
「わっ、凄い!ねぇ、今のどうやったんです!?私もやってみたい!!」
グイグイと魔王に詰め寄る青柳。
「後で教えてやる。その前に」
間宮に服を投げ渡す。
「え、」
「さっさと着替えろ。それじゃあ話にもならん。行くぞ」
「行くってどこに?」
「去り際はド派手じゃないとな!!」
「は!?」
こうして愉快な仲間達を見事に結集させた魔王達が全速力で向かった場所。
それは…
ここまで閲覧頂き誠にありがとうございます。
よろしければブックマーク、評価を頂けると、とても励みになります!
次回もお付き合い頂ければ嬉しい限りです。
勝手に祈ってお待ちしております。




