EP16 狙われし魔王と禁断なる奥の手
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我の名は魔王ディアボロス・サタン。
かつて勇者との戦いで破れ散った愚かな魔王だ。
そんな魔王である我が今では子供番組に出演する、ようきなおにいさん。
時々思う。
そんな事になるならあの時、黙って勇者にやられていれば良かったんじゃないかって。
その方が魔王としてよっぽど後世に残る素晴らしい死に方だったに違いない。
今の我は魔王として果たして相応しいのだろうか。
ところでさっきから妙な視線が我を突き刺す。
1人じゃない。
それも複数。
どんどんと我に近づいてくる。
「何者だ!!」
我は勢いよく振り返る。
そこにいたのは大勢の子供達。我が振り返った瞬間全員がその場で動きを止める。
「…………」
無視したと思わせて再び我は振り返る。
「!!」
さっきより明らかに子供達との距離が近くなってる気がする。
まさか、此奴ら我を試しているのか?
いいだろう。魔王である我を勝負挑むということがどういうことか教えてやる。
勝負となれば相手が子供だろうが容赦はせん。
背を向けると我は一瞬で振り返ってみせる。
「これで全員アウトだ!!……なっ!!」
マズイッ…殺られる!
もう先頭の子供にここまで距離を詰められているだと。
何故だ。何故こんなに子供達との距離が近くなっているんだ!!
まさか、この僅かな瞬間に一気に距離を詰めたとでもいうのか。しかも我の威圧を食らってもなお全く微動だにしない体幹とメンタル。
この子供達、中々やりおる。
「……」
ならば奥の手を使わせてもらおう。我に奥の手を使わせたこと光栄に思うがいい。
くらえ!!
「あ、ミッ○ーだ!!」
「え!!」
「どこ!?」
「今だ!!」
子供達の視線が散った瞬間我は全速力で逃げていく。
悪いな。魔王としてまだやられるわけにはいかないのだよ。
「あ、逃げたぞ!!」
「待てーー!!」
「誰が待つものか」
子供達よ諦めろ。魔王である我の足について来れるはずが…
「なんだと!!」
余裕げに振り返ったが最後、子供達はすぐ後ろまで迫っていた。
「くそッ……」
この世界の子供達は化け物か!?
奥の手はもう無理か。なら、
「切り札だ!!」
子供達に捕まる瞬間、我は転移魔法で姿を消した。
「あれ!?」
「逃げられた!!」
「あーー、まおうにサインして貰おうと思ったのに!!」
まさかこの世界で朝から命を狙われることになるとはな、偉い目にあった。
どうやら子供番組のお兄さんになっても、魔王としての宿命は変わらないらしい。
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