EP42 20500年の野望
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「ええ!?槇乃が番組降板!!」
後日、霧島からの報告を受けた間宮達は驚きを隠せなかった。
「この前本人から話があってねその旨を伝えられたわ」
「少し噂にはなってましたけど、それにしても早すぎません?」
「まぁ、色々とあったみたいだけど善は急げってことであの子も決めたみたい。相手側もようやくOKしてくれたって大変喜んでたみたいでね、1週間後にはもう結婚式をやるんですって」
「1週間後!!結婚式ってそんないきなりやれるもんなんですか?……」
確かに色々と話が出来すぎている。まるで時間がないみたいだ。
「だって相手は一流企業の御曹司でお金は持ってるしコネもある。それだけあれは大体の事は不可能でも可能になるのよ」
「なるほど……」
間宮は頷きながら隣にいた青柳を見る。
「私を見て納得しないでください!!」
「悪い悪い、つい」
頬を膨らませ間宮を叱る青柳。間宮も分かってわざわざやっているようにしか見えない。
この2人こそ結婚した方がいいんじゃないか?
「有難いことに私達も式には招待してくれるんですって」
「でもその日って撮影ありましたよね?私達無理なんじゃ」
「それは大丈夫。次の日にその日の分まで一緒にやるから」
「ええーー!?それ、めっちゃハードなヤツじゃないですかーー」
「ハードでもなんでもやればいいじゃない。無理じゃないわ」
「いや、それなら無理して俺達まで行く必要ないんじゃ。代表として霧島さんが行けば十分でしょ」
「それはダメ」
突然ガラッと雰囲気が変わり霧島が冷たく言い放った。
「え、」
「私達は全員参加。これ、上司命令だから」
「いやでも、」
「でもじゃない。私達には彼女を祝う責任があるの。何があっても欠席することは私が許さない」
完全に霧島のムードに空気が凍りつき断れる雰囲気じゃなかった。
そして結婚式前日。
槇乃奈緒美、なおみおねえさんの卒業スペシャルの収録が行われ、最後の撮影が終わった。
スタッフから大きな花束を受け取り彼女は笑顔のままスタジオを去った。
「……今日は逆みたいね。何のよう?」
「我の隠蔽を見破るとは中々感がいいヤツだ」
魔王は槇乃の背後から姿を現す。
「諦めないんじゃなかったのか。売れて周りの連中を見返さなくていいのか」
「アンタ童貞でしょ?」
「は、…なわけあるか!!」
なんだいきなり。なんでバレたんだ!
「その慌てよう。やっぱり図星か」
「だから違うと言っておるだろう。勝手に納得するな!」
「そうやってムキになるところも綺麗事ばっかり言ってるからいつまで経っても童貞なのよ」
「……」
今の一言でなんだが納得した自分がいるのが恥ずかしい。まさか言動一つで全てを見破られるなんてな。
「それに諦めたわけじゃない。ただ他に理由が出来たから。これで全部が丸く収まる。私も幸せになって番組も……」
「ケッ、まるで悲劇のヒロイン気取りだな。大した役を背負ったもんだ」
「何が言いたいの」
槇乃の顔が強張る。
「侮辱したのだ。そんな安っぽい理由で自分の気持ちを諦めて正当化しようとしいているお前をな」
「分かった気になんないでくれる!?」
「分かりたくもないわ」
魔王の自分勝手な言い分に腹を立てた槇乃が魔王の胸元を掴む。
「だったら大人しく黙っててよ!!」
「断る」
「っ……!!」
頬を張ろうとした槇乃の右手を捕まえる。
「今のお前には悲劇ヒロインを演じる資格すらないと言っている。悔しかったらもっと自分の気持ちに正直になったらどうなんだ」
「……正直になったら何かが変わるわけ?」
「変わるさ。お前が本気でそれを望むなら我が変えてやる。だから言ってやれ。他人の理想を自分に押し付けるクソ野郎にふざけんなってな!」
なんなのよコイツ…。最初に会った時もそうだった。いつもコイツは私の言いたかったあことを簡単に言ってみせる。それも当然の様に。
今もそうよ。
なんでコイツに代弁されなきゃなんないのよ……。
「何様よアンタ…」
「分かりきったことを聞くな。魔王様に決まってる」
ムカつくっ!バカなんじゃないの!何か魔王様よ。本当にムカつく……!
バカみたい。でもなんでかそれに期待してる自分もいる気がして。
「さいあく……」
それから2度と魔王の方を振り向く事はないまま奈緒美はその場を去った。
「ならば我も覚悟を決めよう。勇気を出して20500年叶えられなかった我の夢を叶える時だ。お前には本当のヒロインになって貰おうか」
不適に笑う魔王。
こうして魔王ディアボロス・サタン(童貞)の一世一代の大勝負がいま始まる。
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